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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

「あのときの味」コンサートのご報告

 11月27日の『月の庭vol.9 「あのときの味」』、お陰様で無事終了致しました。
 その後、慌ただしくしていてご報告がすっかり遅くなってしまったのですが、とても心に残る楽しい時間となりました。

 駆け出しの教師の頃からずっと教鞭を執ってきた鎌倉のこの地で、今コンサートを行うのはどこか不思議でもあり、終始、時間が引き戻されるような懐かしい感覚に包まれていました。
 お客様も、久しぶりで再会した嘗ての同僚や、教え子たち、地元で懇意にして頂いていた方々、そして大先輩の先生までいらして頂き、私の中では思い出が遡ってくるような何とも言えない感慨がありました。
 当時は、教師として教壇に立っていたわけですので、今マイクを握っているステージの自分がどう映っているのだろうかとか、思わずチョークに持ち替えたくなるような緊張や照れのようなものもあり、でも、それも含めて時の流れ、一筋の糸は繋がっていて、今を形成しているのだと、そしてその今を温かく見守って頂けているのだと・・・・そんな有難さの中で過ごした一日だった気がします。

 では、この一日をいつものカメラマン沢木瑠璃さんの写真で振り返ってみようと思います。

   「あのときの味」
 この日も晴れ渡った麗らかな晩秋の日。
134 受付にプログラムその他を並べ、お客様がいらっしゃるまでに作りたてのデザートが用意されました。146 ケーキの王道、苺ショートケーキとゼリーがこの日の「あのときの味」です。

リハーサル風景です。音の響きはとても良くて一安心。スタッフたちが手分けして四隅の音響バランスをチェックしています。
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スタッフは全員女性でしたが、その何人かが、きりっとそして優雅な着物姿で、受付にもひときわ映えました。
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 スタッフのお一人の後ろ姿です。 帯にご注目下さい。
カプチーノの絵柄がこの日のプログラムの中の珈琲の曲にぴったりでした。
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 しかもカプチーノの中の絵は猫の顔。「紋次郎物語」と次のコンサートの「ひだまりの猫たち」を連想させてもう最高におしゃれです。
こういうスタッフたちの温かい心意気に支えられて、絶好調のテンションでコンサートに臨みます。

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この写真、とても好きです。




お客様のお顔を見ていると本当に楽しくて、本番は我ながらにこやかな表情。歌って、話して、朗読して。
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朗読をご自身でもなさっているお客様が今回三名いらして、コンサート後に様々な感想を寄せて下さいました。
朗読の在り方って人ぞれぞれで、決まった形があるわけではありませんが、よく問われるのは、演劇の一人芝居のように感情を入れて世界を演じ尽くすのか、あるいは、淡々とむしろ感情を抑え込んで文章を忠実に伝えることに努めるのかという問題でしょうか。
今回取り上げた朗読の中で、特に、詩『小さなユリと』などは前者の形。かなり意識して、三歳のユリちゃんの気持ちになりきって会話の部分を読んでみたのですが、この評価は三人三様でした。
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 もう一つは、長編小説などを取り上げるとき、コンサートの中では全編を朗読するのは時間的に難しいですので、一部分の抜粋であったり、中間で要約を入れたりと工夫することも生じます。
また、耳で聴くだけでは理解しにくい言葉などは、敢えて平易な言葉に言い換えたりと、私の場合には色々大胆にアレンジしています。
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 ステージは純粋な朗読会とも違うので、歌と合わせた全体のイメージをより印象的に伝えてゆかねばという考えからかもしれません。
 トータルしてその文学作品がより魅力的に深く聴く側に届けばよいのではとも思うのです。
いずれにしても、作品の性質、その時のお客様の求めるもの、会場の雰囲気などによって、必要な事柄が異なってくる気がして、朗読素材を選ぶこと、朗読を行うことには考えたい課題がたくさんあり、それはとてもチャレンジングで奥深いことだと思っています。

コンサートの中盤、ピアニスト坂下文野さんをご紹介。二人で楽しくおしゃべりしています。
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座席を空けながらの会場です。
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アンコールの時、プレゼントして頂いた花束を抱えて。
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これまで様々にお力添え、ご協力下さいました皆様、当日お越し頂きましたお客様、心からお礼申し上げます。

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 これから次の「ひだまりの猫たち」の準備に励みます。
 1月8日の京都、1月29日の横浜、もうすぐですが、どうぞお楽しみに是非お運びくださいますように。



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「ひだまりの猫たち」開催致します

 大船(鎌倉市)でのコンサート『あのときの味』は当日まで、あと10日となり、最終調整に入りました。
 幸いコロナ感染者数も激減して落ち着いてきていますし、何かと忙しくはありますが、心弾む毎日です。
 残席はあとわずかですので、ご希望の方はお早めにお問い合わせください。

 さて、そんな中ですが。
 来春1月に「月の庭vol.10」を開催することになりましたので、お知らせいたします。

   松峰綾音 月の庭 シャンソンと朗読のひととき vol.10
    『ひだまりの猫たち』

   京都 文化博物館別館ホール 2022年1月8日(土)
     16:30開場  17:00開演  
   横浜 山手ゲーテ座ホール  2022年1月29日(土)
     13:30開場  14:00開演


