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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

巴里野郎ライブ 無事終わりました

 昨日、9月28日金曜日の巴里野郎でのライブですが、お陰様で無事終えることができました。
 ご来場下さいましたお客様、そして温かく応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。

 30℃を超えるこの日の日差し、でも夕暮れ時になると柔らかい秋風が吹いてきました。暮れなずむ中、気持ちを引き締めて早めにお店の前に到着。
  巴里野郎  歴代の歌手達 
 前回4月の初ライブから、久しぶりの『巴里野郎』です。
 階段を上がると、突き当りの壁一面に、歴代の歌手たちの写真やフライヤーがぎっしりと張られてあって、一気に<シャンソンライブハウス>の長い時間の中へと誘われてゆきます。

  ステンドグラスとロゴ  巴里野郎のロゴのウサギ
 ステンドグラスがはめ込まれた扉には、巴里野郎のロゴのウサギが。
 よ~く見ると、ウサギが弾いているアコーディオンはPARIS CANALLE(巴里野郎の意味)の文字をデザイン化したものなのですね。
 この扉の向こうに、これから始まるひと時の音楽の世界が広がります。

  誰もいない客席   カウンター横のポスター
 まだ誰もいない客席。
 カウンターの横のポスター。
 懐かしいものに再び邂逅したようで、店の中に漂う不思議な<気>に自然に染まってゆく幸福感を感じました。

 でも今回は不安要素も抱えていました。
 実は、一週間前から、喉の具合が少しおかしいと感じていたので、養生に努めていました。
 その甲斐あって、話す声は普通に戻ったのですが、大事を取って、一週間発声しないでいたブランクが本番でどう響くか、一抹の不安もあったのです。

 しばらくして、ピアニストの坂下文野さんがいらっしゃって、何曲かリハーサルをして下さいました。
 繊細で美しいピアノの音色、優しく溶け込むように流れてゆきます。前回ご一緒しただけなのに、歌い手の微妙な歌の表情まで読み取って下さっているのですね。

 マイクを通した自分の声が、誰もいない客席にいつも通りに響いて・・・・ほっと安堵です。
 ようやく解放された気がして、お客様がいらっしゃるのが待ち遠しく感じられました。

 二つの花束
 ステージの上、ピアノの側に添えられた二つの花束。
 左側のオレンジの薔薇の花束は、大切なお友達、MさんとSさんからの贈り物。添えられたカードの温かい言葉。4月の初ライブの時も。・・・・本当にありがとうございます。
 ライトに照らされて、ずっとステージに寄り添い見守ってくれて、・・・・大きな勇気をいただきました。

 カトレヤ、薔薇、紫陽花・・・・大胆な色遣いの素敵なお花。
 右側におかれた花束は、近くに住む、美容師をしていらっしゃるNさんからのプレゼント。
 温かい笑顔が素敵な、お孫さんに囲まれた優しいおばあちゃま。
 シャンソンがお好きでご自身も歌っていらしたのに、腰を悪くされて外出が儘ならなくなってしまわれたと聞きます。
 私のライブの日を心にかけて、応援して下さっていたのですね。どうか早くお元気になられますように。

 発声にいつも以上に細心の注意を払っていたためか、却って柔らかく安定した響きが保てたようで、この日は計9曲の歌を楽しんでいただきました。
 今後の、更なる健康管理の方法、アクシデントへの対処のあり方、色々な発見や学ぶことの多い貴重な経験となりました。

 以前ブログでもご紹介しました、『愛を失くす時』 『私の街の男の子達』、そして『糸の上』という曲、この三曲はライブでの初披露の曲でしたが、お客様も喜んでくださり、とても嬉しかったです。
 堀内環さんは、いつも変わらぬ穏やかで温かいお人柄で、親しい仲間・存在に感じられて(大先輩なのに失礼なのですが)、休憩時間にはシャンソン談義までして下さって、ご一緒にステージに立てることが本当に楽しく思えました。
バラの花束 
 一夜明けて、頂いた花束を朝の光の中で撮ってみました。

