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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

年の終わりに ~八坂神社の「おけら詣り」

   一年の思い
 今日は朝からよく晴れた気持ちの良い空でした。
 <大掃除もどき>も何とか終わり、ちょっとすっきりした気分で、お約束の年越し鰊(にしん)そばを頂きました。

 一年間を振り返る時間・・・・
 皆様はどのような一年でしたか。
 時の経つのは早く、あっという間ですが、でも時の流れの中には、様々なことが積み重なっていて、時間との一期一会、かけがえのない一瞬一瞬なのだなと改めて思います。
 色々な方たちとのそれぞれの場面が、過ぎてしまうとしみじみと感じられてくるものですね。
 
 勿論、楽しいことだけではなかったけれど。・・・

 実は、ひと月ほど前に親しい人が病気で他界しました。
 ずっと心が痛んでいます。
 40歳になったばかり。子供の頃からよく知っているので、私の中では彼女はいつまでもあどけない笑顔の女の子です。
 私が訳詞や歌を始めた頃からずっと応援していてくれて、今度のコンサートも聴いてもらいたかったのに。
 彼女の大好きな曲もプログラムに入れていたのに。残念です。

 誰でもがそうであるように、知らず知らずのうちに、色々な別れに遭遇してきました。
 そういう時、人との一期一会を改めて思わずにはいられません。
 大晦日、年の終わりはそういうすべての思いを甦らせる時でもあります。

 だからこそ、立ち止まって、出会いや、発見や、思わぬ絆や、そのかけがえのなさに感謝したいなとしみじみ感じます。

 年末に思いがけず頂いた、心が温かくなるいくつかのプレゼントが今ここにあります。ご紹介しますね。
キーホルダーとブックカバー 可愛いでしょう!
 今年、色々な出来事の中で、心通い合う素敵な絆が結ばれたMさんから。
 送って下さった写真に添えられたプレゼントです。
 ニャンコの飾りの付いたブックカバー。ブックマーカーが尻尾になっていてキュートですね。そして、小さな招き猫は『招福まめ熊手』と書いてあります。「開運招福 無敵のお守り よいことたくさん招きます」・・・これはすごい!!
 「無敵のお守り」・・・これを身につけてコンサートを乗り切ろうと、すぐに神頼みに走ってしまいました。
 Mさんは『紋次郎物語』も愛読して下さっていましたね。
 ありがとうございます!

日めくりカレンダー 何かわかりますか?
 ボストンで暮らす友人のKちゃんから頂いたカレンダーなんです。
 <1000 places to see before you die >
 「死ぬ前に見ておくべき1000の名所」みたいな意味でしょうか。
 365日分、世界の色々な場所の写真が載っている、なんというか、『西洋日めくり』ですね。
 昨年は中国の日めくりを頂きましたし、(以前ご紹介しましたよね)今年はアメリカ版、我が家の日めくりカレンダーは、ひと味違う、ゴージャスさです。
 来年は毎日、違った世界の風景を楽しもうと思います。

シクラメン 美しいシクラメン。
 Kさんが、コンサートの前祝いにと、プレゼントして下さった美しい鉢植えです。Kさんは、教師時代の同志。今年15年ぶりに再会を果たし、本当に懐かしかったです。私が思わぬ転身をしていたことにとても驚き、そして温かい言葉で激励して下さいました。大事に育てますね。ありがとうございます。

 目に見えるものも、そうではないものも、これまで沢山のお守りを頂いてきた気がします。
 私もそういうお守りを色々な方に差し上げられたら良いのですけれど。
 いつもそんな気持ちでいられたら良いのですけれど。

 ・・そんなことを考えていたら、久しぶりに「おけら詣り」に行ってみたくなりました。
 京都では大晦日の人気スポット、八坂神社の大晦日の神事です。
 これは無病息災を願うお詣りで、奉納された「おけら木」を焼いた「をけら火」を戴いて新年の火にすると、新しい年の無病息災が約束されると云われています。
 「おけら火」は神社の境内で売っている火縄につけて、クルクルまわしながら家まで持って帰ります。
 ???ですか?
 でもまあ、予備知識を得たということで、早速。
 今、夜の8時です。八坂神社まで行って参りま~す。

