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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

皐月好日2 ~越前市武生にて

   越前市武生へ
 いつもブログをお読み下さっている方はもうよくご存知ですね。
これまで何回かご紹介してきました、児童文学者・絵本作家の『かこさとし』氏のこと、そして、私は隠れファンで、かなりの「かこさとし通」であることを。(一番最近の記事はこちらです→
『美しき受賞の夕べ ~祝!かこさとし氏』

 実はお嬢様のMさんと私は、親友同士なのです。
 昔からのお付き合いで、或る日、彼女のお父様が「かこさとし氏」と知って、愕然! そんなことって! 「じぇじぇじぇ~~!!」です。

 そのMさんからのお誘いを受けて、一昨日(5月4日)、越前市に赴きました。
 加古里子(かこさとし)氏は、越前市武生(たけふ)の生まれで、8歳まで過ごされたこの土地での思い出を折に触れて著書に書いておられますが、この地に、4月26日、『かこさとし ふるさと絵本館石石(RAKU)』がオープンして、GWは越前市の記念セレモニーに合わせ様々なイベントが企画されることになったのです。

 京都から武生まで特急サンダーバードで1時間10分、感覚では随分遠い気がしていましたが、思っていたよりずっと近くてびっくりしました。
車窓の田園風景が心に優しく入ってきて、これも小さな旅、期待が膨らんできます。
武生駅  田園風景
 夕暮れ時、駅に降り立つと、遠景になだらかな山並みが広がって何とも言えない静かな佇まいにどこか懐かしい感じが迫ってきました。
 武生は、既にその著書から私の中に、様々にイメージされていましたので、それが自分の追体験のように感じられたためかもしれません。「読書の効用、侮るべからず」です。

 ご家族、ご友人、編集、出版関係、絵本館の創設に関われられた方々、その他、お仕事を通して温かい絆が結ばれた皆様・・・大勢で、Mさんが心を尽くして手配して下さった、風情のある老舗の料亭での和やかな夕食会となりました。
 越前の魚介類を中心にした美味しいお料理が食べきれないほど豪快に、次々と運ばれてきて、打ち解けた楽しい会話に飾られて、とても幸せな時間でした。
 かこ氏とご家族の温かく誠実なお人柄からなのでしょう。集った皆様が、絵本館の開館を心から祝福していることがよくわかりました。
 座は、今年87歳の年齢を全く感じさせない、しなやかなエネルギーに圧倒され、こちらも力が充足されてきます。
 そして、編集や出版の方々の、黒子に徹しつつの素敵な創意や才知にも、お話を伺いながら深い感銘を受けました。
 期せずして素敵な方々と同席させて頂きながら、人の世は、思いがけない不思議な巡り合わせ、ご縁が繋がって動いてゆくものと、感慨深く思われた夜でした。

   『かこさとし ふるさと絵本館 石石(RAKU)』
 さて、翌日。
 ふるさと絵本館   石石の看板
 言わずもがなの日本晴れ!
キャラクターとコスチューム

 子供の日のイベントにまことにふさわしい素敵な青空です。

1階入り口には、人気キャラクターがお出迎えです。ふん装用コスチュームもしっかり揃えられていますね。

 そして展示室。
 読書が出来るようになっています。その横にはこんな寛ぎスペースも。座っても転がっても、本に夢中になれる居心地のよさそうなスペース、「だるまちゃん」の側で、そのうち気持ちよく眠ってしまう子もいるのでしょう。
かこさとしコーナー  コーナーのスペース
 随所に可愛い子どもの椅子が置かれていて、これは「かみなりちゃん」のシルエットを模しているのでしょうか?何とも可愛いですね。

「越前市の子どもたちへ」と掲げられた、かこ氏の自筆のメッセージです。(クリックすると大きくなります)

メッセージ  若い先生と
 午前中は、若い先生たちとのディスカッション。
 児童教育についての一つ一つの質問に熱心に答えるかこ氏です。

 二階の展示は、「だるまちゃんとかみなりちゃん」などの下絵、原画、印刷画が並べられていて、制作過程が一目でわかるよう工夫が凝らさせていました。
 普段私たちは、出来上がった絵本の形で手に取るわけですが、原画は何と言っても生の溢れるような力があり、色彩もタッチも一段と気迫が伝わってきて圧巻です。
 その他、絵で表現することや、科学的な目を持つこと、じっと自分で観察すること、・・・・そういうことの意味を自然に理解できるような興味深い展示が多くあり、この絵本館で、大人も子供も、きっと何かウキウキした向上心が湧き立たせられるに違いないと思いました。