   『吾輩は猫である』抄 夏目漱石作  朗読 
   『ノラや』抄     内田百閒作  朗読
   『紋次郎物語』抄   松峰綾音作  朗読
   僕になついた猫 カミーユ・クトー
   鏡の向こう側に バルバラ          他


 会場となるホールは、両会場とも前回のコンサート『月光微韻』と同様です。
 京都と横浜のコンサートツアー。
 京都は旧日本銀行京都支店、辰野金吾設計の重要文化財で、威風堂々とした趣の近代建築「京都文化博物館別館ホール」。横浜は「山手ゲーテ座ホール」、みなとの見える丘公園の一角にあるエキゾチックな雰囲気の建物で、フランス人建築家サルダ設計によって1885(明治18)年に建てられた日本最初の西洋式劇場ホールです。
 建物全体が醸し出す長い歴史に包まれた余韻のようなものがとても素敵で、ステージの世界を支えてくれる気がします。再びこの両ホールでという思いが強くあり、今回また実現することができました。
ひだまりの猫たちパンフレット表
 こんなチラシです!
 ひだまりの猫なので、私もほわっとリラックスしていても良いかしらと思い、ノーメイクでおどけている普段顔を出してしまいました。
 小さな額に縁どられた猫の小物たちの写真はすべて私の猫コレクション、持っているもののほんの一部ですがチラシを飾ってみました。
 「紋次郎」も真ん中辺りに何気なく登場しています。
ひだまりの猫たちパンフ裏

 

   コンサートのイメージは「猫」
 『紋次郎物語』に続いて、この度『「詞歌抄」クロと読むChanson』を出版することができましたので、この記念コンサートでもあります。
 それで、猫を描いた文学作品の朗読と猫が出てくるシャンソンを主にした構成になっています。
 色々な猫たちと、そこから広がるイメージや物語を楽しんで頂けたら良いかと。

 話が脱線しますが。
 過日、ある方が『紋次郎物語』の書評をお手紙にしたためて下さったのですが、その中で、「それにしてもなぜ犬ではなく猫なのか?」との半ばジョークの入った抗議文が展開されていました。ご自身がどんなに犬派であるかが熱く語られていて、そのうちにかつての飼い犬の思い出にまで話が及び・・・こうなると犬も猫も同じかもしれず・・・「動物好きの方は良いなあ」と思いを新たにしたのでした。

 さて、コンサート。
 犬好きの方も、猫派の方も、どちらでもない方も、大いに楽しんで頂けるような興味深いコンサートに作り上げていきたいです。
 ただ、こちらも日々練習三昧なので、間近に迫った「あのときの味」コンサートが、猫っぽくならないよう気をつけなければなりませんね。

   『「詞歌抄」クロと読むChanson』12月発売決定
 12月初旬、まずは私のところに完成ほやほやの本が数冊届くことになっています。
 もうすぐ! 
 紆余曲折を経てようやく出版にこぎつけましたので、感慨もひとしおです。
 書店に並ぶのは12月半ばになるのではと思いますが、アマゾンでも注文できます。また改めてご案内致します。

 「ひだまりの猫たち」コンサートの中では、本の中で取り上げた曲をご紹介しながら、翻訳、出版秘話なども盛りだくさんで楽しくお話ししていきたいです。
 
 幸いコロナの感染者数も減少してきましたが、油断することなく感染予防対策には万全を期し、両会場、席数を制限して臨みたいと思います。
 是非、皆様お越しくださいますように。

 ご予約は、お申込み順とさせて頂きますので、お早めにご連絡頂けますと幸いです。
 チケット予約・お問い合わせは
 WEB松峰綾音ayane-chanter.comのコンタクトからお願い致します。


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『あのときの味』開催致します

このところ、急に季節が進み、秋が深まってきました。
 今日は、大急ぎで冬物へと衣替え。
 コロナウイルスも鎮まってきて、ようやく少し安堵する日々ですが、第6波が起こらずにこのまま収束してくれればよいと願うばかりです。
 さて今日は、コンサート開催のご案内をさせて頂きたいと思います。
 
 11月27日に大船(鎌倉市)でライヴコンサートを行うこととなりました。
 大船(おおふな)は 、京都に転居する前、長い間教鞭を執った女子校の在る、懐かしい思い出の地です。
 教師時代を共に過ごした同僚やたくさんの教え子の方々、知人たち、今もこの地に多く過ごしていらっしゃるのですが、その中の親しい友人が、「一度地元でシャンソンを歌ってほしい!」と、大船中通りにあるライヴハウスを探して下さいました。

  松峰綾音 月の庭 シャンソンと朗読のひとときvol.9
  『あのときの味』

  会場:パラッツオ・ヴィオラ
     鎌倉市大船1-22-11 大船駅より徒歩2分
  日時:2021年11月27日(土曜日)
     ティータイム14:00~14:30 コンサート14:30~
     料金:¥4,000円(飲み物、ケーキ付) 