   八坂神社の「おけら詣り」
 まずは、錦小路を通過。大賑わいの大晦日も終り、静かになっています。明日元旦の飾りつけも整ったようですね。
街には気の早い若者がもうお正月の和服で集っています。
    大晦日の夜の錦市場    和服姿のおけら参り
 
四條大橋を通過。鴨川に向こうに光る南座です。
 四条大橋から南座を臨む 八坂神社
そして八坂神社が見えてきました。やはり予想通りの賑わいです。

火縄を売っている出店。 よく見るとこんな感じです。
  火縄を売る出店  巻いて使う火縄
 一本700円で、この縄の先に「おけら火」をつけて持ち帰ります。

クルクルまわす火。
写真でお分かりになりますか。二人の女性が火縄を手に持って回しています。
くるくる回して火が消えないように

 おけら火授与処と書かれています。
 「おけら灯籠」の中で燃えているのが「をけら木」です。
 おけら火授与処 をけら木
「をけら木」に願い事を書き入れ、火にくべます。

その燃える火を火縄に頂くのですが、遠路持ち帰るときには、火を消さないよう、くるくる回しながら火を起こしていきます。
 おけら火を頂く をけら木をくべてきました
 私は、今年は、火を持ち帰らず、代わりに、をけら木に、沢山の絆に感謝する気持ちを書き入れて、奉納してきました。
 
 今年、一年有難うございました。
 どうぞ、皆様、良いお年をお迎え下さいね。

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年の瀬の点描 ~錦市場を少しだけ

 「それでは、機織り部屋に籠らせて頂きます。」と宣言したのを良いことに、すっかり引き籠ってしまいまして、気が付いたらクリスマスも終わり、もう29日なのですね。 
 「倒れてるんじゃない?」「書けなくてついに逃亡したのか?」「サボり癖がついただけなのでは?」とか、好き勝手なメールが、いつの間にか、携帯に入っていましたが、でも、お陰様で、昨日無事書き上がりました!
 懸案のプログラム原稿、やれやれです。
 お騒がせでしたが、書き始めたら面白くて夢中になり、結構力作かも、と思っています。
 ゲンズブールという人はやはりかなり複雑で、一筋縄ではいかないということを、でもその分、実に興味深いということを、しみじみ実感しました。
 今の気持ちをしばらく熟成させて、コンサートの時にわかりやすくお伝えできたら嬉しいです。

 いつものことですが、集中してものを書いていると、終ったあとは一気に脱力がきて、羽を抜き切った「つう」のような気分です。
 それなのに、休む間もなく今度は年賀状が・・・・師走という言葉を噛みしめながら更に頑張りました。
 「25日までに!」と郵便局は薦めていますが、今朝投函した葉書はいつ届くのでしょうか?

 夜が明けるのが遅いですね。
 明け方6時の写真ですが、まだ真っ暗でした。
 こんな中、葉書の厚い束を抱えて、少し怪しげに郵便ポストまでのお散歩です。
 明け方6時の街並み 納品待ちのトラックの明かり
  ちょっと芸術的な写真? な~~んだ?
 さすが年末です、デパートへの搬入のトラックの大渋滞、列をなして、駐車場への順番待ちのヘッドライトでした。
 以前、やはり
朝の郵便局散歩の記事をご紹介した時と同じ、近場散歩なのですが、今朝はまだ真っ暗で、こんなところにも季節感がありますね。
開店前の錦市場 ご存知、錦市場の入り口・・・・28日を過ぎると、昼間は歩けない程の賑わいですが、その序奏、静かな目覚めです。

 空にはちらちらと雪が舞落ちていました。

 今年は寒い年の瀬です。でもいつもこの時期は、昼間、空が澄んで晴れていても、太陽の中から雪が落ちてきて少し不思議な情景です。

 
さて昼間。
錦市場の賑わい
 錦市場の賑わいはやはり凄かった。
 ここは我が家への通り道なのに、人で身動きできず、普通に戻れない、それがこのエリアの年末風景です。
 本当は、ただでさえ混雑しているので、カメラを構えるなど、もってのほかなのですが、この市場はもはや公然の写真スポットですので、お店の人も、道行く人も、とても鷹揚(おうよう)です。
 私も「観光客で~す」という顔でドサクサに紛れシャッターを切るのにすっかり慣れてきました。