 オレンジの薔薇は12本、芳しい香りが、今、部屋に漂っています。
 元気の出る力強い彩り、これから染まってゆく鮮やかな紅葉の燃える色合いを思い起こさせました。

Nさんからの花束


 玄関に飾ったNさんからの花束が個性的で鮮やかな魅力を放っています。
 
 皆様に感謝を込めて。 
 





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京都南座探訪(二)~寅さんと渥美さん

 前回の記事『京都南座探訪(一)~「山田洋次の軌跡」』の続きから早速。

チラシの一部分 

「~フィルムよさらば~」と名付けられたこのイベントへの山田洋次監督の思いを中心に、前回はご紹介してみましたが、今日はこのチラシにある『寅さん、南座に現る。』がテーマです。



   映画セットの体験コーナー
 午前中の『男はつらいよ』の日替わり上映が終わり、午後の映画上映までの休憩時間に、南座の舞台は、大急ぎで様変わり。

「くるまや」のセット
 寅さんのおいちゃん、おばちゃんが商っている柴又のだんごや「くるまや」の映画セットが作られます。
 体験料500円を払うと、花道から、この舞台に上がることができます。
 舞台上には大きな照明やカメラが据え付けられていて、寅さん映画の撮影現場にタイムスリップしたような気分で、さながら「くるまや」のお客さん役エキストラA・B・C・・・・という感じでしょうか?
 「いらっしゃいませ~ お好きな席におかけくださ~い」とおだんごやさんの従業員に扮したスタッフの方に声をかけられました。
 店先のテーブル席が一杯だったので、奥の茶の間に腰を下ろすことに。
昔のテレビ。その上には『車寅次郎』と署名入りの『反省』と書かれた書がかけられています。
間髪を入れず、「くるまや」のお姉さんは、お茶とお菓子を運んできてくれました。
お団子じゃなくて、生八つ橋だったのが、京都っぽくて面白かったですが、のんびりとしただんごやの雰囲気全開です。

 テレビの上の「反省」の書 くるまやの皆さんと記念撮影
更に「お写真撮りましょう!」と「くるまや」の家族が写った後ろのパネルと一緒に記念撮影を。
いつもブログに顔を出すのは控えているのですが、今日は特別出ちゃいます。・・・寅さんの家族と溶け込んでいるでしょう?

  二階に上がる階段   二階の寅さんの部屋
 二階に上る階段です。寅さん映画でお馴染みですね。
 そして二階は寅さんの部屋。意外と整頓されています。
夕焼けに蝉の声
 南座ならではのサービス、回り舞台が一周します。
 「くるまや」の朝から夜まで夏の一日の変化を回りながらお楽しみください>という趣向で、一日の光の変化と外の生活音が時間と共に移ってゆきます。
 夕焼けが障子に映って蝉の声がしていました。

 <なりきり寅さん>というコーナーもありました。
あのトランク、あのジャケット、あの帽子一式を貸してくれて、南座の花道で記念写真を撮ってもらえるのです。
さっそく続々と色々な寅さんが。

なりきり寅さんセット なりきり寅さんと花道
 私も・・・と一瞬思ったのですが、さすがにこれは思い留まりました。寅さんになってライトを浴びながら南座の花道で写真を撮るというまたとない経験をし損ないました・・・・女寅さんもちょっと面白かったかな?残念。

   寅さんのトランク
 展示コーナーには、歴代の「男はつらいよ」の説明、パネル、撮影現場のエピソード、マドンナたち、豊富な資料があって楽しかったです。
 映画で使われた小道具なども色々紹介されていましたが、寅さんが旅先から「くるまや」の家族に送った年賀状もありました。
 こんな文章で綴られています。

   新年おめでとうございます。
  思い起こせば旧年中は恥ずかしき事の数々
  私 深い反省の中に新しき年をむかえておりますゆえ
  本年もどうぞよろしくお願いいたします。
           車 寅次郎拝 

