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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

5月のパリを行く(2)~シャンソン探訪~

   『5月のパリが好き』完成しました
 パリ旅行報告の続きをと思いつつ、前回の記事で、『5月のパリが好き』の訳詞を作ってみようかしら・・・などと口走ってしまいましたので、まずはここから着手、で、結構自信作が出来上がりました!
 今回の私の訳詞ですが、アズナブールっぽい、いなせなパリジャンの独白という感じではなく、ジャクリーヌ・フランソワの歌のように小粋なパリのデッサンのイメージで作ってみました。
 やはり旅行効果でしょうか、詩を書いていてもパリの風景が鮮烈に浮かんできて・・・。
腰おろし煙草ふかし 
   眩しい光の中 花屋の店先に
   薔薇の香りが漂い 朝が目覚めて行く

   腰下ろし 煙草ふかし カフェは賑やかに
   一日が また 始まる          (松峰訳詞)


 少し意訳ですが、一部分だけご披露を!
 ・・・おわかりですよね!
 例の煙草をふかした素敵な花屋の店主さんまで登場させてしまいました・・・映像が自然に詩に刻まれてゆきます。こういう感覚が今回の旅の最大の収穫かな・・・この曲、これから歌って行けたらと思っていますので、いつか機会があれば是非お聴きになってみて下さい。
 さて、では早速、『5月のパリを行く』その二です。

   ねずみの夢見た「サン・マルタン運河」を行く
 今回滞在したのは、castiglione(カスティリオーネ)という老舗ホテル、21時くらいまで日が暮れないこの時期のパリの夜長に、目一杯歩き回って帰ってきても安全便利な地の利をという条件で選んだ結果、地下鉄のマドレーヌとコンコルドの中間地点にある、この上ない立地条件のホテルでした。
ホテル カスティリオーネ  ブランド街
 その上、何と、知る人ぞ知るあのサントノーレ通りに面しており、近隣はサンローラン、シャネル、エルメス、プラダ・・・あり得ないようなゴージャスな通り沿いだったのです。
ブランド街のガードマン 
 更に、ホテルの目の前には24時間体制でこのあたりのブランドショップを警戒するガードマン詰所があり、毎夜帰宅する私たち二人連れを覚えて、会釈までしてくれるようになって、私達の為のSP付き!の安全豪華なホテル暮らしを満喫したのでした。衝動買いの誘惑さえ克服できれば、女性の旅にはこういう宿もお薦めです。

 そんなホテルにぐっすり眠って、一日目、Mさんは早速、日本でも有名な、アラン・デュカスが主催するお菓子教室に参加するため朝早くから出発。
 じゃあ私もと・・・同じく朝から元気にホテルを出ることにしました。夕方の待ち合わせ時間まで、お互いに自由行動、大人の旅はかくあるべし、彼女がケーキなら、私はシャンソンでしょう!というわけで、まず朝一で、サンマルタン運河に向かうことにしたのです。

 BARBARA(バルバラ)が歌う「Gueule de nuit(夜の顔・夜の入り口)」という曲があります。
 この曲、私は大好きで『夜のねずみ』というタイトルで訳詞し、折に触れ歌っていますので、コンサートにいらして下さった方にはお馴染みかと思うのですが、サンドゥニの夜の隙間に生きる「ねずみ」、・・・と自らを称する一人の娼婦を主人公とした歌です。
 「ねずみ」=彼女は、自分が娼婦として生きなければならない宿命を素直に受け入れ諦めつつも日々結構前向きに生きているのですが、気が好い真っ直ぐな気性の女性で、実は密かに想っている彼がおり、彼女の夢は、その彼と一緒に、まだ一度も見たことのないサン・マルタン運河の夜明けを見ることなのです。
サンマルタン運河2 
   夜明け色に染まってゆく
   サン・マルタン運河の空を

   一度も見たことないもの
   ずっと心に描いてきた    
            (松峰訳詞)
 
 
 というフレーズが何度もワルツのリズムで繰り返されていてとても美しい曲です。 ・・・で、私の中では「サン・マルタン運河」は「ねずみ」の憧れの場所そのものですので、夜明けは叶わないにしろ、せめて朝のサン・マルタン運河沿いをメロディーなど口ずさみつつ、散策してみたいなと思ったのでした。
 メトロのレピュブリック駅下車、セーヌ川とウルク運河を結ぶ4.5キロの運河沿いの道を2時間ほどかけて、ゆっくりと歩き始めました。
 でも、「ねずみ」は極めてマイナーな専売特許、一般には、まず『アメリ』ですね。アメリが小石で水切りをしたあの映画の名シーンが印象的かと思います。
更に古くは、1949年のマルセル・カルネ監督の映画『北ホテル』の舞台でしょうか、貧しさの中で翻弄されていく男女の愛憎がなんとも切なく風景と重なっていたのが思い出されます。
サンマルタン運河1 
 爽やかな風景。
 夜の世界にだけ生き暮らしてきた「ねずみ」が見たかったのは、朝のキラキラとした光に照らし出された、こんなさっぱりと抜けるような情景だったのですね。 