 漬物屋さんのお正月の売れ筋は、やはり「千枚漬け」。
八百屋さんには京野菜、の数々・・・・大きな「聖護院かぶら」、自宅でもかぶら蒸しを普通に作るのですね。手間がかかりますが、冬はご馳走です。
 聖護院かぶら 京野菜の数々
 朱色濃い「京人参」、そして「堀川ごぼう」、「百合根」、「里芋」、・・・お雑煮に使うのでしょう。
 ちなみに京都のお雑煮は「丸餅」で、白味噌仕立てか、お塩味。関東風のお醤油色のお雑煮はお料理屋さんなどでも余り目にしません。

 「丹波の黒豆」、「五目豆」、「金時豆」、「栗」。
  豆の種類も豊富   京都風出し巻き卵
 今焼きあがったばかりの「出し巻き卵」です。
中にアナゴが巻きこんであるのが京都風で、やはり塩味の卵焼きです。
 関東では甘い「伊達巻(だてまき)」が主流なのではないでしょうか?子供の頃、伊達巻の大好きな弟に一人占めされまいと、競って取り合ったのが思い出されます。

 お茶屋さん。京番茶の香りが周辺に香ばしく漂います。側には「挽きたてのお抹茶」と書かれた小袋が並んでいました。飛ぶように売れていたのもやはり京都風なのかな?
  出来たてお抹茶  大きなお供え餅
 つきたてのお餅もあちこちのお店に並んでいます。これだけみるとわかりにくいのですが、ものすごく大きなお供え餅です。一対3720円。これも次々と売れていてビックリです。

そして、お花屋さん。しきみ、お榊、ウラジロ、仏花、しめ縄、輪飾り、それぞれに種類がとても多く、神様や仏様が生活の身近にいることを感じます。
 お花屋さんの店先 しめ縄・輪飾りの出店

 用事があって、京都駅近くに行ったのですが、またまた郵便局に。
ポストの上の「京のぞみちゃん」
 今日は違う郵便局に計三回も通ってしまいました。
 
 本日のお気に入りはこちら。
 京都駅前の中央郵便局にある、大きな、茶色と小豆色の中間色のポストです。
 上に乗っているのは、京都のユルキャラ、「京(みやこ)のぞみちゃん」。

 
京都中央郵便局前のポスト
 近づくとこれ。 
 平安建都1200年を記念して造られた特別製。壺装束というお姫様の旅姿です。
 実はもう20年位前に作られたということで、ユルキャラの先駆けだったのですね。  
 茶色というところが、一味渋い。

そういえば、京都のマクドナルドの看板の色は、<けばけばしい色は避けること>という都市景観条例に従って、お馴染みの赤ではなく、「のぞみちゃん」と同じえび茶色がほとんどだって知っていましたか?
 更に、ちなみに。 関東では「マック」と言いますが、関西では「マクド」です。「ク」にアクセントをつけて鋭く発音してみて下さい。
 結構よく知られている雑学ですが。

 脱力した頭で、取りとめないことを書いてしまいました。
 今年もあと、二日間ですね。

 明日は気持ちをしゃっきり立てなおし、よい締めくくりができればと思います。
 では、本日はこれにて。
   

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ただ今 執筆中につき・・・

 いよいよ、訳詞コンサート『ゲンズブール・イノセント』の準備が佳境に入ってきました。
 これからしばらくは、流行作家みたいに締切りに追われる日々が待っているのではと、・・・・と言っても、編集者が原稿取りにくるわけでなく、勝手に想定したタイムスケジュールが、押しているというだけのお話なのですが。

