
昨日、久しぶりで会った友人と、おしゃべりに花を咲かせました。
お互いに近況を報告し合いながら大いに盛り上がったのですが、途中、彼女のお姉様の病気の話題に立ち至り、色々考えさせられてしまいました。
長年独り暮らしをしていらした方だそうですが、重度の認知症を発病して、ついに親族でケアすることも難しくなり、ようやく受け入れてくれる施設を探し当てたということでした。
介護の日々の大変さと、反面、病院や施設に預けることへの躊躇(ちゅうちょ)とが、話の中から充分察せられましたし、彼女だけでなく、気付くと周囲には何かしら同様の問題を抱えている方たちも多くて、今の社会の現実を突きつけられる気がします。
誰でもが年老いてゆく、その中で、自らの熟年・老年時代にどう向き合うのか、自分の意思だけでは如何ともし難い問題なのでしょうが、それでも、理想とする姿を思い描くことは大切なことかもしれません。
そんなことを考えていたら、最近印象に残ったテレビ番組を思い出しました。二つ、ご紹介してみますね。
『“おしゃべりで老化を防げ! ~ぎんさんの娘たち 元気の秘密~ 』
先週のNHK『クローズアップ現代』で放映された番組ですが、ご覧になった方も多いのではないでしょうか?とても興味深かったですよね。
「国民的人気を博した長寿の双子姉妹、きんさん、ぎんさん。
妹の蟹江ぎんさんの4人の娘。
4姉妹は現在平均年齢93歳になりました。」
というようなナレーションから始まりました。
四姉妹とも病気もせずそれぞれ自立した生活を送っていらして、それがもう、本当に元気一杯、朗らかで楽しそうなのです。
「元気の秘訣は?」の問いに、四人で口を揃えて、「雑談、雑談。」
それぞれが近くに住んでいて、毎日集っては、ちゃぶ台を囲んで何時間もおしゃべりをするのが、楽しみなのだそうです。
五女(89歳)の美根代さんの運転する車に乗って皆でワイワイとお買い物に出かけるのもしょっちゅうで、とにかくポンポンと軽妙な会話のキャッチボール、ユーモアに溢れ、なかなかひねりのあるジョークも次々に飛び交い、賑やかで屈託のない笑いに包まれて、30分間のこの番組にすっかりくぎ付けになってしまいました。そして大いに元気を頂いたような明るく幸せな気持ちになりました。
そこはNHK、この元気の秘密を解明しようと、認知症の専門家が会話中の脳の血流を測定し、解説を試みていましたが、姉妹でおしゃべりをしている時の脳は一気に血流が増加していて、初対面の人と少し緊張して話した時と比べ、2.5倍にもなっているとの結果でした。
そして、心理テストでも、普通は、歳を取ると抑うつ傾向が誰にでも現れてくるのだけれど、この姉妹にはそれがほとんどみられず非常に前向きで元気であると認められ、併せて記憶力強化の効用も出ているとのことでした。
おしゃべりが認知症の予防や記憶力の強化につながるとしても、誰でもが、この姉妹のような環境に恵まれるわけではないので、自治体とかNPOだとか、社会全体で、このようなコミュニケーションの場を広げてゆくよう努力すべきではないかという提言で番組は結ばれていました。
確かにその通りですよね。
でも、私は、この四姉妹から、人が生きる姿勢というものをより深く教えられた気がしました。
勿論、四人揃って健康で仲良くおしゃべりができる環境は稀にみる幸せに違いないのですが、でも、四姉妹皆が持っている、何の憂いもなく日々を謳歌しているような突き抜けた明るさに、とても健全で聡明な強い力を感じました。
足るを知り、感謝する気持ちを持つことが、「つながり」を「つながり」として生かしてゆく力になるのかもしれません。
私は、子供の頃から、「将来どんな人になりたいの?」と聞かれると、
「最終目標は、いつも明るく優しく、周りの誰かを励まして元気にさせてあげられる<肝っ玉おばあちゃん>になることです。」と答えていた、すごく変な子だったのを思い出しました。(無類のおばあちゃん子だったので、祖母の姿を理想と重ね合わせていたためかもしれません。)
その目標にはまだまだずっと遠~~いですけど、そうなれたら良いなってやはり今も思っているみたいです。
NHK こころの時代~宗教・人生~『理想の終焉(しゅうえん)を見つめて』