 白い花をつけたマロニエの青葉が清々しく5月の風にそよいで、どこまでも並木道は続きます。
 両岸にはお洒落なカフェやお店が連なっていますが、まだ早かったためか、どこも閉まったままで、朝の散歩をする人の姿がまばらでした。

 古色蒼然とした太鼓橋に上って運河を眺めました。
 目はマロニエの梢の高さになって、白い花が見事に咲き誇っているのが良くわかります。
太鼓橋から見た運河  犬と散歩
 遠くまで、静かに続くサン・マルタン運河です。賢そうな犬を連れたお散歩中の男性。

途中、散策終着点のパリ東駅に向かって道を折れると、ヴィルマン公園と表示された小さな公園がありました。華やかな5月です。  パリ東駅に到着です。
ヴィルマン公園  パリ東駅
 
   買い物三昧
 そして、メトロで一路バスティーユまで。
 いよいよ・・・楽譜探し、気合が入ります。

 いくつかいつも立ち寄るお店はありますが、チェック必須店、私の一番のお気に入りはここ、バスティーユのボーマルシェ通りにある<la librairie musicale>という楽器店で、二階が楽譜専門のスペースになっています。
 楽譜屋さん1   楽譜屋さん2
 クラッシックとポピュラーの楽譜に分かれていて、結構広い店内に、ぎっしりと所狭しとばかりの楽譜・・・宝の山です。

 用意してきたリスト片手に、ひたすら探し続け、その他の楽譜もくまなくチェックし、気が付くと3時間近くが経過していましたが、どうやら周囲はそんなお客さんばかりみたいで、さながら図書館のようです。
 お店のお兄さんは、全く当たり前のように邪魔をせず、静かに気配を消していてくれて、さすがプロ! 訊けば大体はたちどころに答えてくれます。

 でも残念なことに、リストアップしてきた楽譜は絶版だったり、出版されていなかったりで、ほぼ全滅でした。
 ポピュラーの楽譜というのは日本でもそうですが、新旧に関わらずレアなものですと、そのほとんどは出版されることがなくて、出版物として手に入れることは至難の業なのです。
 しかも、私が好み訳詞したいと思うものは、特殊な曲が多いようで、結局大体は、譜面おこしから始めざる得ないことになります。
 だったら、楽譜屋さんになど行かなくても・・・という話ですが、本屋さんと同じで、実際足を運んで、表紙を眺め手に取ってみないとわからない閃きや効用は確かにあり、犬も歩けば・・・みたいに、行けば、きっと何かはヒットしてきます。
 そんなわけで、今回も面白そうなものを、直感と衝動とで、十数冊買いこんできました。

 満足して、近くのヴォージュ広場まで足を延ばし、カフェで一息。
 広場は四辺を繋ぐ回廊で取り囲まれています。
   ヴォージュ広場のカフェ   ヴォージュ広場の回廊 
 
 更に、今度はモンパルナスにある大型CDショップまで足を延ばして、ここでも2時間余りの音楽三昧。
 「シャンソン・フランセーズ」というコーナーが、いわゆるシャンソンの売り場なのですが、フランスは、日本よりずっと動きが緩やかなようで、新しいものも勿論豊富ですが、昔のままのCDも売れなくても売り場からすぐには引き揚げず、かなり長く置いてあります。昨年も一昨年もその前もあったな・・・というCDも健在でした。
 音楽の流れる店内で、気持ちよくかなりの数を購入し、荷物はずっしり重くなりましたが、テンションは高くかつ軽やかに、いつの間にか夕方となり、この日のシャンソン探訪は終了、Mさんとの待ち合わせ場所にいそいそと向かったのでした。




 