あのときの味修正チラシブログ
ケーキとお茶を召し上がって頂いてからのコンサートタイムです。
 先日打ち合わせに、スタッフと共に会場に行ってきました。
 久しぶりに訪れる大船の街、お店が入れ替わったりはしていましたが、街並みは昔のままで、タイムスリップするように、様々な思い出が蘇ります。教師として過ごした日々から長い時間が経ち、今度は歌を歌い、語り、聴いていただく、時間の流れの中で、時おり思いもよらない展開が起こってゆくことがあるのですね。殊の外感慨深く感じられます。

 コロナ感染対策を万全に行うため、定員は本来の席数の半数以下の40名程度に抑えたいと思います。席数に限りが ありますのでお越しいただける方はお早めにお申し込みいただけると幸いです。

 『あのときの味』・・・・数年前に京都の巴里野郎でのクリスマスライヴで、
 『デリシャス・クリスマス』というタイトルで開催したことがあったのですが、コンサートのコンセプトはこの時とほぼ同じです。
 関東でも、共通する内容で開催出来たらとずっと願っていたのですが、今回実現できることがとても嬉しく思われます。

 『あのときの味』・・・・いつ、どんな時、どこで、誰と共にした食事やお茶の時間が、あなたにとっての忘れられない味ですか
 昼下がりのティータイム
 胸の深いところでそっと噛みしめるそんな味わいを
 新しいシャンソンと日本文学の朗読でお楽しみください

 ご希望の方はWEBのコンタクトからお申込み下さいますように。



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「Amical AYANE」(友の会)

 実は昨年末、私の活動を応援して下さる京都の有志の方たちが発起人となって、「Amical AYANE(アミカル綾音)」という名の友の会を立ち上げて下さいました。
 
 コロナ禍のこの一年半、誰もがそれぞれの抱える状況と困難に向き合ってきたわけですが、私も同様で、様々な試みは滞り、コンサートも延期が続いてまさに足踏み状態にありました。「こんな時こそ、背中を押してやろうじゃないか」との友人知人たちからの温かいエールだったのではと思います。

 「Amical」は元々「フレンドリーな・親愛なる」というような意味合いのフランス語ですが、「AYANE友の会・綾音を囲む親睦会・応援団」という気持ちで命名したとの発起人の方々のお言葉。
 既に「AA」とか「綾音友の会」とか適当な呼び名になっているとのことです。

 現在は、友人、知人、いつもコンサートにいらして下さるお客様など、身近な方々から少しずつご入会を頂いていると伺っています。
 『紋次郎物語』の出版に際しても、発行元を「Amical AYANE事務局」とさせて頂くなど、発起人や事務局長には大きなお力添えを頂きました。
AA友の会

 出版も実現しましたし、この度の『月光微韻』コンサートの中でも既にこの会の事をお話ししましたので、ブログでもご紹介をと思った次第です。

まだスタートラインに立ったところですので、今後、会をどう運営し発展させてゆくのか、どんな活動が可能なのか、すべてはこれから。様々試行錯誤しながらご相談させていただいている段階です。
 それにしても、先の見えないこのような時節に、皆様で支えて下さり、会の実現にまでこぎ着けていただき、本当にありがたいことだと思っています。
 私自身も応援して頂くばかりでなく、会員の皆様とも双方向に楽しさが深まり、可能性が広がっていけるよう、全力でお応えしていかねばと考えています。

 会員の特典など主な内容は次の通りです。

 *会員への特典内容(以下のご案内・ご連絡を優先し出状致します。)
   ・演奏会・イベントの日程・内容のご連絡と優先予約(会員価格)
   ・会員限定のイベント(ミニコンサート・囲む会・対談等々)
   ・演奏会・イベント時の懇親会等
   ・会報誌等の送付

 皆様と共に和気藹々と集い、音楽や文芸のお話、シャンソン訳詞の裏話、そして普通のおしゃべりなどもたくさんして、朗読や歌も聴いていただけるそんなアットホームな特別イベントができたら楽しいでしょうし、ランチ会も良いのではなどと、想いは広がるのですが、でも現在の状況では、皆で一堂に会するのは難しいですね。
 せめて、可能になった時のために、今のうちに様々な企画を考え、準備をしてゆきたいと思っています。

 それにAA事務局の皆様は結構厳しくスパルタ式で、弱音を吐いたり、ぼんやりしたりしていると、「次のコンサートは決まりましたか?」とか、「次の本の執筆は進んでいるんでしょう?」とか「お便り原稿をお願いします」とか柔らかくかつ確実に注文が届くのです。
 私は一つのイベントが終わると次への充電期間が長く、腰が重いのが大きな弱点なのですが、そんな性格には、得難い叱咤激励であるかもしれません。こういう声をかけて頂けることの幸せをかみしめています。
 