   『読書のまち宣言』
 この日の、メインイベントは、越前市の『読書のまち宣言』のセレモニー。
 文化センター小ホールで、その記念の一環として、かこ氏の『子どもの成長と本の力』という演題で講演が行われました。

 越前市は、元々読書の推進に市を挙げて熱心に取り組んでおり、この度、絵本館が完成したことと重ねて、「読書のまち宣言」を行うことになったようです。
 次のような5項目が宣言されました。
1 赤ちゃんを愛情豊かに育てる親子読み聞かせ。
1 子どもの読書習慣を育てる朝読(あさどく)・読み聞かせ。
1 親子や家族みんなで仲良く読書に親しむ家読(うちどく)。
1 郷土や歴史や文化伝統などに触れる地域読書(まちどく)。
1 毎月第3土曜日を市民読書の日と定めた生涯読書(いきがいどく)。
 
 壇上で、一般市民の方たちが、楽しそうに、そしてきりっと、宣言文を読み上げ、一言ずつ自分の言葉で、このそれぞれに取り組む決意を語る様子がとても好ましくて素敵な宣言式でした。

 そして、かこさとし氏の講演。
 やはり故郷への特別な思いが溢れておられたのでしょうか。いつも以上にとても楽しそうで、ユーモアを一杯に交えた、エネルギッシュな講演でした。会場はお話に惹きこまれるように耳を傾けて、質疑応答も活発で終始温かい空気を感じました。

   神と紙の祭り ~紙祖神(しそしん)岡太(おかもと)神社
 武生は、越前和紙の町です。
岡太神社 
 1500年前に日本に和紙漉きの技術を伝えた紙の神様、川上御前を祭った神社が岡太神社で、この日は、神輿が繰り出され祭礼が取り行われるということで、講演終了後、ご案内頂きました。

神社の境内で神輿を待っていると、やがて賑やかな掛け声と力強い太鼓の音と共に、男衆が担ぐ神輿がやってきました。境内の石段を一気に駆け上がり、一休みです。
神輿の到着 
 
 そして、再び駆け下りて、山の向こうの奥の院まで、神輿を奉納して祭りは幕を閉じるのですが、この山里に神様を留まらせようとして神輿を腕づくで押し留めようとする村の衆と、奥の院に進むべく神輿を担ぎ降りようとする担ぎ手とが、激しくせめぎ合うという神事がこの祭りの見どころなのだそうです。

 さて始まりました。
 鳥居の前で勢いをつけて神輿は何度も回り続けます。
神輿の全速力の回転  神輿の引き留め2
 引き留めようとする村の衆がだんだん増えて、力とのぶつかり合いがどこまでも続いて、段々熱気を帯びてきます。
 「ほいさ」「ほいさ」の掛け声が担ぎ手と観客の中から、次第に大きくなってきて鎮守の森に響き渡り、担ぎ手が息を切らし、真っ赤な顔で汗が滴り落ちる頃、祭りは最高潮に達します。

 観客の中で、一人とりわけ大きな声で掛け声に唱和する男の子がいて、担ぎ手以上に赤い顔をして興奮していました。あの子は、後何年かしたら、神輿の先頭を切るのでしょうね。
 そんな風に、脈々と懐かしい時間を繋いで、今があるのでしょう。

 後ろから地元の方の話し声が耳に入ってきました。「今の若い衆は疲れているのかね。昔はもっと全速力で走り回っていたのに。」「しょうがないよね。みんなこの日のために東京から戻ってきている若者ばかりなんだから。それでも必ず帰ってくるからまだ良いよ。」・・・このお祭りがずっと続くと良いと願います。
 振り切って奥の院へ
 そして、留める力を振り切って神輿は石段を駆け下り、日が傾く中を奥の院へと向かって行きました。
 夜になると奥の院に向かう提灯の灯りが幻想的で厳かな美しさを持つと伺ったのですが、これを見ることは今回は叶わず、武生の町を後にしました。

 小さな旅、楽しい出会いのご報告でした。


 

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