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5月のパリを行く(1) ~花々とデザートと~

 シャルル・アズナブールのヒット曲で<J’aime Paris au mois de mai>(『五月のパリが好き』)という曲があります。
 日本でも人気があって、「素敵なパリの街に スズランの花が揺れ リラが花咲けば~~」という良く知られた日本語詩で、この時期、歌われる歌なのですが、ウキウキするメロディーもこの季節にしっくりくる・・・と感じて、パリにいる間、何となく口ずさんでいました。
 私は、「新しいシャンソンを紹介する」という自分のコンセプトから、メジャーな曲はこれまであまり多くは訳詞していないのですが、この曲については、かなり違ったイメージができていますし、「是非!」と、薦めてくれた友人もいて、旅行の思い出に自分の訳詞を作ってみようかしらと今思っています。
 アズナブールではなくジャクリーヌ・フランソワが歌っている曲がyoutubeにあがっていました。よろしかったら。↓
 http://www.youtube.com/watch?v=0hjij6zmqvc

 今回のフランス旅行、まずは、<花とお菓子の写真集>ということでスタートしてみようかと思います。

   咲き誇る花々の中で
 春を歌うシャンソンの中に、よく登場する花の筆頭と言えば、まずは「マロニエ」、そして「リラ」でしょうか?
マロニエの並木道 「~~マロニエの並木道~~♪」というシャンソンのフレーズはどっさりとありますし、一昔前の歌謡曲にも、また「銀座マロニエ通り」のように、ちょっと洒落た風の通り名にもなっていますね。
 でも、マロニエの花ってご覧になったことありますか?
 私はマロニエの花咲く季節にパリを訪れたことは、これまでありませんでした。・・・・それが、今回は満喫です。
マロニエの花 
 日本の桜と同様に、一斉に、ここにもあるのだぞ!という勢いで、パリ中に咲き誇っていました。
 かなり背の高い立派な街路樹です。こんな白い花。
 赤い花も時々混ざっていますが、赤は弱く、白のほうが圧倒的に優勢なのだそうです。

 パリは札幌と同じくらいの緯度に位置して、結構気候条件も似ているようです。冬は寒く、春は遅く、4月末くらいから花々が一気に開いて、美しい季節が始まるのでしょうね。そのシンボルのような花。
 マロニエの並木の下に、はらはらと白い花びらが舞って、何とも言えない素敵な風情がありました。
 
 そして「リラ」。 これも今を盛りと咲いていました。
リラ1  リラ2
 宝塚歌劇団のテーマソングになっている「すみれの花咲く頃」という歌をご存知かと思いますが、これは元々「すみれ」ではなく「リラ」だったそうで、日本では「リラ」は今一つわかりにくいので「すみれ」に変えたのだと聞いたことがあります。ライラックのことですね。

 こんな窓辺はパリならではの素敵な設えです。
 家を飾る花   家を飾る2

 似た紫色ですが、こちらは「桐」の花。
 上向きに花をつけるので違いがすぐ判ります。「桐」もパリでは大木になって、実に美しい澄んだ紫色をしていました。
 そして新緑の通り道
 
桐の木   緑の棚の通り道
       

 街のそこここの公園などにも色とりどりの花木があり、まさに百花繚乱、パリの風景に溶け込んでいます。
 五月のパリは紫が際立つ季節でもあります。そして、真っ赤な芍薬の花も。
百花繚乱の公園 シャクヤク


 お花屋さんの店先には色とりどり、華やかに春爛漫です。
花屋さんの店先1 花屋さんの店先2

 こちらもお花屋さんのウインドーです。大輪の薔薇がセンス良く飾られています。
店先のバラ  一服する花屋さん
 このお花屋さんの店主らしき方がお店から出てきて、タバコを一服。
 絵になるなと思わず遠巻きにシャッターを押してみたのですが、ふっとこちらに気付いてにっこりと綺麗な笑顔で挨拶してくれました。
 一瞬で頭の中にちょっと良い物語が出来ました。でも、これは秘密!


   そして、美味しい旅
 旅の相棒Mさんは、ケーキのお教室も自ら開いていらして、パティシエとしての道を目指している方であることは既にご紹介しましたが、今回、彼女と一緒のおかげで、美味しい食事とデザートをたくさんお相伴することができました。

 そのごく一部を写真で追ってみます。

 沢山訪ねたケーキ屋さんの中で、私の一押しはマレ地区にあるこのお店「ジャック・ジュナン」。
元々はチョコレート屋さんなのですが、美味しいケーキも出してくれるということで、連れて行ってもらいました。
ミルフィユとレモンタルト 

バニラクリームの入ったミルフィーユとレモンタルトです。
フランスの伝統的なケーキはやはり濃厚で甘すぎるものも多いのですが、これはさっぱりしていて何とも言えず風味があり、パイのサクサク感も超一流、本当に美味しかったです。