 寅さんは結構筆まめで、旅先から頻繁に便りをしていますし、ツボを心得た、実はなかなかの名文家であると私は密かに思っています。
寅さんの旅行鞄の中身
 もう一つ、面白いものがありました。
 いつも寅さんが持っているトランクには何が入っていると思いますか?
 寅さんトランク初公開です。
 *<鉄道・バス路線案内図><時刻表><全国地図>・・・全国飛び歩いているのですから納得です。
 *<歯ブラシ><髭剃り><浴衣><下着><トイレットペーパー><目覚まし時計><トランジスターラジオ><扇子>・・・・大変なんですね。
 *<蚊取り線香><正露丸><改源>・・・・・笑ってしまいました!<正露丸>は私の父の愛用薬、<改源>は私、良く効くんです。
 *<花札><さいころ>・・・・渡世人ですね。
 *<便箋><封筒>・・・・厳選した荷物の中に忍ばせているのはなかなか奥ゆかしいです。


   『渥美清の伝言』
 寅さんを28年間演じ続けた渥美清さんは、1996年(平成8年)68歳で転移性肺ガンにより他界されました。
 亡くなる一年前に最終作48作目の『寅次郎紅の花』に主演していらして本当に寅さんとして役者人生を全うされたのだと思います。
渥美清の伝言 
 『渥美清の伝言』(NHK「渥美清の伝言」制作班編1999年発行)という本があります。
 亡くなる数か月前に、NHKの「クローズアップ現代」で「寅さんの60日」という番組を放映したのですが、この番組を取材してゆく過程での渥美清像が様々な関係者の証言も交えながら克明に記されています。
 私は、この番組もオンタイムで観ていましたが、かなり病気が進行している時だったようで、非常に憔悴して痛々しく、それでも、対極にあるような寅さんを演じ抜いてゆく一人の演技者の壮絶さ、神々しさに胸打たれたことを今でも忘れません。
 病魔に侵される前、若い頃から、素顔の渥美清さんは非常に物静かで聡明な学究肌の方だったと聞いています。プライバシーは一切表に出さず、普通の良き家庭人に徹していらしたということです。

 私は渥美清さんの大ファンなのですが、初めて心魅かれたのは、ずっと昔、「徹子の部屋」での、黒柳さんとのトークを聞いたときに始まります。
 彼がアフリカ旅行をした時の経験談を語っていて、その時、肌で感じた自然の雄大さや驚異、現地の人たちとの触れ合いを感動を込めて話していらした、そのお話が本当に素敵だったのです。
 人は、こんなに生き生きと真っ直ぐに、目に見えるようにものを表現して語ることができるのかと、陶然として聞き入ってしまいましたし、こんな風にものを感じ、魅力的に話をする人が世の中にいたとはと、子供心に心底感服したことを今も思い出します。
 スクリーンの中の素っ頓狂な寅さんと、あの時の深い人格が滲み出るような渥美さんとは一見そぐわない気がしますが、でも人を惹き付けてやまない魅力に一脈通じるものをいつも感じていました。

撮影所の楽屋
 最後に。
 
 南座の展示の中に、渥美さんの楽屋の再現がありました。布団が置かれてある楽屋。
 最終作では出番以外はいつも横になっていらしたそうです。
 しみじみとした思いを胸に、南座を堪能した一日でした。


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京都南座探訪(一)~「山田洋次の軌跡」

 西の歌舞伎座、雅やかな佇まいの京都四條南座で、8月18日から10月24日まで、『山田洋次の軌跡~フイルムよさらば~』という大々的なイベントを行っているのをご存知でしたか?