 私のコンサートは、「無から有を」の精神で、手作りで行っています。
 まずは、曲の発掘・訳詞作り・譜面起こし、という風に歌う曲自体の創造(エラそうですねえ)から始まり、次に、・・・三浦先生にご相談しながら、企画・構成・演出・ステージングを練り、そしてその他・・・共演者やスタッフとの打ち合わせ、フライヤー・プログラム原稿の作成、チケットの案内発送作業、会場関係、会計、外部との折衝など、とにかく、コンサートをゼロからスタートするにあたって、必要なことをただひたすら時間とにらめっこしながらこなしてゆく日々なのです。
 勿論これは、いつも気持ちよく助けてくれる、良き友人、そして信頼できるスタッフという力強い仲間がいてくれるからできることなのですが。
 ・・・で、もうご存知かと思いますが、何にでも変に凝り性で、のめり込んでしまう質(たち)ですので、一つずつの事柄に、あり得ないほどエネルギーがかかったりするのです。でも・・・そういうプロセスこそが私は結構好きで、本当はとても楽しんでいるみたいです。

 合言葉は、「少年よ大志を抱け」(この場合、実年齢を問う必要はありません)
 やがて、「精神一到、何事か成らざらん」「実行あるのみ」
 追い詰められると、「心頭滅却すれば火もまた涼し」
 そのうちヤケになり、「燕雀(えんじゃく)安(いずく)んぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」(「ツバメや雀なんぞには、所詮、鷹や鷲の深遠な志はわかるわけはない」みたいな、考えようによってはかなり上から目線的な問題な故事成語です)
 最後はもう、「明日は明日の風が吹く」「果報は寝て待て」の悟りというより半分諦めの境地へと辿りつきます。

 今は、「心頭滅却すれば」あたりの第三段階に入った頃でしょうか?
 それで、目下、コンサートで配布するプログラム冊子の執筆中です。

   プログラム作成
バルバラコンサートのプログラム  前回の『恋するバルバラ』コンサートのプログラムはこちらです。
 コンサートの主旨、特集したバルバラの紹介、コンサートで歌う曲の訳詞解説を丁寧に説明してあります。

 <こんな魅力的な歌手や作曲者作詞者がいる、素敵な音楽や詩がある>、それを発見し、その素晴らしさを多くの方と分かち合いたいという思いが、私の活動の源ですので、探し当てたとびきりのものをどうすればよりよく味わっていただけるか、訳詞コンサートの創意工夫はそこに尽きます。
 プログラムに解説を記すことが、その出会いへの一助となればと願っているのですが。

 そんなわけで、今取りかかったところです。
 わかっていたはずでも意外にうろ覚えだったりしますので、制作年や、名前の綴りに至るまで、一つずつの確かめも含め、完成までにはまだ少し時間がかかりそうです。

   原語か訳詞か
 私は、すべての曲を自分の日本語詩で歌っているのですが、一般には、フランスの歌はフランス語で、原語で歌わなければ本当には伝わらないのではという考えも、根強くあるようです。
 その際、フランス語の押韻などを例にとって、フランス語は音の響きが命で、日本語ではその良さが伝わらず、つまらない歌になってしまう。また、独特のフランス語のニュアンスや感性は日本語に直すのは不可能だから、シャンソンの場合、日本語で歌うべきでないという極論も聞いたことがあります。  

 けれど、素晴らしい押韻の文化は日本語にもありますから、これだけをもって、フランス語の方が優れた言語だと短絡的に断ずるのは早計と思われます。  
 そのような特徴も含め、より適切に、原語の感性が伝わる日本語で表現する方法を探り、訳詞に携わってゆきたいです。

 勿論、どれだけ忠実に日本語に置き換えたとしても、国民性の違い、生活習慣や文化的差異がある以上、フランス語と全く同様のニュアンスを伝えることは難しいでしょう。これを突き詰めて行くと、「だから全ては原語以外意味がないのだ」という理屈に繋がってゆくことにもなります。

 本物をそのまま生で味わうということの意味は充分わかるのですが、それにしても、シャンソンは特に言葉・・・・その意味や味わいの持つ比重が大きいですし、受け手がその言語を理解できず、ただ音として言葉を聞いた時、それでも原語で歌うことだけが、本当にその歌をより良く伝えていくことになるのでしょうか。