お洒落な化粧室

 お店の隅々まで行き届いたセンスも、全て気に入って、化粧室まで写してしまいました。



キャラメルクレープ

 「ラ・クレープリー・デ・カネット」というクレープの人気店で、ここにも入り、焼き立てのガレットとクレープも頂きました。こちらはデザートのアイスクリームが上に載ったキャラメルクレープです。


 至る処にある美味しそうなパン屋さん。クロワッサンの味はさすが、パリならではです。
パン屋さんの店先  パン屋さんの店先2
 わが友は、パン屋さん、ケーキ屋さん、チョコレート屋さんの前では必ず、じっと観察し、写真に収めます。そうでなければね。やはりプロは違うと感心することしきりでした。

季節のタルトとエクレア
 ここもお薦めのお店でした。「アン・ディモンシュ・ア・パリ」。
 季節のタルトとイチゴのエクレアです。
 この頃になると、さすがに、「これ良かったら食べてくれる?」のセリフが増えてくる私でした。一方、スリムな彼女なのにしっかりと味の研究に余念がなく、それにも再び感心です。

マカロンのディスプレイ 
 パリオペラ座の近くは、フォションの本店やラデュレなど高級店が立ち並んでいます。
 
 
 マカロンもアートですね。

 以上、これらはほとんど一日半くらいの写真で、まだまだ・・・きりがないので本日はこれくらいにしておきます。


 パリのお話のスタートはまずは、<花と団子>。・・・5月のパリの可憐な花々と美味しいデザート、両方とも満喫してきたという今日のご報告でした。まだまだお土産話は色々とありますが、次回をお楽しみに。

   
  ところで、ちょっと、おまけの話
 帰国して三日目。未だ昼夜逆転のジェットラグの中、新幹線で東京に! 結婚式に列席してきました。
 純白のウエディングドレスに身を包んで佇んでいたのは、いつも私のコンサート写真を撮って下さる沢木さん。
 
ウエディング1
 華奢な体にドレスが美しいシルエットを作って、モデルさんのように素敵でした。いつも黒のパンツスーツで重いカメラを何台も肩に掛け,颯爽とシャッターを押すきりっとした面差しを見慣れていましたが、この日の少し照れたような満面の笑顔は、改めて見ると、リスにもウサギにもどこか似ていて、とってもキュートで可愛いかったです。
 <いつも写真を撮り慣れているから、被写体はいかにあるべきか熟知しているのでは>と彼女の友人たちからのもっぱらの評、確かにカメラを向けられても変に動じないで、自然な笑顔がこぼれるところはさすがです。
 体調を壊されてご列席が危ぶまれていた彼女のお父様も、本当に嬉しそうなご様子で終始彼女を見守っていらして、和やかな心に残る結婚式でした。
ウエディング2 

 式場の教会は、外に向かって大きく開放されていて、ここにも美しい5月の光が降り注ぎ、若葉と花々で一杯でした。

 沢木さん、末永くお幸せに!


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ただ今、帰って参りました!

 お陰様で先ほど無事、帰国致しました。

 関空に降り立ったら、なんと空気が暑い!・・・・元々こんなだったかしら?短い間に何たる適応力、体がすっかりパリの気温に順応してしまったのかしら?・・・と、まず思ったのですが、この数日30℃近い夏のような暑さが続いていたのですね。
 パリは18℃~20℃位でとても気持ちの良い季節でした。それでも夜になると急に冷え込んでくるので、持って行ったトレンチコートを重宝していつも羽織っていました。

 出発前、「週間天気予報では、この一週間、パリはずっと雨が続くらしいです・・・。」と旅の相棒Mさんの心配そうな言葉。
 ・・・・またまた自慢してしまいますが、結局一日も降られることなく、帰路の空港でフライトを待っていた間だけ、一天俄かに掻き曇り、どしゃ降りに・・・。別れを惜しむようなこの雨を置き土産にしてパリを後にしたのでした。

 思っていた以上にとても短く感じましたが、でもお陰様で充実して過ごせた楽しい旅となりました。

 5月のパリは、春爛漫、リラ(ライラック)、マロニエ、薔薇、一斉に花が咲き乱れ、とても美しかったです。

パリのリラ
 楽譜屋さんとCD屋さん巡りが今回の旅行の第一優先、それも叶い、結構収穫がありましたし、後は時間に任せてぶらぶらと、これまで私が訳したシャンソンの中に出てくるゆかりの地を散策して過ごしたりしました。
 写真も沢山撮ってきましたので、改めてご紹介いたしますので、楽しみにしていて下さい。