 山田洋次監督の映画は好きで、これまでに結構観てきましたし、何と言っても私、渥美清さんの大ファンなのです。

 監督生活50周年を記念して、これまで撮った全80作品を35ミリフィルムで、二か月間に渡って日替わりで上映し、併せて、映画関係の様々な展示や体験コーナーなどで紹介してゆこうという大変ユニークな企画です。

   京都四條南座
 いざ南座へ。
 我が家からはそぞろ歩きの散歩道を鴨川べりまで来ると、深緑のしだれ柳の向こうに南座が見えてきます。
 見上げると『毎日 寅さん』の看板、心がはやります。

  四条大橋から見る南座  日傘をさす女性
 陽射しの強い日、東京に比べて京都は、10代の女性まで、日傘をさしている方が圧倒的に多い気がします。

南座の看板  などと思っているうちに、南座の前に。
 『山田洋次の軌跡~フィルムよさらば~』の看板が大きく掲げられています。
 
 年末恒例の顔見世興行などでは、一等席チケットは25000円位、ともかく中に入ろうと最末席を選んでも5000円以上はかかってしまいますが、今回の入館料は500円、何だか嬉しいですよね。
 入館料と午前・午後の映画観賞券、映画セットの体験料、ミニシネマ二本分、全部のイベントがフリーパスの1700円ワンデイチケットを購入してみました。
 
 でも、チケット売り場にはもっとすごいものが。
 『全期間フリーパスポート』というものが限定で売り出されているようで、二か月間毎日通って、午前・午後に上映される80本の映画を全部観ることができるチケットで・・・・48000円、限定35名とありました。

 
ロビーの風格有る椅子 どうせなら一日ゆっくりとシネマの世界に浸ろうと、開館ジャスト10時15分に入って、三階まである展示の様子をまずは探索。

 工夫を凝らした展示コーナーが様々にしつらえられた中、階段の踊り場や廊下の途中、ロビーの片隅、いたるところに革張りのこんな大きな椅子が何気なく置かれてありました。 年季が入って風格充分です。

取りあえず11時からの映画を客席で観賞することにしました。
   南座華やぐ客席のぼんぼり
やはり伝統ある南座、席に着くだけで気持ちが華やいでくる気がします。後ろを振り返ると、3階席までぼんぼりが美しく飾られていました。

   35ミリフィルムの音 
 寅さん、『男はつらいよ』は全作48作品に及びますが、これはシリーズ物では全世界の映画史上最多で、ギネスに登録されているのだそうです。
 午前中に毎日、『男はつらいよ』の1話から48話まで一作ずつ上映し、午後は監督の他の映画を・・・という企画になっています。
 そういえば、昔、<お正月は寅さん映画で>という時代がありましたよね。 私は、映画館にはそれほど通いませんでしたが、でもその後テレビで何回も放映されていますから、シリーズの大半は観ています。
 でも、今、南座で改めて寅さんとは。

南座客席に座る
 ・・・・・格調高く古色蒼然とした客席と、上映前のワクワク感が何とも言えずノスタルジックな気がしました。
 平日の午前中だったせいか、客席は中高年のご夫婦が多かったです。
 劇場ですので、映画館お約束のポップコーンとコーラの持ち込みもなく、前の席のおばあちゃまに至っては、やおら袋の中からタッパに入ったゆで卵を出し始めたりして、何だかのどかでした。
 
 上映直前に、会場内にこんな内容のアナウンスが流れました。

 「最近はデジタル化が進んで、映画もコンピューター管理になっていますが、本日の上映は昔ながらの35ミリフィルムの映写でお楽しみいただきます。映画が始まる前にカタカタという音が聞こえるかと思いますが、これは映画フィルムが回り始める時の音です。皆様がこの音をお聴きになるのもおそらくこれが最後のチャンスかと思われますので、このフィルムの音も併せてお楽しみください」

 というような説明でした。
 客席は瞬間、水を打ったような沈黙に包まれて、確かにかすかにカタカタという音とともに映画が映し出されました。上演中フィルムの回る音と映写室からのチラチラ光る光の帯がスクリーンにまで伸びていて、これも忘れていた映画館との再会でした。
 この説明は、山田監督が特別に指示なさったものなのだそうです。
 まさに「フィルムよさらば」・・・・フィルム独特の味わいを楽しんで、いつまでも心に留めてほしいという、今回の企画の意図と合致するのですね。
 