もう一つ。4月に放映された番組ですが、アンコール放送を少し前に見ました。
西洋と日本の死生観の違いに注目しながら、<理想の人生の終わり方>という問題に40年近く取り組んで研究しておられる京都大学教授カール・ベッカー氏への60分に渡るインタビュー番組なのですが、ある方に紹介されて、なんと早朝5時、オンタイムで視聴しました。穏やかに語る言葉に耳を傾けてゆくうち、次第に惹きこまれとても感銘を受けた番組です。
「死を考えることは、人の限界と未来を深く考えること」
「死は全ての人に間違いなく訪れるということと向き合うと<今のこの一瞬>がいとおしくなり、一秒たりとも無駄にできなくなる。
<輝く一瞬>をできるだけ作ることが大切」
哲学的な内容だったのですが、ベッカー氏は「日本人は元来死というものを身近で<看取り>続けてきたため、<死の本質=生の意味>を知っていた国民だったのに、それをしなくなったため、今や死の真の意味が分からなくなってしまっているのだ」とも警鐘を鳴らしています。
ベッカー氏のいう「一瞬」は、やはり人と<つながり>ながら、生を輝かしてゆくことから生まれるのではという気がしています。
ベッカー氏はいろいろなところで講演もされているので、もし機会があったら是非一度、お話を聞いてみたいと思っています。
おまけのお話
私の教えた最後の卒業生たちのクラス会が先週、横浜でありました。
懐かしい方たちが大勢集まって、和気藹々と賑やかで、とても楽しかったです。
それぞれの時期によって、当然ですが話題も変わってゆき、・・・少し前までは就職、そして結婚だったのが、そろそろ出産・子育ての時期に入ってきました。
三歳から生後数か月の赤ちゃんまで、今回は四人の子供たちも参加して、何とも可愛くて皆の注目の的でした。
教え子たちはいつの間にか慈愛に満ちた優しいママになって、元担任としては感無量です。
皆、昔の時間に戻って心を和ませ旧交を温め合える、こういう絆が持てることは何より幸せです。そういう幸せの場に招かれて、共に居られる自分も教師冥利に尽きるなと、改めて噛みしめた日でした。
プレゼントにいただいたアレンジフラワーが今もテーブルを美しく飾っています。
お互いに近況を報告し合いながら大いに盛り上がったのですが、途中、彼女のお姉様の病気の話題に立ち至り、色々考えさせられてしまいました。
長年独り暮らしをしていらした方だそうですが、重度の認知症を発病して、ついに親族でケアすることも難しくなり、ようやく受け入れてくれる施設を探し当てたということでした。
介護の日々の大変さと、反面、病院や施設に預けることへの躊躇(ちゅうちょ)とが、話の中から充分察せられましたし、彼女だけでなく、気付くと周囲には何かしら同様の問題を抱えている方たちも多くて、今の社会の現実を突きつけられる気がします。
誰でもが年老いてゆく、その中で、自らの熟年・老年時代にどう向き合うのか、自分の意思だけでは如何ともし難い問題なのでしょうが、それでも、理想とする姿を思い描くことは大切なことかもしれません。
そんなことを考えていたら、最近印象に残ったテレビ番組を思い出しました。二つ、ご紹介してみますね。
『“おしゃべりで老化を防げ! ~ぎんさんの娘たち 元気の秘密~ 』
先週のNHK『クローズアップ現代』で放映された番組ですが、ご覧になった方も多いのではないでしょうか?とても興味深かったですよね。
「国民的人気を博した長寿の双子姉妹、きんさん、ぎんさん。
妹の蟹江ぎんさんの4人の娘。
4姉妹は現在平均年齢93歳になりました。」
というようなナレーションから始まりました。
四姉妹とも病気もせずそれぞれ自立した生活を送っていらして、それがもう、本当に元気一杯、朗らかで楽しそうなのです。

「元気の秘訣は?」の問いに、四人で口を揃えて、「雑談、雑談。」
それぞれが近くに住んでいて、毎日集っては、ちゃぶ台を囲んで何時間もおしゃべりをするのが、楽しみなのだそうです。
五女(89歳)の美根代さんの運転する車に乗って皆でワイワイとお買い物に出かけるのもしょっちゅうで、とにかくポンポンと軽妙な会話のキャッチボール、ユーモアに溢れ、なかなかひねりのあるジョークも次々に飛び交い、賑やかで屈託のない笑いに包まれて、30分間のこの番組にすっかりくぎ付けになってしまいました。そして大いに元気を頂いたような明るく幸せな気持ちになりました。