 いつもの旅と一番違ったのは、食べ物かな?
 すでにパティシエでもあるMさんはさすが食通で、お店情報も実に詳細に把握していて、ほとんど毎食、そしておやつタイムも含めて、全てがこだわりのあるお店のチョイスで、私としては夢のようなグルメ旅が実現したのでした。
 持つべき友は、シェフさんかパティシエさんです。
 改めてMさん自慢もさせていただきますので、こちらも是非ご期待ください。
 でもその甲斐あって?!旅行の後半から何となく予感はしていたのですが、帰宅してまず乗ってみた体重計には明明白白、覚悟していたとはいえ困った結果が如実に示されていました。
 美味しかったから、まあ良いか!
 少しずつ節制して戻してゆけば・・・良いですよね!

 私にとっての旅の醍醐味は、何をするというよりもまずその土地の雰囲気に包まれることで、・・・<フランスの空気に触れ、空気を吸ってきたい>と思っていましたが、たとえ数日でも、やはり心身に沁み入ってくるものがあった気がしています。
 今はまだ、ぼんやりと雰囲気でしかありませんが、段々自分の中で熟成されて見えてくればと思います。

 ともあれ、今日はまず、無事帰国のご報告を。
 今は、ぼおっとしているので、時差を速やかに調整し、旅のお土産話を改めてご報告させて頂きますね。



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行って参ります!

 筍パーティーと越前市訪問、今年のGWは楽しい出会いが沢山あったのですが、更に極め付けで、明日からフランスに行って参ります。
 そうは言っても、一週間ほどの小旅行ですので、機内泊などして、ようやくパリに着いたと思った途端、すぐ又、帰路の飛行機の中になってしまうに違いありません。

 出掛ける前は、何かと気忙しくて、どこからか突然仕事が湧き出してくる気がします。
 大事なことを忘れているのではないかと不安になって、何回もスーツケースの開け閉めなどしたり、いつもは気にならずにほったらかしてある家の隅々などを急に磨き始めたりして、自分でも何だか可笑しいのですが、俄か掃除も楽しみのうち、旅行は既に始まっていて、ほんの少しの自分への言い訳と、ある種のおまじない、通過儀礼のようなものなのかもしれません。

凱旋門から見るエッフェル塔
 でも、地図やガイドブックなど広げていると、いよいよ出かける気がしてきて、心が浮き立ってくるものですね。
 「この時期のパリは一番良い季節ですが、朝晩は寒暖の差があるので、念のため、ジャッケットやコートなどを用意しましょう」などと書いてあると、なるほど確かに・・・・と妙に素直になって、荷物はどんどん膨らんできます。

 以前からチェックしていた楽譜やCDなどのリストを作り、買い出し準備も整ってきました。・・・・収穫があると良いのですが。
 今回は、ほとんどずっとパリに滞在して、ともかくも、五月の街、パリの空気を満喫できたらと思っています。
ライトアップのエッフェル塔 
 一週間と少し、ご無沙汰しますが、楽しいご報告がしたいです。
友人のMさんとの二人旅の無事を、どうぞお祈りくださいね。






 

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皐月好日2 ~越前市武生にて

   越前市武生へ
 いつもブログをお読み下さっている方はもうよくご存知ですね。
これまで何回かご紹介してきました、児童文学者・絵本作家の『かこさとし』氏のこと、そして、私は隠れファンで、かなりの「かこさとし通」であることを。(一番最近の記事はこちらです→
『美しき受賞の夕べ ~祝!かこさとし氏』

 実はお嬢様のMさんと私は、親友同士なのです。
 昔からのお付き合いで、或る日、彼女のお父様が「かこさとし氏」と知って、愕然! そんなことって! 「じぇじぇじぇ~~!!」です。

 そのMさんからのお誘いを受けて、一昨日(5月4日)、越前市に赴きました。
 加古里子(かこさとし)氏は、越前市武生(たけふ)の生まれで、8歳まで過ごされたこの土地での思い出を折に触れて著書に書いておられますが、この地に、4月26日、『かこさとし ふるさと絵本館石石(RAKU)』がオープンして、GWは越前市の記念セレモニーに合わせ様々なイベントが企画されることになったのです。

 京都から武生まで特急サンダーバードで1時間10分、感覚では随分遠い気がしていましたが、思っていたよりずっと近くてびっくりしました。
車窓の田園風景が心に優しく入ってきて、これも小さな旅、期待が膨らんできます。
武生駅  田園風景
 夕暮れ時、駅に降り立つと、遠景になだらかな山並みが広がって何とも言えない静かな佇まいにどこか懐かしい感じが迫ってきました。
 武生は、既にその著書から私の中に、様々にイメージされていましたので、それが自分の追体験のように感じられたためかもしれません。「読書の効用、侮るべからず」です。