 AAの輪も活動拠点である京都と東京・横浜を結んで、交流が広がっていったら楽しいと思っています。
 色々に夢が膨らんでいますが、ご興味を持って下さる方はまず、AA事務局あてにメール(aa.tomonokai@gmail.com)でご連絡ください。詳細が事務局よりメールで届くと思います。

 

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『月光微韻』コンサートご報告

 お陰様で3月27日の山手ゲーテ座でのコンサートも無事終了致しました。今から思えば、まさにコロナ感染の谷間だった気がします。
 安堵感の中で一週間ぼんやりしていましたら、不測の事態でも?と、ご心配をおかけしてしまったようですが、何事もなくとても元気で過ごしております。

 写真やDVDなども届いて参りました。
 20日の京都公演と27日の横浜公演の模様を今日はご報告したいと思います。

   会場の力
 横浜公演に来られたお客様から村上春樹氏のこんな言葉を引用したご感想を頂きました。

 自分の心だと思っているのは、心全体のうちのほんの一部分にすぎない。残りの領域は手つかずで、未知の領域として残されています。
 でも、自分を本当に動かしているのは、その残された心なんです。
  意識や論理じゃなくて、もっと広い、大きい心です。
 じゃあ、その心という未知の領域を、どうやって探り当てればいいのか。その役割を果たしてくれるものの一つが物語です。
 心と意識の間にある隙間を埋めていくのが小説・文学の役割です。
 ・・・・・

 月のかそけき光が静かに地上を包み、様々な物語が繰り広げられる。
 『月の庭』はまさに心と意識のすき間を埋めて行く感覚的作業のような気がしています。
 今回のコンサートはそれを支えてくれる会場にこだわりました。
 京都は文化博物館別館ホール、辰野金吾氏設計による明治期の近代建築の粋を集めた威風堂々とした建物。横浜はポール・サルダ設計の山手ゲーテ座ホール、西欧化の先駆けとなった演劇・音楽の殿堂。
 両コンサートとも見守ってくれた私の友人は、「京都では柔らかい優しい月光の光が見えて、横浜では冷ややかで鋭い光で射抜かれた気がする」と詩的な印象を伝えてくれました。
 会場が後押ししてくれる不思議な力って確かにあって、友人と同様の感覚を私自身ステージに立った時に感じた気がします。
プログラム2

 今回のプログラムは、そんな思いを込めて、こんなデザインにしてみました。
二種類作成し、「お好きなほう」を受付で差し上げたのですが。


   京都文化博物館コンサート 
一部1
 紫色の光の中で「月の庭」が出現していきます。今回のイメージカラーは青と紫。

 第二部は黒の衣装。この写真は「黒衣聖母」を朗読している場面です。
二部朗読
 このような「経本仕立て」にして、読み進むにつれてはらりはらりと落ちていく趣向です。
 実はこれがとても好評でした。
 「『黒衣聖母』の鬼気迫る内容にこの落ちていくタイミングがぴったり溶け込んで、怖かった」、「私も買いたいからこの折本の販売元を教えて」と言われました。
 経本の形に折ったのは、友人のアドバイスによるもので、江戸時代の逸話の背景に合うのではと自分で作ったものなのです。


   山手ゲーテ座コンサート
 いつも私のコンサート写真を撮影して下さっている沢木瑠璃さんに今回もお願いすることができました。写真を追いながら横浜公演のご報告を致します。

 ゲーテ座ホール桜満開。眩しい日差しにはらはらと舞う桜が美しかったです。
ゲーテ座 ゲーテ座2
受付には『紋次郎物語』のご案内をしました。
「プレゼントにしたいから」と何冊もお求めくださる方もいらして、嬉しいものですね。紋次郎も横浜の皆様にもかわいがってもらえて本当に幸せ者です。
紋次郎物語 AA入会
「ファンクラブの入会申し込み」・・・Amical AYANEというファンクラブが実は昨年末に発足したのです。
 京都を中心に私の活動を応援して下さる有志の皆様で作ってくださった会、
 このことはまだ発表していませんでしたので、今回のコンサートが初お目見え。これについては、また改めてご紹介致したいと思っています。
ホール
 客席は、密を避け、間隔を広く取っていますが、いらした皆様には安心感がありますし、ゆったりと座って頂けたのではと思います。
一部3
 
 落ち着いて舞台に集中出来る素敵なホールです。

 「会場も程よい広さで、味わい深い良い場所でしたね。
磨かれた床に映ったドレスが、夜の海に映る月光のように見えた時は感動しました。」とのカメラマンの沢木さんの言葉。