そこはNHK、この元気の秘密を解明しようと、認知症の専門家が会話中の脳の血流を測定し、解説を試みていましたが、姉妹でおしゃべりをしている時の脳は一気に血流が増加していて、初対面の人と少し緊張して話した時と比べ、2.5倍にもなっているとの結果でした。
そして、心理テストでも、普通は、歳を取ると抑うつ傾向が誰にでも現れてくるのだけれど、この姉妹にはそれがほとんどみられず非常に前向きで元気であると認められ、併せて記憶力強化の効用も出ているとのことでした。
おしゃべりが認知症の予防や記憶力の強化につながるとしても、誰でもが、この姉妹のような環境に恵まれるわけではないので、自治体とかNPOだとか、社会全体で、このようなコミュニケーションの場を広げてゆくよう努力すべきではないかという提言で番組は結ばれていました。
確かにその通りですよね。
でも、私は、この四姉妹から、人が生きる姿勢というものをより深く教えられた気がしました。
勿論、四人揃って健康で仲良くおしゃべりができる環境は稀にみる幸せに違いないのですが、でも、四姉妹皆が持っている、何の憂いもなく日々を謳歌しているような突き抜けた明るさに、とても健全で聡明な強い力を感じました。
足るを知り、感謝する気持ちを持つことが、「つながり」を「つながり」として生かしてゆく力になるのかもしれません。
私は、子供の頃から、「将来どんな人になりたいの?」と聞かれると、
「最終目標は、いつも明るく優しく、周りの誰かを励まして元気にさせてあげられる<肝っ玉おばあちゃん>になることです。」と答えていた、すごく変な子だったのを思い出しました。(無類のおばあちゃん子だったので、祖母の姿を理想と重ね合わせていたためかもしれません。)
その目標にはまだまだずっと遠~~いですけど、そうなれたら良いなってやはり今も思っているみたいです。
NHK こころの時代~宗教・人生~『理想の終焉(しゅうえん)を見つめて』
もう一つ。4月に放映された番組ですが、アンコール放送を少し前に見ました。
西洋と日本の死生観の違いに注目しながら、<理想の人生の終わり方>という問題に40年近く取り組んで研究しておられる京都大学教授カール・ベッカー氏への60分に渡るインタビュー番組なのですが、ある方に紹介されて、なんと早朝5時、オンタイムで視聴しました。穏やかに語る言葉に耳を傾けてゆくうち、次第に惹きこまれとても感銘を受けた番組です。

「死は全ての人に間違いなく訪れるということと向き合うと<今のこの一瞬>がいとおしくなり、一秒たりとも無駄にできなくなる。
<輝く一瞬>をできるだけ作ることが大切」
哲学的な内容だったのですが、ベッカー氏は「日本人は元来死というものを身近で<看取り>続けてきたため、<死の本質=生の意味>を知っていた国民だったのに、それをしなくなったため、今や死の真の意味が分からなくなってしまっているのだ」とも警鐘を鳴らしています。
ベッカー氏のいう「一瞬」は、やはり人と<つながり>ながら、生を輝かしてゆくことから生まれるのではという気がしています。
ベッカー氏はいろいろなところで講演もされているので、もし機会があったら是非一度、お話を聞いてみたいと思っています。
おまけのお話
私の教えた最後の卒業生たちのクラス会が先週、横浜でありました。
懐かしい方たちが大勢集まって、和気藹々と賑やかで、とても楽しかったです。
それぞれの時期によって、当然ですが話題も変わってゆき、・・・少し前までは就職、そして結婚だったのが、そろそろ出産・子育ての時期に入ってきました。
三歳から生後数か月の赤ちゃんまで、今回は四人の子供たちも参加して、何とも可愛くて皆の注目の的でした。

皆、昔の時間に戻って心を和ませ旧交を温め合える、こういう絆が持てることは何より幸せです。そういう幸せの場に招かれて、共に居られる自分も教師冥利に尽きるなと、改めて噛みしめた日でした。
プレゼントにいただいたアレンジフラワーが今もテーブルを美しく飾っています。