 ご家族、ご友人、編集、出版関係、絵本館の創設に関われられた方々、その他、お仕事を通して温かい絆が結ばれた皆様・・・大勢で、Mさんが心を尽くして手配して下さった、風情のある老舗の料亭での和やかな夕食会となりました。
 越前の魚介類を中心にした美味しいお料理が食べきれないほど豪快に、次々と運ばれてきて、打ち解けた楽しい会話に飾られて、とても幸せな時間でした。
 かこ氏とご家族の温かく誠実なお人柄からなのでしょう。集った皆様が、絵本館の開館を心から祝福していることがよくわかりました。
 座は、今年87歳の年齢を全く感じさせない、しなやかなエネルギーに圧倒され、こちらも力が充足されてきます。
 そして、編集や出版の方々の、黒子に徹しつつの素敵な創意や才知にも、お話を伺いながら深い感銘を受けました。
 期せずして素敵な方々と同席させて頂きながら、人の世は、思いがけない不思議な巡り合わせ、ご縁が繋がって動いてゆくものと、感慨深く思われた夜でした。

   『かこさとし ふるさと絵本館 石石(RAKU)』
 さて、翌日。
 ふるさと絵本館   石石の看板
 言わずもがなの日本晴れ!
キャラクターとコスチューム

 子供の日のイベントにまことにふさわしい素敵な青空です。

1階入り口には、人気キャラクターがお出迎えです。ふん装用コスチュームもしっかり揃えられていますね。

 そして展示室。
 読書が出来るようになっています。その横にはこんな寛ぎスペースも。座っても転がっても、本に夢中になれる居心地のよさそうなスペース、「だるまちゃん」の側で、そのうち気持ちよく眠ってしまう子もいるのでしょう。
かこさとしコーナー  コーナーのスペース
 随所に可愛い子どもの椅子が置かれていて、これは「かみなりちゃん」のシルエットを模しているのでしょうか?何とも可愛いですね。

「越前市の子どもたちへ」と掲げられた、かこ氏の自筆のメッセージです。(クリックすると大きくなります)

メッセージ  若い先生と
 午前中は、若い先生たちとのディスカッション。
 児童教育についての一つ一つの質問に熱心に答えるかこ氏です。

 二階の展示は、「だるまちゃんとかみなりちゃん」などの下絵、原画、印刷画が並べられていて、制作過程が一目でわかるよう工夫が凝らさせていました。
 普段私たちは、出来上がった絵本の形で手に取るわけですが、原画は何と言っても生の溢れるような力があり、色彩もタッチも一段と気迫が伝わってきて圧巻です。
 その他、絵で表現することや、科学的な目を持つこと、じっと自分で観察すること、・・・・そういうことの意味を自然に理解できるような興味深い展示が多くあり、この絵本館で、大人も子供も、きっと何かウキウキした向上心が湧き立たせられるに違いないと思いました。

   『読書のまち宣言』
 この日の、メインイベントは、越前市の『読書のまち宣言』のセレモニー。
 文化センター小ホールで、その記念の一環として、かこ氏の『子どもの成長と本の力』という演題で講演が行われました。

 越前市は、元々読書の推進に市を挙げて熱心に取り組んでおり、この度、絵本館が完成したことと重ねて、「読書のまち宣言」を行うことになったようです。
 次のような5項目が宣言されました。
1 赤ちゃんを愛情豊かに育てる親子読み聞かせ。
1 子どもの読書習慣を育てる朝読(あさどく)・読み聞かせ。
1 親子や家族みんなで仲良く読書に親しむ家読(うちどく)。
1 郷土や歴史や文化伝統などに触れる地域読書(まちどく)。
1 毎月第3土曜日を市民読書の日と定めた生涯読書(いきがいどく)。
 
 壇上で、一般市民の方たちが、楽しそうに、そしてきりっと、宣言文を読み上げ、一言ずつ自分の言葉で、このそれぞれに取り組む決意を語る様子がとても好ましくて素敵な宣言式でした。

 そして、かこさとし氏の講演。
 やはり故郷への特別な思いが溢れておられたのでしょうか。いつも以上にとても楽しそうで、ユーモアを一杯に交えた、エネルギッシュな講演でした。会場はお話に惹きこまれるように耳を傾けて、質疑応答も活発で終始温かい空気を感じました。