 その様子を写真に素敵に収めて下さいました。

第二部のテーマは「祈り」、黒のイメージです。
2部2
「汝の祈祷 神々の定めたまふ処を動かすべしと望むなかれ」
 『黒衣聖母』のテーマは、この時節には身につまされて重い痛みを心に感じますが、でもだからこそ、ひりひりとした感覚の中でしっかりと受け止められる主題なのかもしれません。
 さすが芥川龍之介の筆致は迫りくるものがあり、聴く方にとっては刃が差し込まれるような衝撃があると思うのですが、読んでいる私自身にも言葉自体の持つエネルギーがそのままブーメランのように心に戻ってきて、放心状態のようになるのです。エネルギーを吸い取られるような,魔的な感覚というのでしょうか。言葉を発することって、そういう真剣勝負の要素を含んでいるのかもしれません。
3人共演
 横浜公演限定で、後半コーラスが加わりました。何年ぶりかで歩さんの登場。久しぶりとは思えないほど息がぴったりでした。
  裏話。
 東京と京都、コロナも邪魔してなかなか会って練習ができませんでしたので、zoomを使ってのリモートレッスンで急場をしのぎました。窮すれば通ず。ただ微妙に時差が生じ、やまびこのように遅れて歌が届くのには難儀しました。でも本番はその分、感慨深かったです。

 そしてアンコール。
二部3
 客席の表情もうっすらと見えます。久しぶりで人と会え、人のぬくもりを感じた時間でした。
 じかに話す、語る、歌うってやはり何ものにも代えがたい素敵で大切なことだと思いました。声を発するその熱量が客席に届いて、同じような親和感を持ってこちらに戻ってきます。
 大げさな物言いかもしれませんが、人が生きるって本来そういうことなのではないでしょうか。
 まだしばらく今の状況は続き、それに対応するコミュニケーションの取り方もきっと生まれてくるのでしょうけれど、それにしても早く落ち着いて、普通のライヴが普通に開催される日がくるように祈るばかりです。
   花束
 一年半、延期したコンサートがこうして実現できました。
 励まして下さり、力を貸してくださいました多くの皆様、ご来場下さいましたお客様に心から感謝申し上げます。
 ありがとうございました。



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京都公演無事終了しました

 20日土曜日、京都文化博物館ホールでのコンサート、無事終了致しました。

 この日を待っていてくれたかのように、一気に桜が開いて春爛漫。
 天気予報「雨、夕刻から激しく降る」の中、眩しい日差し、相変わらず晴女の記録を更新した一日でした。 
ホール1
 京都文化博物館別館ホール、ライトの調整が始まると、古色蒼然とした重厚な雰囲気が益々濃くなってゆきます。
 音響と照明は以前からお世話になっているとても信頼のおけるスタッフ、優れた技術で、この吹き抜けの建物を最高の味方につけてくれました。
ホール2
 音の響きがとにかく素晴らしかったです。旧日本銀行の建物だったとは思われないくらい本格的なホールそのものの音であると感じました。
 照明も、私が漠然とイメージした光・色彩を伝えたその雰囲気を、更に美しく出現させてくださって、お客様からも大好評でした。
朗読影
 横浜公演が、5日後ですので、コンサートの詳細なご報告や写真公開はそれが終わってからにしたいと思います。
朗読をしているときの影だけ。

 広いホールに、かなり限定した席数で、本当だったらもっと大勢の方に楽しんで頂けたのにと、残念な気はしましたが、でもその分ゆったりと距離を取ることができたので、今回はこれで正解だったのではと思っています。
 「「空席を除けば満席です」と言えば良い」と友人がいつも励ましてくれますが、この日空席は一席もなく、ご予約の皆様、文字通り全員いらしてくださって、大感激。
 感染予防対策にもご協力いただき、お見送りも壇上からさせて頂きました。本当に有難うございました。
桜ハンカチ
 こんなプレゼントを頂きました。
 FEILERの桜のハンカチ。

 満開の美しさ、散り際のはかなさ、風雪に耐えて、ほとばしる命の輝き・・・
 多彩な表情に人生を重ね、時を超えて愛されている花・・・
 街にも心にも、かならず優しい春が訪れるように再生と復興の願いを込めて。


 ケースに記されていた言葉もまた素敵で、力が漲ってくる気がします。

 昨日、散歩した白川沿いの桜、サギがのんびりと遊び、のどかな春の到来を告げていました。
白川筋1 白川筋2

 京都公演の実現のためにこれまで、応援して下さり、たくさん力を貸してくださった皆様、会場にお越しくださいましたお客様、心から感謝申し上げます。
花束
 27日の横浜公演も更に良いステージになるよう力を尽くしたいと思います。
 横浜公演のチケットはあとわずかとなっています。

 ご希望の方はお早めにご連絡頂けると幸いです。



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『月光微韻』京都公演三日後です

 本当だったら昨年の今頃行っていたはずの『月光微韻』コンサートですが、一年間、延期を繰り返して、ようやく三日後の京都での開催が目の前です。

 コロナの感染予防対策には細心の注意を払い、とにかく密を避けることが第一優先。
 思い切って定員も半分以下に減らし、座席の空間を大きく取ることにしました。
 広い吹き抜けのホールにパラパラと置かれた椅子席、ステージと客席との間も大きく距離を取って・・・当日の不思議な光景が脳裏によぎります。
 本来なら、考えることのなかったたくさんの難題に向かいながら過ごしてきた準備の日々でしたので、開催が間近となり感無量です。