 この日は、午前が『寅次郎ハイビスカスの花』(マドンナは浅丘ルリ子)、午後が『幸せの黄色いハンカチ』(高倉健主演)で、両方ともよく知っている映画、共に昭和50年代制作の時代背景、人物たちで <三丁目の夕日>みたいな懐かしさはあるのですが、でも笑えるところでは大いに笑え、しみじみするところではちゃんと胸に詰まり、客席中がほんわりとした和やかな雰囲気に包まれていて何とも心地良い時間でした。

   ムヴィオラの風格
 これまでの様々な映画紹介のパネルなどに混ざって、映画フィルムそのものの展示も沢山ありました。
 

当時の撮影カメラ 「フィルムがデジタルというきわめて効率的な媒体に代わるということは、例えばトーキーやカラーフィルムのような新しい表現手段の誕生とははっきり違って、映画産業資本の都合によってフィルムを奪われたという思いを映画人のわれわれは抱いてしまうのです。」
 

 という山田監督の言がパンフレットに載っていましたが、この言葉は、演劇・音楽・美術等の芸術全般においても、同様に当てはまるのではないかと・・・・。
 アナログの味わいやこだわり、風格、創造性というものが、デジタル化によって貧相に痩せ細ってきてしまう文化的危機を警告した言葉でもあるのではと感じました。

 それは更に言えば、山田監督自身の映画の世界、・・・・家族や友人や普通の人間同志の触れ合い、交流、失いたくない大切な心を見つめて愛おしむような共通する眼差しに繋がっているのかもしれません。

フィルムとムヴィオラ 「ムヴィオラ」の紹介がありました。
「ムヴィオラ」とは、映画フィルムの編集の際にフィルムの画像を見る装置で、フィルムとテープをセットして画像を確認しながらカットする箇所を探してゆく、編集技能と監督の意思とが一体となった難しい作業であるということです。
 映画作りを担っている技術者の困難でもやりがいのある醍醐味だったのでしょうね。 
  
 その他、「男はつらいよ」に関する様々な展示やイベントも豊富にあり、こちらもとても興味深かったです。
 でも、長くなりますので、今日はここまでとして。
 次回の記事で続きをご紹介いたしますので、どうぞ引き続きお読み下さいね。


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訳詞コンサートVOL.6のお知らせ 会場

 来年2月に訳詞コンサートVOL.6を行うことになりました。
 
   2013年2月2日(土)
     昼の部 13:00開場  13:30開演
     夜の部 16:30開場  17:00開演
          新橋シャミオール(東京都港区)

   2013年2月16日(土)
     14:30開場 15:00開演
          京都NAM HALL(ナムホール)(京都市左京区) 


 思えば、『恋するバルバラ』コンサートは今年の2月4日と18日のこと、つい最近まで夢中になって、このブログで皆様とお話ししていた気がしますよね。
 あれから七か月がいつの間にか過ぎてしまったのでした。
 一つのコンサートが終わると、高揚しているのに、どこかもの悲しいような不思議な余韻が続いて、ずっとそこに浸ったまま、もう何もしたくなくて、腰が重くなってしまいます。
 でも、その一方で、更に違うアイディアで面白いコンサートは出来ないだろうかと、頭だけ妙にグルグル巡っていたりもするのですが、実は5月頃、突然閃いて、夏も猛暑の中、密かに計画を温めておりました。

 VOL.3は『ヴァンサン・ドゥレルム』、VOL.5は『バルバラ』と、内幸町ホールでのVOL.4『彼女の名前』コンサートを挟んで、一人のアーティストを紹介してゆくライブ形式のコンサートを行ってきました。
 『バルバラ』から連続しますが、今回もアーティスト紹介シリーズの第三弾に挑戦することにしました。

 このシリーズ、三回目は『セルジュ・ゲンズブール』です。
   ・・・・・・。
          ・・・・・・。
                 ・・・・・。
 「え~~ェ??」「似合わない・・・。」という声が聞こえてきそうな気が・・・。