   神と紙の祭り ~紙祖神(しそしん)岡太(おかもと)神社
 武生は、越前和紙の町です。
岡太神社 
 1500年前に日本に和紙漉きの技術を伝えた紙の神様、川上御前を祭った神社が岡太神社で、この日は、神輿が繰り出され祭礼が取り行われるということで、講演終了後、ご案内頂きました。

神社の境内で神輿を待っていると、やがて賑やかな掛け声と力強い太鼓の音と共に、男衆が担ぐ神輿がやってきました。境内の石段を一気に駆け上がり、一休みです。
神輿の到着 
 
 そして、再び駆け下りて、山の向こうの奥の院まで、神輿を奉納して祭りは幕を閉じるのですが、この山里に神様を留まらせようとして神輿を腕づくで押し留めようとする村の衆と、奥の院に進むべく神輿を担ぎ降りようとする担ぎ手とが、激しくせめぎ合うという神事がこの祭りの見どころなのだそうです。

 さて始まりました。
 鳥居の前で勢いをつけて神輿は何度も回り続けます。
神輿の全速力の回転  神輿の引き留め2
 引き留めようとする村の衆がだんだん増えて、力とのぶつかり合いがどこまでも続いて、段々熱気を帯びてきます。
 「ほいさ」「ほいさ」の掛け声が担ぎ手と観客の中から、次第に大きくなってきて鎮守の森に響き渡り、担ぎ手が息を切らし、真っ赤な顔で汗が滴り落ちる頃、祭りは最高潮に達します。

 観客の中で、一人とりわけ大きな声で掛け声に唱和する男の子がいて、担ぎ手以上に赤い顔をして興奮していました。あの子は、後何年かしたら、神輿の先頭を切るのでしょうね。
 そんな風に、脈々と懐かしい時間を繋いで、今があるのでしょう。

 後ろから地元の方の話し声が耳に入ってきました。「今の若い衆は疲れているのかね。昔はもっと全速力で走り回っていたのに。」「しょうがないよね。みんなこの日のために東京から戻ってきている若者ばかりなんだから。それでも必ず帰ってくるからまだ良いよ。」・・・このお祭りがずっと続くと良いと願います。
 振り切って奥の院へ
 そして、留める力を振り切って神輿は石段を駆け下り、日が傾く中を奥の院へと向かって行きました。
 夜になると奥の院に向かう提灯の灯りが幻想的で厳かな美しさを持つと伺ったのですが、これを見ることは今回は叶わず、武生の町を後にしました。

 小さな旅、楽しい出会いのご報告でした。


 

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皐月好日~野外筍パーティー

 GW、後半が始まりました。

 昨日は面白いところに行ってきました。

 覚えていらっしゃるでしょうか?
 昨年の10月28日の記事
『観月の宴~正伝寺の十三夜』で、素敵な『観月の会』をご紹介したことがありましたね。
 「お寺でお月見をするけどよかったら一緒にどお?」と、あの時、さり気なく声をかけて下さったYさんからの、再びのお誘いです。
 今回は、『野外筍(たけのこ)パーティー』。

 阪急京都線桂駅から一つ先の「東向日駅」下車、約1キロ行ったところがパーティー会場。Yさんのご友人N氏所有の竹林の中で、気の置けない野外パーティーを毎年行っていらっしゃるそうなのです。

 近くまで来ると、辺り一面竹林で、5月の風にしなやかに今年伸びた若竹が揺らぎ、竹の葉の新緑が柔らかくさやさやと葉擦れの音を立てていました。
あたり一面竹林1  あたり一面竹林2
 気持ち良い!・・・ぶらぶらと散歩気分で、大きく深呼吸しながらこういう風景の中を歩いていると、風の中に浮遊してゆけそうな気がしてきます。

 頂いた地図をたよりに、小さな竹の門をくぐって、たぶんここでいいのかな?と思うほうを進んでゆくと、遠くに賑やかな談笑が聞こえてきました。
 随分早めに着いたつもりだったのですが、もう既に大勢の方たちが集まっていらっしゃるようです。
 2000坪以上はありそうで、びっくりする程広いのです。
 でも、よく手入れの行き届いた竹林だと思いました。
 竹は上手く間引かれて、それぞれが木漏れ日を受けながら、端正に育っている、素人目にもわかるのですが、原生林のようではなく、土も耕されて手が加わって丹精されていますし、背丈以上に伸びた筍もあれば、足元には筍の芽が元気よく美味しそうに顔を出して、それが数知れずなのです。
焼肉奉行 
 竹林の一部を伐採し、中央に大きな広場が設えられてあって、そこが本日のパーティー会場になっています。
 もう炭は赤く燃え、バーベキューの準備が整い、女性たちは食材の仕込みに忙しそうでした。
 そして既に収穫され大きなバケツやポリ容器に山のように積まれた筍。
 学生時代の文化祭のような盛り上がりで、地鶏を中心にしたバーベキュー、焼きそば、たこ焼き、筍のお刺身、筍の海苔巻 焼き筍、筍の天ぷら・・・・取り立ての筍が王様、手慣れた男性軍が中心でどんどん準備が進んでゆきました。
採りたての筍も焼いて 
 文化祭ヴァージョンなら私も昔はプロ(文化祭実行委員会の名顧問だったこともあります!)、結構血が騒いで、恐ろしい程の大量の鶏肉相手に下ごしらえにも心弾みます。
こちらは焼き筍用下ごしらえで、ごくごく一部の写真です。


