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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

軽井沢の休日 落葉松のある風景(二)

 軽井沢旅行の続編です。
 前回の記事「落葉松のある風景(一)」の続きから早速お話を進めることにしたいと思います。

    三笠通り 有島武郎 文学散歩
 前回の記事ではご紹介出来なかったのですが、旧軽井沢ロータリーから白糸の滝方面に向かう三笠通りもまた、軽井沢らしい風情が感じられとても落ち着きます。
三笠通りの落葉松並木 かつての草軽電鉄の軌道跡なので、道幅が広く真っ直ぐに続く道に今は車が悠々と行き交っていますが、道の両側と中央分離帯が、それぞれ落葉松の並木になっていて、威風堂々、整然とそびえ立つ風景は軽井沢ならではの趣といえるでしょう。
 夏の三笠通りには、落葉松の深い緑陰が大きく広がっています。

 しばらく歩き続けていると、嘗て<軽井沢の鹿鳴館>と称されたレトロでモダンな建物、旧三笠ホテルが見えてきます。
旧三笠ホテル1
 ホテルとしての役割はずっと昔に終えてしまったのですが、日本人の手による純西洋式木造ホテルであることが高く評価され、国の重要文化財に指定されて、今は記念館として一般公開され室内も見ることが出来ます。
 前回の記事でご紹介した万平ホテルとどこか似ている雰囲気・・・写真からもそれを感じられた方がいらっしゃるのではと思うのですが、それもそのはず、万平ホテルを建築した佐藤万平氏がこのホテルにも建築監督として関わっているのです。

旧三笠ホテル2 ゆったりと静けさを楽しみながら散策している旅行客に混ざって、この日は、AKBみたいな(もしかしたらそうだったのかも??)若い女の子たちの写真撮影が賑やかでした。グラビア写真でしょうか?結構大がかりなチームを組んで撮影していましたから、有名なアイドル達だったのかも知れませんが、観光の方たちは皆素知らぬ顔をして、自分のペースで平然と横切っていました。それで、私も同様に・・・。

 旧三笠ホテル近くの脇道を少し登ってゆくと、有島武郎終焉の地の碑があります。
 有島武郎は、学生時代から随分愛読していて、卒論にも取り上げたりしましたので、ここに来ると、色々な感慨が未だあるのですが、その彼が大正12年に心中によって最期を遂げた浄月庵という別荘(現在は南軽井沢の軽井沢高原文庫に隣接して移築されています)のあった場所なのです。
 沈黙の中にひっそりと、時だけが流れている気がしました。

 昔は、時代に先駆けて奔放な人生を生きた女性、葉子を描いた長編小説『或る女』が好きでしたが、三笠を歩いていたら、彼が、幼い息子達に宛てた随想のような小説『小さき者へ』を何となく今もう一度、読み返してみたくなりました。

    落葉松の四季
 落葉松はその名の通り落葉樹です。
 そびえ立つ木々が、四季の流れの中でとても美しい変化を見せて、落葉松大好きの私はどの季節も遜色なくお薦めなのですが・・・。
 
 初春の芽吹きの頃は、柔らかい早緑(さみどり)色に細やかな針の葉を一斉に付けて、初々しい命の誕生を感じさせてくれますし、それが段々色を増し、やがて夏は、黒々とした深い緑となり、そして秋、10月初めになると黄葉し始めます。

 日一日と黄金色に葉の色が変わってきて、秋の高い陽差しを受けてきらきらと輝く様は何とも美しいです。

 そしてついには、風に乗って針の葉の雨が絶え間なく降り落ちてくる、その下に佇んでいると、そのまま不思議な時間の中に埋もれてしまいそうな酩酊感が生まれて来る気がします。・・・是非一度、金色の針の雨に包まれてみて下さいね!

 11月の半ばを過ぎると、もうすべての葉を落として、枯れ枝だけの眠ったような静寂に充たされ・・・・やがて冬の寒い日は、それが霜で凍りつき、樹氷・・氷の花を咲かせるのも幻想的です。この時期の軽井沢はとても気温が低いのですが、身を刺すような冷気の中で朝の光を受ける落葉松の樹氷を見上げるのも必須のお薦めコースです。

    キャベツのある風景
 落葉松に並んで、私の軽井沢のもう一つのお気に入りは、実は、嬬恋のキャベツ畑の風景なのです。
 嬬恋キャベツは全国的に有名ですが、長野県軽井沢町ではなく、浅間山を超えて、群馬県側、草津方向に少し降りた所、北軽井沢、あるいは浅間高原と呼ばれる群馬県嬬恋村一帯にあります。

 キャベツ畑と落葉松
嬬恋キャベツ 浅間山をずっと登って来ると、軽井沢のお洒落な雰囲気とは少し異なった、もう少し素朴で田舎びた田園風景が広がるのですが、浅間高原の抜けるような明るい光に包まれたこの辺りも私は大好きです。

 キャベツ畑の背景に、落葉松のどこまでも続く峰々。

 道端には<50円です>という札と共に、摘んできたばかりの特大キャベツが無造作に置いてありました。

    落葉松の峰
 初めて告白するのですが。
 もう、気が付いて下さったかも知れませんね。
 <松峰綾音>の名は、大好きな落葉松のイメージから取ったものなのです。
 三笠の陰影のある落葉松の峰・・・・或いは、抜けるような青空の下で、稜線を描き、どこまでも真っ直ぐに空に向かってそびえる、キャベツ畑の向こうにある力強い、孤高の落葉松の峰・・・・。
 そして、落葉松の梢では、いつも風が流れ抜ける音がします。
 心を軽やかに運んでくれるような爽やかで微けき音がします。
 私の中では、そんなイメージなのです。


    帰路の蕎麦の花
そば畑
 帰る途中の小諸あたり。
 蕎麦の花が白く可憐に咲いて、風に揺れていました。
 信州らしいですね。
 夏の休日の最後を飾る風景です。




  *   *   *   *
 9月に入りました。
 束の間の夏休みを終えて京都に戻っています。
 大型の台風が接近してきました。
 どうぞお気をつけて。


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