 確かにちょっと意表を突いてしまったかも。
 そもそも、ゲンズブールのことがピンとこない方もいらっしゃるでしょうから、まず彼がどんな人物なのかを説明した上で、<似合うか、似合わないのか>の解明に進むべきなのですが、今日は他に色々お知らせすることもあるので、ゲンズブールのご紹介は今度改めてゆっくりと・・・楽しみにしていてくださいね。

   2月2日、シャミオールコンサートのご案内
 このブログを読んで下さっている方にはもうお馴染みですね。
シャミオールの扉 ご存じ、猫のロゴの付いたガラス扉が<music salonシャミオール>への入り口です。
 さりげなくお洒落なニャンコ
 この猫は、お昼寝から覚めて幸せそうに伸びをしているのでしょうか?それとも獲物を狙ってまさに飛びかかろうとしている果敢な姿なのでしょうか?
 シャミオールのサイトにこんな説明がありました。


  <Chatmiaule> フランス風に書くなら"Le Chat miauler"
  Le Chat=猫(名詞) miauler=猫がニャーと鳴く(動詞)になります

 
 爽やかで優しくてダンディーなオーナーM氏の命名でしょうか?

 『紋次郎物語』を熱く語る私には、まさにぴったりの会場、守護神に包まれているような心強さです。

 アーティストシリーズ、三回ともシャミオールで、・・・・シンプルで清潔感のある空間で、ライブっぽいステージの良さを満喫していただけるよう更なるバージョンアップを目指したいと思います。

 但し・・・これまでと大いに異なる点が一つ・・・。なあ~んだ?

 昼夜二回公演の決行です。
 前回の『バルバラ』コンサートの時、早々に満席になってしまったため、ご案内が行き届かず各所に失礼をしてしまいましたので、体力も顧みず今回は意を決しました。
 目算では、一時間の休憩を挟み、夜の部の公演に入ることになるのですが、こんな短い時間で第二ステージに蘇ることができるのでしょうか?
 以前に一度、一日二回公演の経験はあるのですが、あれから月日も経っており。
 2月までに体を鍛えて、ひたすら体力増強に努めたいと思います。

   2月16日(土)京都コンサートのご案内
 前回に引き続いて二回目の京都公演です。
 今回の会場は平安神宮から徒歩5分、岡崎神社のすぐ側にあるNAM HALL(ナムホール)という音楽ホールに決まりました。

NAM HALL の看板
 NAM HALLというのは変わった名ですが、ホールの玄関に<NY ART MUSIC HALL>と添え書きがされていました。NAMはこの略語なのでしょうね。
 京都風のウナギの寝床、縦に長いスペースになっていますが、とても落ち着いた集中力の増しそうな素敵な空間で、今からステージに立つのがとても楽しみです。
 オーナーのN氏はまだお若い方ですが、上質な音楽空間ということにとても拘りを持ってこのホールを運営していらっしゃることがよくわかり、お話をしていても共感できることがたくさんありました。
HPはこちらです。

ナムホール(HPより)
 このホールのモットーは「本当に良い芸術を、京都から発信していきたい。」
 素敵ですね。頑張らなければ!!

 それにしても、前回とほぼ同じような2月の日程で、特に極寒の京都、「なぜそこまで2月なの?」「よほど2月が好きなの?」と詰問されそうです。
 私も内心<雪が降ったらどうしよう!><京都のお花見ツアーだったらもっと喜んでいただけたかな?>と思わないではないのですが、スタッフのスケジュール調整や諸般の事情、それに、昨今、花粉症デビューを果たし、寝込んでしまうほどの重症に陥る我が身を思うと、桜の季節のコンサートは今のところ遠い夢かと思われます。ごめんなさい。

 2月まであと五ヶ月。
 これから、本格的な準備にかかりますが、一つ一つのプロセスを大切に作り上げてゆきたいです。
 また折々にご報告させていただきますので、どうぞお付き合いくださいね。