 そんな中で、「訳詞」を考えてみるとき、今度は、対訳をそのまま当てはめた訳詞にしてゆくか、作詞の色合いを加えて行くかが問題になってくるのだと思います。
 
 「言葉への深い理解と、詩への鮮明なイメージを持つこと」が今のところの私の解決策です。
 そんな思いを抱きながら、日々奮闘しております。
 (これからもこの話題は取り上げたく思っています。)

 ところで『空白の10日間』というタイトルで、訳詞の作業現場について以前触れたことがありました。(よろしかったらクリックしてみてください。)
 この中で、夕鶴の主人公、「つう」が機織り部屋に籠(こも)って、自らの羽を抜いて反物に織り上げるという話をしましたが、いよいよ私もこんな心境です。
 しばらく籠ってプログラムを完成させたいと思いますので、しばしお待ちください。織り上がりましたらすぐご報告致します。

おこもりグッズ 
 いつものお籠りグッズを一部公開してみます。

 歌舞伎座土産の愛用の手ぬぐい。自分で焼いた清水焼のお茶碗。効いているかよくわからない漢方の健康茶。お菓子の詰まった缶。 いつも側にある仏和辞典・辞書四冊です。 


   おまけのお話
 東京から遊びに来ていた友人から昨晩電話があり、「明日朝付き合って~」とのこと。
おなじみ朝のイノダコーヒ店 京の朝食
 お馴染みのイノダコーヒで観光客に大人気の『京の朝食』を食べに行きたいからとのことでした。近いですし、出陣前の気分転換に、今朝は友人との会話と美味しいコーヒーで朝食を。注文の時に断らないとミルク・お砂糖入りのコーヒーが出てくるのでご注意を。でもこの割合が究極の組み合わせだそうで、また美味しいのです。

 さあ、これから頑張りたいと思います。 

 

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『ゲンズブール・イノセント』<2>共演者たち

 師走の声を聞くと、私の時間は将に走るように過ぎてゆきます。
 でも、クリスマスイルミネーションが街を彩り、気忙しく呼吸をするようなこの季節が、私はそんなに嫌いではありません。
 よくわからない活気があって、全身にエネルギーが充満してくる気がします。
 
 さて、コンサート準備もたけなわ。ハードルは沢山あるものの、一つずつクリアすべく、日々大いに頑張っております。
 でも今回は、頑張る仲間がいて、とても楽しい挑戦なのですが。
 今日は、そんな『ゲンズブール・イノセント』の共演者の方たちをご紹介してみます。

   ピアニスト 三浦高広氏 
 これまでの私の訳詞コンサートの全てにご一緒して下さっている三浦高広さん。
三浦 高広先生 シャンソンのピアニストとしての第一人者、大変高名でいらして、関西でもファンがとても多く、「ねえ、どんな方?」と色々ご質問を受けたりするのですが、そういう時は私、にっこりとほほ笑み、謎のベールにそっと包んだまま「ピアノの美しい音色がすべてを語ります。お聴きになってみて下さいね」とお答えすることにしています。
 もうご存知ですよね。全幅の信頼をおいて師事している私の先生、ピアノは勿論、曲のアレンジ、音楽監督、コンサート全般の監修、いつも総てに渡ってお世話になっているのです。今回も新橋と京都、両方にご一緒して下さることになり大変光栄に思っています。
 先生のご紹介をと思って、以前のブログ記事を読み返してみたのですが、こんな風に書いていました。
・・・う~~ん、その通り!
 思いは全く変わりませんので、一部をそのまま載せてみたいと思います。

 「新しいシャンソンを・・」の言葉通り、私が取り上げているシャンソンの殆どは、生まれたての原石のような曲ばかりですので、これに磨きをかけ、独り立ちできるよう育てるプロセスにかなり心血を注いで、日々、時間と動力を費やしています。
 候補曲と出遭うまでがまず一大仕事なのですが、この後の、音源からの譜面作成、そして、曲のアレンジ、先生がいつも手掛けて下さっています。
 かなり変わった曲を持って行っても、「面白いですね」と寛容に受け止めて下さるので、これまでずっと、安心して色々な挑戦が出来てきた気がして、感謝の思いで一杯です。
 今回のコンサートもどんなアレンジになるのか、楽しみにして下さいね。
           (中略)
 ピアノの音色もタッチも、心地よく音楽を奏でて、<ピアノが歌う>という言葉が実感されます。
 伴奏していただいているというよりは、華麗で表情豊かなピアノに導かれるまま、気持が解放されて、ピアノと共に歌っている気がして、私にはハードルは頗る高いものの、至福の時でもあります。


