
昼間は余りにも暑過ぎて、不用意に歩くと熱中症になってしまいそうですし、朝なら・・・運動不足解消にもなるのではと。
6時少し前から、スタート。
京都は朝も侮るなかれ!熱気がムンムンとしていますが、それでもどこか落ち着いた静かな朝の気配が漂っていて、気持ちが良いです。
今日は、我が家の近くの散歩道をご一緒に。
少し歩くと、堺町三条にある京都の老舗コーヒー店、イノダコーヒ本店(正式名称はコーヒーではなくコーヒなのです!)の前に出ました。
ガイドブックに必ず紹介されている喫茶店の代表格。いつも満席で順番待ちの繁盛ぶりです。この頃は、モーニングが評判で、ホテルの朝食をキャンセルしてまでやってくる観光客の方たちも多いようですね。


7時から営業という看板が出ています。
この時6時20分。それなのに、何人かのお客さん風の方たちがお店の中に入ってゆきます。
お店の前で写真を撮りながらうろうろしている私は、きっとどう見ても朝から舞い上がっている観光客にしか見えないのでしょう。
親切なおじいちゃまが、
「モーニングにきやはったんやろ?7時からやけど、常連はんはもう入ってるさかい、頼めば入れてくれはるんと違う?」
近くでお店をやっているという、どうやら常連客の元締めみたいな方らしく、毎朝、ここのコーヒから始まるのだそうで、頼んであげようか?というお申し出を丁重にお断りして、(実は、お財布を持たずに出てしまっていたので・・・京都っぽい朝をウオッチできるチャンスだったのに・・本当に残念でした)散歩の足を進めたのでした。

この辺りは普通の町屋に混ざって店舗がいくつもありますが、どこも既に綺麗にお掃除され、打ち水が打たれていて涼しげです。
そして京都の台所と言われる有名な錦市場が見えてきます。


どこのお店も、開店準備に忙しそうな様子です。
漬物屋さん、そしてお魚屋さん・・・京都の夏は鱧(はも)寿司を初めとする鱧料理ですが、美味しそうな、のぼりがたくさん立っています。
錦小路の突きあたりには錦天満宮。早朝なのでまだ門は開いていませんでした。

先斗町(ぽんとちょう)の朝、静かです。
四条通りに出て、河原町から四条大橋に。
川岸に立ち並ぶ料亭、レストラン。夏期限定で「床(ゆか)」と呼ばれる高床式のテラスのような空間が出現します。京都の夏に涼を求めた昔からの知恵なのでしょう。暮れなずむ頃、床に席を取り、ともり始める灯りと夕暮れの鴨川を眺めながら、鱧を肴に飲み交わすのが京の通人だったのでしょうか。

桜の頃にもご紹介した祇園白川辺り。
白川の川べりに紫陽花が咲いていました。密やかで風情があります。


柳も青々と大きく生い茂っています。
京都の6月の朝、1時間半の街巡りでした。
* さて、今日もおまけのお話です。
6月30日、今日は何の日だったでしょうか?
正解 = 水無月(みなづき)という和菓子を食べる日でした。

逗子に住んでいた時は、そういう習慣を知らなかったのですが、(たぶん我が家だけでなく、関東では余り聞かないように思うのですが、)京都では、「六月のお菓子は水無月」というお約束があるらしいのです。
6月になると和菓子屋さんの店先には「水無月」の看板がしっかりと掲げられ、月末が近くなると「6月30日は水無月を食べる日」という文字までもが出現します。で、本日30日は、美味しいと評判の店に至っては行列まで出来ます。

郷に入っては、ですので、私も今日は買い求めてきました。
このような、三角のお菓子なのですが、白い部分はういろうです。
その昔、天然の氷室に、冬に出来た氷を保管して、夏の暑い盛りに宮中に運んだという、庶民が口にすることのできなかった貴重品の「氷」、その氷の結晶に見立てた形になっているのだそうです。その上に小豆を散らして魔除けの意味としたとか。(豆が魔滅に通じる語呂合わせからきているという説があります)
6月30日は夏越(なごし)の祓いの神事に因んで、水無月を食べる風習が出来たらしく、食文化の中に伝統が自然に溶け込んで、それが失われず、今も継承されてゆくところはさすが千年の古都だと感じ入ってしまいます。
「水無月」に限らず、様々な食習慣の中に同様のこだわりが残っていて大変興味深いので、また折に触れて色々ご紹介してみたいと思っています。
「水無月」は冷やして食べると口当たりも良く、渋茶に添える夏のお菓子としてお薦めです。


