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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

パトリシア・カース 日本公演(2)

 前回の記事「パトリシア・カース 日本公演(1)」に続き、今日は、東京公演の様子を中心にお伝えしてみたいと思います。

   東京公演 一部
 9日の大阪公演の二日後、11日が東京文京シビック大ホールでのコンサートでした。
 両日共、全国的な超猛暑日で、大阪は37℃、東京は36℃・・・日本よりかなり涼しいフランスから来たカース達、大丈夫かしら?と心配でしたが、無事幕が開き、大阪と変わらぬパワフルな舞台で、もう それだけでも感動ものです。
カース公演プログラム
 大阪オリックス劇場は2400席、一方、こちらは1800席といずれ劣らぬ大ホールが見事に埋まるのですから、カース人気はやはり凄いです。ただ2000人ともなると、受付もロビーもトイレさえも長蛇の列、人で溢れ返る大騒ぎ状態になるのですね。
 開場から開演まで30分間あったにもかかわらず、予定通りの開演時にも、まだロビーでの喧騒は充分納まっていない感じで、ホール側のスタッフはさぞ大変だったことでしょう。

 ここでの私の座席は二階奥右片隅、ステージは遥か遠く、大阪のかぶりつき席を思うと一抹の寂しさを感じましたが、でも、上から舞台全体を鳥瞰する目線で、全体の舞台構成、動き、照明や映像の効果なども楽しめましたし、客席の奥まで響きがダイレクトに伝わってくる臨場感も味わえ、とても興味深かったです。

 東京の公演は、二部仕立てになっていて、一部は日本人のシャンソン歌手9人のそれぞれの歌で、カースのレパートリーを中心に計14曲が披露されました。
 ベテランの歌手の方々でも、客席にカースへの期待や熱気が充満しているのを受けとめながら、その同じステージで歌うのはまた特別な高揚感があるのではないかしらなどとも思いました。声援の上がり方で、それぞれのファンや関係者席が特定できるのが、アイドル系の競演ライヴに来た時みたいで、ちょっと面白かったです。

 そして、一部の演奏は、<三浦高広グループ>。
 ・・・ふふふ。
 ピアノを弾く三浦先生のシルエットがステージに照らし出された時、持って行ったオペラグラスで思わず凝視してしまいました。
 いつも通り泰然自若、いつもと変わらない表情・・オペラグラスが確かに捉えました。そしていつものお洒落で華麗なピアノの音色に密かなるエールを送りつつ、それぞれの方の熱唱を楽しんだ一部でした。

   東京公演 二部
 そして、二部はいよいよカースのステージ。
 大阪と同様のピアフの曲、全23曲をパワフルに歌い切りました。
 ピアフ:カース・CDアルバムより
 ワールドツアーで50数回をこなしている風格と円熟味が、やはりこのシビックホールのコンサートでも遺憾なく発揮されて、会場は終始熱気に包まれました。

 歌は勿論ですが、ステージ上での所作、客席との掛け合い、アドリブに至るまで、大阪で見たのと寸分違わぬ間合いで着実に進んでゆくのには正直少し驚きました。
 考えてみれば、多数のスタッフが関わりながらの大きなプロジェクトなのですから、全ては隅々まで狂いなく綿密に計算されているのは当然なのでしょうが、それにしても、歌手の性格によっては、細かいところなどは、そのステージ毎に多少テンションが変わったり、それに従ってアドリブが入り込んだりして、微妙に趣が異なってくる場合もありがちなものですよね。
 きっとカースは完璧なステージを揺るぎなく全うしようとするとても緻密で真面目な気質の人なのかもしれない・・・などと感動しながらの勝手な分析です。

 それから、衣装。
 日本のシャンソン歌手の方たちが纏うステージ衣装は、華やかでキラキラとした感じが圧倒的に多いかと思いますが、それに比べると、考えられないほどのシンプルさなのです。
 たとえば、初めの登場は、膝下丈のコートドレスで、しかも、照明に沈んでゆくカーキ色のような色合いでした。
 衣装替えは何回かしましたが、そのいずれもイヤリング、ネックレス等アクセサリーは一切付けていません。

 カースに限らず、これまで何回か観てきたフランスの歌手たちのコンサートやライヴにおける衣装は、皆どれも本当にシンプルだと感じていました。
ララ・ファビアン ベルギー公演
 数年前にベルギーでララ・ファビアンのコンサートに行ったことを思い出します。
 彼女は華やかな雰囲気の人ですし、舞台ではさぞゴージャスに着飾るのではとの予想を覆して、やはりアクセサリー一つ付けず、びっくりする程シンプルでシックな衣装でした。・・・それが歌い続けるうちにステージでの輝きを増し、シンプルに立っていることこそが、それを増幅させているという不思議な感動を覚えたのでした。

 で、話を戻し、カースの衣装ですが。
 この最初のドレスを舞台上で脱ぐと、その下は鮮やかなピンクのスリップドレスでした。
 恋の破局に放心した女性を、このコスチュームのまま、熱唱するのが何とも言えずセクシーで、意表を突く衣装の演出も歌のうち、すべてトータルで演じきってしまうところはさすがだと思いました。
 ハイヒールを脱ぎ捨てて裸足のまま激しく踊り歌い、曲は続きます。
カース・CDアルバムより
 どこまで、歌の中の主人公と同化するのか、どこまで、歌の中の主人公を客観視するのか、その際の演出のあり方なども、こうでなければいけないと決めるのではなくて、その時々に変幻する面白さがあって良いのではないか・・・などと、自分の今後のコンサートのあり方や歌への対峙の仕方など、気が付くと色々なことに繋げて考えを巡らせていました。

 同じ公演を二度続けて観ることが、色々な発見に繋がった気がして、とても意味深い体験となりました。

 
 ところで、最後に聞いて下さい!
 たった一つだけ、不愉快なことがあったのです。
 近くの席の人が余りに自分勝手に盛り上がりすぎて、はた迷惑だったのです。
 地味な感じの女性だったのですが、始まるや否や、タイミングは一切気にしない奇声と口笛、ブラボーの連呼、少し外れるのもかまわず手拍子を打ち続け、拍手の音はやたら大きく、自分の感情にのめり込んでいました。楽しんでいる人を非難するのも狭小な料簡かもしれませんが、私だけでなく明らかに周りの人たちも鑑賞を妨げられ迷惑そうで、・・・大声を上げなくても感動を噛みしめている人もいるし、手拍子を打たなくてもリズムを体で楽しんでいる人もあるので、観劇の際には、あまりに傍若無人に振る舞うのは遠慮しましょう!という、今更ながらの訴えでした。


   おまけのお話
 そうこうしながら、東京に居る間に祇園祭が終わってしまいました。
 テレビでわが家の近くの薙刀鉾(なぎなたぼこ)の様子をちらっと見ただけ。
 今年は祇園祭とすれ違ってしまい残念です。

 でも、京都に帰ってからもパリ祭記念のコンサートはまだいくつかあり出掛けます。
 7月文月は、パリ祭に染まって、早や半ばです。

山形のサクランボ  夕張メロン
 7月の味覚、山形のサクランボと夕張メロンを頂きました。
 毎年知人が贈って下さる清々しい季節の便りが嬉しいです。




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