  今日午前中、直前の通しリハーサルをピアニストの坂下さんと行いました。
 「逆境の中で身を低くし、かがみこめば、それだけジャンプする力は強くなる」とよく言いますが、今日は歌いながらそれを実感していました。
 歌えることの幸せがジーンと胸に迫ってきます。
 本番さながら、坂下さんと気合が入り、嬉しい充実感、手ごたえがありました。

 京都はかなり沈静化してきたとは言え、こういう状況下に足を運んでくださるお客様に本当に感謝し、力を尽くしたい。安全に過ごしていただきたい。心地よさを胸に帰路に着いていただきたい。
 コロナ禍に耐えているこういう時代だからこそ伝わるものもあるのではと、色々な想いが今去来しています。

 そして、27日は山手ゲーテ座での公演。
 両会場とも、あと少し座席がありますので、よろしかったら是非お聴きにいらしてください。

リハーサルからの帰り道、四条大橋から鴨川べり、そして白川。
鴨川べり
 先斗町のお店も少しづつ賑わいを取り戻し始めています。鴨川べり名物の等間隔の恋人たちの団欒も、今年は心なしかソーシャルディスタンスの幅が、より広く感じられます。



 柳の柔らかい新緑が春の光に映え、桜の蕾も大きく赤く膨らみ、ちらほらとほころび始めていました。
桜1 桜2
 京都の開花宣言は、史上最速の昨日16日でしたので、当日は色鮮やかな七分咲きの頃でしょうか。

 桜の中でのコンサート、楽しみです。
 月の光のように密やかに優しく、春の眩しい日差しのように心温まるコンサートにしたいです。



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『月光微韻』コンサート3月公演決定

 新型コロナで終始した令和2年ももうすぐ終わり。
 あっという間だったような、色々目まぐるしく変動したような、・・・・
 でもこの非常事態の中でも、幸いにも、自分も親族・友人・知人皆も無事で過ごせたことにまずは感謝しなければならないと思います。
 この一年の体験や胸に去来する想いを持ち寄って、しみじみと人と心通わせ語り合いたいような心持ちになる年の瀬です。

 さて、本日はコンサートのお知らせです。
 6月から延期を繰り返してきました『月の庭 vol.8」ですが、2021年3月に開催することを決定いたしました。
月光微韻チラシ表面



   3月20日(土)17:30開場 18:00開演
     京都「文化博物館 別館ホール」

月光微韻チラシ裏面修正最終稿電話消し



   3月27日(土)13:30開場 14:00開演 
    横浜「岩崎博物館 山手ゲーテ座ホール」


 6月当初の予定通りの会場です。


 安心してお客様にいらしていただける時期をずっと慮っていたのですが、なかなかコロナの完全収束には至らず、一度すべてを白紙に戻そうと考えたこともありました。
 でもこんな時だからこそ、同じ場にあって、歌と言葉の世界を媒体として、心を感じ合うことには大きな意味があるのではと思い直し、今は、細心の注意、最善の対策を講じた上で、開催を目指したいと、意気高まっています
 もちろん、果たして3月にどのような状況に至っているのか予想もつきませんので、その時々に柔軟に対処することは言うまでもありませんが、ともかくも、準備に全力を尽くして、素敵なコンサートの実現に向かいたいと思います。

 コンサートの構成、選曲への思いも、長いコロナ禍の月日を通して、自分の中で微妙に変化してきた気もします。
 内容を更に昇華して、今だからこそ発信したいコンサートをお届けしようと思います。

 京都・横浜両会場とも、新型コロナの状態を見ながら慎重に判断し、直前でも状況によって撤退の覚悟で臨んでいます。
 また、場合によってはライブ配信の形も視野に入れるかもしれませんが(その際にはまた改めてお知らせいたします)、まずは、感染予防対策を万全とし、座席数も両会場とも通常定員数より大幅に縮小して開催致しますので、お出かけ頂ける方はお早めにご予約下さいますと幸いです。
 チケット予約・お問い合わせは、いつものようにWEB松峰綾音のコンタクトからお願い致します。

 なおコロナ関連でコンサートが中止になった際には料金は全額返金致します。
 また当日、体調がお悪いような場合には、他のお客様の安全を考慮の上、入場をご遠慮いただきたく存じます。この際にもお知らせ頂けましたら料金は全額返金させて頂きます。

 会場の消毒・換気等につきましては徹底を図りますが、お客様には、
   *マスク着用、ご来場の際の検温と手指の消毒の協力
   *すべてのご来場者のお名前・メールアドレス・電話番号などの登録
  (当日のコンサートに関するご連絡以外には個人情報は使用いたしません)
 以上の対応にご協力下さいますように。
 
 3月を前にして、まだ鮮明な形にはなり切れていないにしろ、心の奥にうごめいて、何かが生まれ出ようとするようなもぞもぞとした奇妙な感じがあるのです。コンサート当日までそういう気持ちと向き合う中で、どんな結実が生まれるのか、不安と期待の入り混じった自分自身への挑戦でもあります。