   おまけのお話
 NAM HALLからの帰路、向かい側にある岡崎神社に立ち寄ってみました。

岡崎神社
 清澄な佇まい。

岡崎神社の氏神の使いは、狐でも犬でも牛でもなく<兎>。
地元では<うさぎ神社>と呼ばれるほど、兎に縁が深く、境内の至る所に兎が祭られてありました。
阿吽のウサギ 阿吽のウサギ
 普通なら狛犬(こま犬)ですが、ここでは狛兎(こまうさぎ)です。
 一対になった阿吽(あうん)の兎が、何だかとても優しげで可愛いと思いませんか。

子授け祈願のウサギ
 兎は多産系ということで、今では主に子授けと安産の祈願に訪れる方が多いのだとか。兎の絵馬に、思い思いに安産祈願の言葉が記されていました。
これに関連して縁結びにも霊験あらたかなのだそうです。

今回のコンサートスタッフにも、なぜか兎年生まれの方が多いですし、未婚の若いお嬢さん達も何人もいるので、是非この神社に立ち寄ることをお薦めしたいと思っています。

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四曲のアヴェ・マリア

 9月1日のミニコンサート、お陰様で無事終わりました。

 曲想は違うというものの、四曲共、<ア~ヴェ・マリ~ア~♪>と歌い続けましたので、私の次に歌われた方から、「頭にも体にもアヴェ・マリアが鳴り響いてしまって、自分の歌詞が出てくるかどうか・・・」と思わず前置きがあって・・・・ごもっともですよね。・・・確かに歌いにくかったのでは、・・・申し訳なかったです。
 たぶん普通のコンサートだったら、ここまで重ねるような曲選びはしないと思うのですが、仲間内の研究会の面白さで、色々な可能性を探りながらの実験的な試みが許されるのではと、勝手に判断したのでした。

 でも、いつもマイナーな曲ばかり好んでチョイスする私に、「シャンソンの中に、こんなに色々な<アヴェ・マリア>があるなんて新鮮」とか、「<アヴェ・マリア>を堪能できて楽しかった」とか、嬉しい言葉を頂き、ちょっとだけ今は充実感があります。

 それでは、・・・前回の記事の公約に従って、4曲のアヴェ・マリアのご紹介をさせていただきますね。

   1曲目 『もう一つのアヴェ・マリア』
 この曲は、『もう一つのアヴェ・マリア』訳詞への思い(10)で既にご紹介しましたので、内容については再度ご参照を。 
 恋の狂おしい炎に身を焦がす、情念の歌です。
 <ア~ヴェ マリ~~ア~>のリフレインが終盤はずっと続くのですが、思いっきり不気味な不協和音でピアノの伴奏が入ります。
 歌の出来が良い時はそれにつれ、三浦先生の伴奏の不気味さもパワーアップしてきます。
 この日は、歌い慣れている筈の私も、うお~~!!と圧倒される迫力満点のピアノでしたので、結構上手くいったのかもしれません。

 1曲終わり、ご挨拶と曲紹介のトークを入れました。
 「間に、おしゃべりを挟むと次の曲を忘れるのでトークは苦手」とおっしゃる仲間の方は多いのですが、私はお話を入れた方が落ち着いて楽しいです。
 <話の合間に歌>でもOK・・・・などと密かに思っています。
 教壇に立っていた頃の感覚が無意識に戻るのかもしれません。

   2曲目 『異教徒のアヴェ・マリア』
 1998年にパリで初演されて大成功を収めたミュージカル、『ノートルダム・ド・パリ』の中からの曲です。
 原作はヴィクトル・ユゴーの『ノートルダムの鐘』。
 舞台は15世紀の荒んだパリ。ノートルダム聖堂の醜い鐘つき男カジモドが主人公です。
 或る日、ジプシーの一団がパリにやってきて、彼は、その中の美しく心優しい踊り子のエスメラルダに密かに恋心を抱きます。
 そして・・・・・というわけで、壮大なスペクタクルが繰り広げられて行くのですが。
 そのエスメラルダは、ジプシーを弾圧する立場にいる近衛隊長の青年に報われない身分違いの恋をしてしまい、思い悩むのです。
 ノートルダム聖堂で、彼女が一人祈る曲がこれです。