 さて、いつものレッスン場所は、もうお馴染みのシャンソニエ、<ヴィラージュ>。先生と奥様がオーナーをなさっている素敵なお店です。
 ヴィラージュの扉もクリスマス。
      ヴィラージュ クリスマスの装い1     ヴィラージュ クリスマスの装い2
 中に入ると、クリスマスの華やぎが温かく迎えてくれます。
ピアノの上もクリスマス。ピアノに敷かれた枯葉の乾いた香りが強く漂っていました。
 その中にキャンドルの火が揺れています。・・・ム?・・よく見るとチラチラと揺らめいていたのは蝋燭ではなく電気の灯でした。
ヴィラージュ クリスマスの装い3 ヴィラージュ クリスマスの装い4 三浦先生
 そしてこの日の三浦先生です。

   アコーディオン奏者 早川幸子さん
 今回のコンサート『ゲンズブール・イノセント』では、お二人の方が友情出演して下さいます。
 そのお一人、アコーディオンを演奏してくださる早川幸子(はやかわゆきこ)さんです。
早川 幸子さん 
 このお写真・・・・教会でパイプオルガンを弾く姿が、凛としてとても美しいですね。
・・・・彼女、本業はオルガニストなのです。
 東京芸大のオルガン科、同大学院をご卒業の後、ドイツで更に高い研鑽を積まれ、現在、いくつものチャペル等のオルガニストとして活躍なさる傍ら、精力的にコンサート活動をこなされている新進気鋭の音楽家です。
 
 そのような方がなぜ私のコンサートでしかもアコーディオンなのか?・・・
 話せば長くなりますので、詳しくは、もしかしたらコンサートの中で。
 或いは、機会があれば、ご本人に直接お聞きいただくこととしまして。
 実は、私は、彼女の子供時代からよ~く知っていまして、この度、長きに渡る浅からぬ絆に導かれて、ご一緒することになった次第です。
 ・・・この説明では具体的には何もわかりませんね・・・。
 
 これまで、私の訳詞コンサートを欠かさず聴いて下さり、いつも温かい感想や適切なアドバイスをして下さる良き理解者なのですが、でも、パイプオルガニストとして、ずっと本格的なクラシックの世界と関わっていらした方ですから、シャンソンやフレンチポップスというジャンル自体は異次元との出会いでしょうし、ましてアコーディオンという楽器ですから、よくお引き受け下さったと思います。

練習風景1
 でも、パイプオルガンとアコーディオンとの不思議な接点を興味深く受け止めて、とても素敵なニュアンスで、洒落たシャンソンの雰囲気を演奏されて、今やアコーディオン奏者に大変身で、やはり才能ある方はさすがだと感服します。
 先日、ヴィラージュで、音合わせをしたときの写真です。
 三浦先生との譜面確認も息がぴったりです。
 アコーディオンの音が入るとまた一段と曲が面白くなりますので、当日を楽しみになさって下さいね。

   ヴォーカリスト 石川歩さん 
 この写真は、彼女の繊細で夢見るような素敵な雰囲気が伝わってきます。
石川 歩さん 
 でも笑顔は更に美しく、透き通った太陽の光のように優しく温かな方なのです。
 私自身、ヴォーカルの方と共演するのは初めてなのですが、彼女には、ソロで数曲、そしてデュエットでも、いずれも私の訳詞の曲を歌っていただくことになっていて、ご一緒の練習をスタートしたところです。

 石川歩(いしかわあゆみ)さんは、演劇のお仕事を経て、現在、翻訳・演出家として海外のドキュメンタリー番組の日本語版の制作に携わって大変活躍されています。
 学生時代から現在に至るまで、合唱団に所属してオーケストラとの共演なども数多く経験なさり、自らもミュージカル劇団を立ち上げ、独自の演劇活動を精力的に展開してこられました。
 また、オペラやミュージカルなどの招待出演も積極的にこなして、好評を博していらっしゃいます。
穏やかな中にパワフルな力を秘めた魅力をいつも感じます。