 この状況の中で、友人・知人になかなかゆっくり会うことができません。
 だからこそ、電話やメールや手紙で、さりげなく声を掛け合う時が、とても貴重に感じられたりもしますね。
 それぞれが、一筋縄ではいかない様々な事情や思いを抱えていて、お互いの会話の中では、つかの間、その思いのたけを吐き出し合ったり、あるいは言葉少なく「ともかく元気なら何より」とうなずき合ったり、・・・。
 そういうことが、生きる上で本当に大切なのだと思い知らされる日々でもありました。
 色々な場面で、ささやかな心の触れ合い、何気ない言葉の積み重ねに助けられ支え合って、「人は在る」のだと改めて実感する昨今、この度のコンサートの決心につながったのもそんな思いからだった気がしています。

 詳細はこれから、折々ご案内してゆきますが、まずは、コンサートの第一報をお知らせいたしました。



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朗読の動画

   コンサート開催への願いを込めて
 本当なら6月と7月に開催していたはずのコンサート『月光微韻』。
 コロナ禍が長期化して、なかなか実現にこぎ着けられず、企画だけが宙に浮いたままで留まっています。

 コンサート・演奏会だけではなく、演劇・ダンス等の様々な舞台公演、映画・テレビに至るまで、それぞれの関係者が先行きの見えない現状に息を潜めている現状ですので、これも致し方ないのですが、それでも、どういう形なら表現が可能なのか、今だからこそできることは何なのか、深く内を見つめる時間にもなっているのだと思います。

 私に今できること、・・・自分のペースで粛々と、様々な曲に触れ、心に触れる作品を掬い出し、訳詞制作を持続してゆくことかもしれません。
 そんな風に思いつつ、家籠りが続いていましたが、夏の終わり、軽井沢で、いつもの友人たちとの再会が叶いました。
 前にお話ししたことのある『勝手に松峰綾音ファン倶楽部』の皆様です。

 距離を保ちながら、細心の注意をお互いに払っての団欒は、だからこそとても懐かしく貴重なひととき、皆それぞれが最近の出来事を語り合う中で、『月光微韻』のために用意した朗読作品を是非聴いてみたいとの声が上がりました。

 ソーシャルディスタンスが肝心、部屋の四隅に分かれ、遠ざかって聴いて下さる友人たちの前で45分ほどのプライベートな朗読会を行ったのです。


   ジャズと芥川、中也、朔太郎
 作品を読み始めたら、「何か意表を突くBGMがあったら、また面白さが増すのでは?」という意見が出て、では曲を探そうという話に急転直下。
 シャンソン、クラシック、童謡、ジャズ・・・
 ジャズをバックにして朗読してみたら、これまでにない不思議な雰囲気が醸し出されました。
 和気あいあいと、かなり長い時間の曲選びの末、満場一致でそれぞれの朗読作品に合わせる曲が決まり、音楽を流しながらの朗読タイムが始まりました。
 ビデオ撮影をいつも受け持ってくださる友人がいつの間にかカメラを回していて、出来上がった動画がこれです
動画
 5分ほどの動画ですが、この夏の「勝手に松峰綾音ファン倶楽部」の素敵な所産となりました。

 芥川の『黒衣聖母』は『月光微韻』コンサートの中心演目、かなりシリアスな作品ですし、舞台は江戸時代ですので、音楽を合わせるとすれば雅楽器がしっくりするのでしょうが、ジャズを流してみたら、和洋の融合、意表を突いた美しいイメージが生まれてきた気がします。

 シルエットだけの動画の、とてもセンスの良い映像にも感激してしまいました。
 ファン倶楽部の皆様、いつも温かい応援と素敵な作品の制作をありがとうございます。

 朔太郎の『月光と海月』も、中也の『月夜の浜辺』も、芥川の『ピアノ』も、月の光をイメージした「月光微韻」コンサートに予定している演目ですので、この動画はいわば予告編、coming soonということで、さわりだけでもお届けしたいと思い、ここに載せさせていただきました。
 幻のコンサート・・・・実現の折には、丸ごとじっくりとお聴きにいらしてくださいね。

   12月そして3月
 まだ正式発表の段階ではないのですが。
 実は一応、会場予約は取れているのです。
 二会場とも延期開催ということで申し込みを済ませ、横浜ゲーテ座ホールは12月13日、京都文化博物館ホールは3月20日開催予定となっています。

 でも、当日、お客様に万一のことがあったら大変ですので、コロナの広がり方を注視し、可能な限りギリギリまで待って、その時の状況で最終判断をし、改めてご案内したいと思っています。
 
 それまで、根気強く準備と練習を重ねて、皆様に喜んでいただけ、自分でも納得のいく舞台を目指していきたいです。



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『月光微韻』コンサート延期致します

   延期のお知らせ
 様々な準備を重ねてきました『月光微韻』コンサートですが、日一日と事態が深刻化する中、6月5日の京都、7月5日の横浜、それぞれの公演の開催を延期することに致しました。
 開催日程については、状況を見ながら現在調整中です。
 コンサートホール関係の皆様もこの混乱の中で、色々苦慮しておられることがわかります。
 決まりましたら、改めてお知らせ致しますので、どうぞお楽しみにお待ちください。
 すべてが収束して、伸びやかに音楽を楽しめる平和な日常が一日も早く戻ってきますように。
 「無事乗り越えられて良かった!」と皆で笑い合いながら集える時が待ち遠しいです。どうぞくれぐれもご自愛なさってお過ごし下さい。