   アヴェ・マリア 聞き入れ給え
   跪く術(ひざまづくすべ)も知らず
   御前(みまえ)に佇む 異教のこの身の祈りを


 恋する女性のいじらしさや儚さが、マリアへの祈りを通して切々と伝わる美しいメロディーで大好きな曲の一つです。
 このミュージカルは全52曲からなり、セリフは用いず、全て歌だけで展開されているのですが、さすが、フランスのミュージカルならではですね。
 52曲中、既に三分の一は、訳詞してみました。・・・全曲どれも素敵なので、いずれは・・・と目論んでおります。

   3曲目 『レ・ギャルソン・ドゥ・モン・カルティエ~私の街の男の子達~』
 「ジュリエット」という歌手をご存知ですか?
 まん丸いふちのトンボ眼鏡をかけた、たっぷりとした体格の、現在フランスで活躍中のシンガーソングラーターです。
 これまで何回か来日の噂はありましたが、実現せず、でもついにこの7月、巴里祭の頃、初来日したのです。
ジュリエット公演ポスター 
 芦屋(兵庫県)と東京と福岡でコンサートがありましたが、実は、実は、・・・・今まで黙っていましたが、・・・・私は二カ月程前の7月1日、芦屋に行ってジュリエットのコンサートを聴いて参りました。
 話題になるずっと前、日本での知名度ほとんどゼロの頃から、私はジュリエットに注目していて、いつかライブが聴ける日が来ないものかと心待ちにしていたのですが、ついに念願叶い、しかも期待以上に素敵で大感激でした。

 その彼女の代表曲の一つがこの曲で、7月1日にも聴く事が出来ました。

 <私の街の男の子達>は、刺青をして、ピストルを持って、タバコをふかして 街をうろついています。
 明日があることを誰も期待していなくて、気持が荒みきっています。
 私は、そんな彼らの中の一人を恋人に持っていますが、彼もまた筋金入りの悪党で、密売、売春、転落の日々の中、きっと誰かに殺されてゆくに違いないと思います。

 そんな<男の子達>の描写が続いて、私はマリアにこんな言葉で祈ります。

   私は祈る 慈悲深きマリア
   ベールの下で 心閉ざすマリア
   殺人者の聖母よ 見捨てられた子らに あなたの涙を


 今年はコンサートやライブで、繰り返しこの歌を歌ってみようかと思いますので、機会があったら是非聴きにいらして下さいね

   4曲目 『アヴェ・マリア』
 ここでまた、一言トークを入れて、4曲目へ。
 アズナブールが歌っている『アヴェ・マリア』という曲です。
 これは、前の3曲と違って、歌詞の内容もメロディーも、屈折した所のない、真っ直ぐな祈りの曲で、彼は美しく伸びやかな声で歌い上げています。

 最近、私の親しい友人が長く連れ添った大切な伴侶を失くされました。そのお知らせを受けた時、なぜか、この<アヴェ・マリア>が心にふっと浮かんできて、思わず鎮魂の意を込めて訳詞した曲なのです。
 もっともっと歌い込んで、心が伝わっていけばと思っています。

 以上、9月1日のミニコンサートのご報告でした。
                      
   (注 訳詞については無断転載転用を禁止します。
      取り上げたいご希望がある場合は、事前のご連絡をお願いします。)


   おまけのお話
 ミニコンサートが終わった翌日、お花屋さんの店頭に季節遅れのヒマワリが沢山並んでいて、少し違和感を覚えたのですが、こんな看板が目に留まり、思わず飾ってみたい気がしてしまいました。
  夏の終わり ひまわり2 夏の終わり ひまわり1
 「さよならヒマワリ 今年もありがとう」
 「2012年最後のさよならヒマワリフェア」
 「泣いても笑ってもこれがラストです 夏の終わりに最後のヒマワリを楽しみつくしましょう」


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