 彼女もずっとクラシックを勉強されてきた方ですので、そのような方がなぜ私のコンサートに?ということですが、・・・
 早川さんと全く同様に、実は、彼女のことも子供時代からよ~く知っていまして、この度、長きに渡る浅からぬ絆に導かれて・・・なのです。
・・・謎が深まりますね・・・。
 
 彼女からの伝言です。
「シャンソンとクラシックのクロスオーバーは、想像していた以上に自由で面白いです。大きな挑戦ですが、お客様に楽しんでいただけるよう、言葉に魂を込め、曲の世界を生きたいと思います」
 
 歌は不思議な生き物のようで、それぞれの歌い手の声、身体、心、表現を通して、別のものに変幻してゆきます。
練習風景2 
 石川さんの瑞々しい感性が加わって、更に歌の可能性が広がり、素敵なコンサートになると思いますので、こちらも楽しみにしていらして下さいね。
 ある日のヴィラージュで。石川さんのソロの音合わせを撮影してみました。



 こうして、12月の私の時間は、走るように過ぎてゆきます。


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美しき受賞の夕べ ~祝!かこさとし氏~

 先週、11月29日(木)、東燃ゼネラル児童文化賞・音楽賞の授賞式がありました。
 このブログでも以前ご紹介した、絵本作家のかこさとしさんが受賞されましたので今日はその話題を。

   プロローグ 
 今年の初め、かこさとしさんの『こどもの行事 しぜんと生活』という児童書との出会いに感動して、これをご紹介したかと思います。
 「ム?」という方はこちらを。→
『子供の読書~本の手触り~』という1月18日の記事です。この中から、少しだけ抜粋してみますね。

 ・・・・子供向きにわかりやすい言葉で記されていても、内容は妥協なく惜しみなく伝えるという科学者の情熱みたいなものがあるのでしょう。
 子供達を健全で聡明な世界に育んでゆこうとする愛情が強く感じられ、、・・・(中略)・・・かこさん自身が、小さな子供のように好奇心に満ちて、柔軟な発想を持っていらして、それが、私が彼の世界に魅かれる所以なのかもしれません。

 この続きをこれから揃えようと思っています。そして、今年の末には、このシリーズ全12冊が蔵書として本棚に増え、それと共に色々な知識が増し、遅ればせながら私も少し賢くなっている予定なのですが・・・・。
 子供は勿論ですが、大人にも・・・頭が疲れないで、心和ませながら、真面目に科学や歴史と親しめる、今更聞けない疑問が氷解する・・・本の収納場所さえあれば、是非お薦めしたいと思います。


 で、・・・・時は流れ・・・・早や一年になろうという今、「少し賢くなった」か?の言及は避けさせていただきますが、でも、見て下さい。こちらです!
バックナンバー2 一年が経ち、<1月のまき>から<12月のまき>まで、毎月1冊ずつ。今しっかり12冊の我が蔵書です。 文科系人間の私の本棚に、このような科学的な色合いの本が並んでいるのは異例なのですが、いつも側においては何かにつけて確認する辞書や事典のような頼れる実用書でもあり、また、季節を見る目を楽しく育んでくれる歳時記のようなものでもあり、大変興味深いのです。
 私は、これと思うと、とことん・・・ですので、他にも多数あるかこさんの絵本・童話・エッセイに至るまで、いつの間にかかなりの数を読破しました。
 ・・・そのような経緯を経て、次の本編に話を移したいと思います。

   本編 ~ 2012年度東燃ゼネラル児童文化賞・音楽賞授賞式 ~
 <念ずれば通ず><思えば叶う>と言いますが、思いがけぬ僥倖、不思議なご縁で、先日、親しい友人のMさんから、この授賞式のご招待状を頂きました。
 素敵なプレゼントに大感激しつつ、この日、会場のサントリーホールに勇んで向かいました。