N氏のご友人と、その紹介者が集う「竹林の宴」というわけなのですが、総勢60~70名はいらしたのでしょうか、浮世から束の間離れて、別世界の和やかな5月の集いです。
  パーティー風景2   パーティー風景1
 「また言ってるの?」・・と、そろそろ顰蹙(ひんしゅく)を買いそうですが、でも事実なので、・・・ 前日までの寒々しい雨模様から一転してこの日も、やはり気持ちの良い五月晴れの一日になったのでした。
 野外パーティーはお天気次第で楽しさの80%は決まるので。
 晴れ女、ギネス更新です。

 10月の観月の会で、顔見知りなった方たちも沢山いらして、やあやあという親しさ、どこの誰でも関係なく、ジョークの飛ばし合い、笑い合って、皆の頭の中が、しばし筍だけになるような、シンプルな時間を共有する屈託のなさが、竹林の青空にとても心地よく感じられました。

 ワイン、ビール、日本酒、焼酎、ソフトドリンク、お好みでどうぞというわけで、筍を肴に和気藹々と宴たけなわです。
 ややしばらくして、では参加者の自己紹介をということになりました。

 京都在住の方だけでなく、東京、横浜、群馬、山形、北海道・・・毎年遠方から楽しみにいらっしゃる方も多くて、びっくりしました。

 N氏は現代アートの美術家でいらっしゃることもあって、彫刻家、版画家、写真家、美術評論家、画廊店主、・・・など美術関係の各分野でご活躍のご友人が多くいらっしゃいました。
 私を誘って下さったYさんもそうですが、「まちづくり」に関わり、京都の景観を考える様々な文化に貢献していらっしゃる方々と、その建築関係の方々。
 ピアノ、フルートの演奏者の方たちも。本当にそれぞれが多岐にわたるご職業ですが、生き生きと楽しげにご自身のことを語っていらっしゃって、素敵な時間でした。
 違う世界のお話を伺えるのは、目が一気に開かれるようで楽しいことですし、シャンソンの訳詞って? ・・・と私のことにも、色々な方たちが興味を待って声をかけて下さり、話に花が咲いて嬉しかったです。

 そして筍取りの体験。

筍ほりに挑戦2 

 先が尖った、長い鍬のような刃が付いた道具・・・上手く表現できないのですが、筍を取る専門の道具なのでしょうね。
 これを使って筍を掘ります。

 まずは回りから掘り始め、尖った先端の感覚を頼りに、根の張っているところを確かめて、筍本体を傷つけないように、根を切っていきます。
傷つけないように  そっと掘り起し
 それで根が離れたと思ったところで、テコの要領で筍を掘り上げれば成功です。
 結構深く根を張っていますので、かなり力が必要で、慣れないことをして、腕が痛くなりそうでした。
 おそるおそるこんな感じで、私もちょっとやらせて頂きました。
 腰が入りきれていなくて、サマになりませんが、でも何とか、助けて頂きながら収穫。
で、記念写真です。
立派な筍がとれた 
 お隣りに写っている方は今回の筍友達なのですが、プライバシー保護の為、にこやかな笑顔はカットさせて頂きました。
 お世話になりありがとうございました。

 あっという間の一日。
 夕方、散会の合図のように一瞬、雨が流れてきました。
 一期一会と言いますが、よくわからない偶然で、同じ時間を心地よく過ごし、微笑みを交わし合い、お元気でと、声を掛け合いながら別れて行く・・・でもそこからまた、思わぬ絆も生まれる・・・良いものだなと思います。

 そんな一日のご報告でした。

 さて今日はこれから、越前市で行われるかこさとしさんの「ふるさと絵本館」のオープンセレモニーに行って参ります。
 ご報告は、また。お楽しみに!


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