 ウイルス感染が発症した当初には、まさか誰もこんな大変な事態になるとは予測していませんでしたね。
 或る歌手の方などは、2月初めから既に二回、公演を延期して、ついに中止の決断をしたとのこと、誰にとってもこれから先の展開は全く見えない状況です。

 ライヴコンサートもさりながら、あらゆる生活の場において思いもよらぬ障害が次々と起こっています。

 桜1
 前回の記事『世界の片隅に』で、東日本大震災について触れましたが、未曽有の災害で壊滅的な被災の跡を目の当たりにしたあの時の衝撃と、じわじわと忍び寄ってくる掴みどころのない病原菌の気味悪さと、それぞれ異なった脅威と言えるでしょう。
 今回のウイルスの恐怖は、相手の正体が見えず、救いをどこからも望めず、世界中が収束の見えない病に侵されてゆく恐怖であるのだと思います。

 私たちは私たちの範疇で、最善を尽くすしかありませんし、まるで戦時下であるかのように、勝つまではひたすら我慢という忍耐力を試されているときとも言えるでしょう。それぞれがどれだけ強い心持ちで知恵を絞り、そして,より良く乗り越えていくのか、自分自身の根本をじっくりと見つめ直す必要があるのだと思っています。

   ちょっと良い話 二つ
 昨日、どうしても必要な用事があり地下鉄に乗った時の事。
 いつもより人がまばらな車内でしたが、私の向かい側の席に三人の若い男性が乗車しました。
 皆マスクをしておらず、行儀悪くものを食べながら大きな声で笑い興じていました。
 このご時世に!
 不快で、私は彼らから離れて席を移動し、車両の一番端に座り替えました。
 言葉使いも風体も怪しげだったので、注意することは憚られたのです。

 そうしているうちに次の駅に着いた時、また別の乗客が私の側に乗り込んできました。
 中年の女性が一人、初老の男性が一人。
 この二人は向かい合って座ったのですが、女性はだらんとして疲れた様子のあまり身だしなみにも気を使っていない感じの方でした。
 男性は立ち上がり、この女性の傍に行って話しかけました。

 「マスク、今は手に入れるの大変ですよね。良かったらこれ差し上げますよ。
 僕はありがたいことに少し余分に手に入ったのでいつも2~3枚持っているんです。
 困ったときはお互い様だから使ってください。」

 「ど、どうも・・・・どうも・・・ありがとう。」
 そんな返事しかできず、女性はびっくりした様子でおずおずと受け取り、手渡された個包装の新品マスクをつけました。
 それから、二つ目の駅で彼女は降り、降り際、今度はしっかりとした声で「本当にありがとうございます」と男性に礼を言いました。
 「いいえ、どういたしまして。」と優しい笑顔で男性は軽く会釈。

 ただむっとして席を変わるしかできなかった私とは全然違う・・・。
 普通に、電車の片隅の席に、こういう人がいる。
 心が熱くなった時でした。
              
   <もう一つのお話>
 朝のラジオで聴いたお話。
 休校で家で過ごしている小学生とその母親にインタビューする番組でした。
 初めに母親に、「今は家族が家に居て何かと大変でしょう?」と尋ねるのですが、大体の母親は、<夫も自宅ワーク、子供も家に居るようになって、皆でストレスが溜まってきている>とか、<三回のご飯作りが大変>とかの返事が多いのですが、この日インタビューに答えたお母さんは、「全然大変ではありません」との明るい答えでした。
 そのあと、小学生の男の子に代わって、「長い春休みはどのように過ごしていますか?」の問い。
 これに、「とても楽しいです」「色々な料理をお母さんから教えてもらって作りました。お父さんにもお母さんにもとても美味しいと喜んでもらえて毎日楽しい」とのこと。

 男の子はもともと料理に興味を持っていて、自分で作り方を教えてもらいたいと申し出たのだそうです。そうしたら、めきめきと上達してきて、今ではお菓子作りなどにも挑戦しているのだとか。
 元々、料理は男性の方がセンスがあるといわれていますし、この子はもしかしたら将来素敵なシェフになるかもしれませんね。
 それから、これも家庭教育だからと、洗濯や掃除も一緒に皆で楽しみながら分担し始めたとのこと。その中での和やかな会話が聞こえてくるようで、これまで皆が忙しくしていた家庭を一変させるきっかけにもなったようです。
   桜2
 お母さんが元々明るい性格で、日常に楽しみを見つけられる方だったのでしょうね。
 家庭によって様々なパターンはあるのでしょうけれど、いずれにしてもマイナスをプラスに、逆境をバネにして行けることは、ささやかでも、とても尊い、人だけが持ちうる知恵なのだと、温かい感銘を受けたのでした。

 反省するばかりの私ですが、この二つのお話をご紹介してみました。



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