 東燃ゼネラルグループは、燃料油、LPガス、石油化学製品などの製造販売を担っている会社ですから、児童文化賞、音楽賞と聞いても最初はあまり結びつかなかったのですが、でも、それは私が不勉強だったためのようで、今年、児童文化賞は47回目、音楽賞は42回目を数える伝統ある賞なのですね。
 歴代の受賞者は多岐にわたり、今も、日本は勿論、世界的にも活躍しておられる第一線の方たちばかりで、改めて選考基準の高さに驚かされました。
 このように芸術文化の振興と育成に尽力貢献してゆこうとする活動は、一昔前までは様々な企業で活発であったようですが、経済的に厳しさを増す昨今では、いつの間にか切り捨てられて、利潤追求にだけ目を向けざる得ない状況になってきているのでしょう。そういう中で、気概を持って、この賞を継承していることが授賞式の進行や主催者の挨拶、会場を包む雰囲気からも、よくわかり大変好ましく感じられました。

 今年度の受賞者は、
  <児童文化賞>児童問題研究家の加古 里子(かこ さとし)氏。
  <音楽賞邦楽部門>清元 三味線方の清元 美治郎(きよもと よしじろう)氏。
  <音楽賞洋楽部門 本賞>ピアニストの舘野 泉(たての いずみ)氏
  <音楽賞洋楽部門 奨励賞>チェリストの山崎 伸子(やまざき のぶこ)氏。
 以上の四名の方です。

 授賞式が始まる直前のホール壇上です。始まってからの写真撮影は禁止でしたので。
授賞式の檀上風景 
 それぞれの受賞者のご挨拶がありましたが、四人の方々とも異口同音に、「この受賞は、これまで自分を支え応援して下さった多くの皆様のお力添えや思いの賜物」と言われて、素晴らしい業績を残してきた方たちなのに、その言葉が、様々な絆を噛みしめるようにしみじみと真摯に響いて、胸打たれました。

 授賞式の後、記念公演と記念演奏が行われたのですが、これがまた、それぞれ本当に素晴らしく、確かに栄誉ある賞を受賞される方々!と、頷くばかりでした。
 かこさんは、これまでのご自身の活動を紹介されるDVDを会場で流されました。
 生い立ちから、工学部に入り科学と関わってゆく過程、その後、戦争を挟んで、絵本作家としての道を歩んでゆく経緯、多数の創作の紹介、それを通して何を伝えようとしたのか、これから子供たちのために何を目指してゆくのか、わかりやすく丹念に作られた映像にその世界がとても良く伝わってきて、改めて、やはり素敵だなと感銘を受けた次第です。

 そして記念演奏は、清元氏の浄瑠璃三味線の演奏。山崎氏のチェロの演奏。舘野氏のピアノ。
 それぞれが、夢のようにうっとりとその世界に誘ってゆく演奏で、音楽から真に浄化され力を与えられた気がしました。
 本物とは、そういうものなのですね。
 演奏が終わって静寂が戻る時の、その空白の余韻が濃密であることに、とても圧倒され、まるで音の魂のようなものが音から抜け出て周囲を浮遊しているような不思議な感覚にとらわれました。
 特に舘野氏の左手だけのピアノ演奏は圧巻でした。
 病で右手が動かない致命的なハンデを克服されて、なお演奏されるピアノの音には、突き抜けて自在に天空を駆けるような神々しさがあった気がします。
 そして明るい笑顔と優しい語り口もとても素敵な方でした。

   エピローグ
レセプション会場のクリスマスイルミネーション
 授賞式が終わった後、続いてレセプション会場へ。いつの間にか夜になって、こんなクリスマスイルミネーションが煌めいていました。

 和気藹藹と歓談の輪が広がって会場は華やかでした。

 四人の受賞者の方々。
 向かって左から舘野氏。山崎氏。清元氏。加古氏。
    受賞された方々    かこさとしさんとのツーショット
 エピローグに、本日、とびきりの写真をお見せしちゃいましょう。
 かこさんの周りには、出版関係の方たちを初め、受賞を祝う沢山の方たちがいらしたのですが、その合間を縫って、Mさんが、かこさんとのツーショットを撮って下さいました。後ろに恥ずかしそうに立っているのが私です。
 お話しも出来、隠れファンとしては大満足、素敵な一日でした。


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