
仕事その他諸々あり、相変わらず京都と東京の往復を続けている私、馴染みの東京駅なのですが、昨年、開業100周年を迎え、駅舎の歴史など耳にする機会も増えて、新たに復原された駅舎の事や、構内の構造などに改めて興味を惹かれていました。
先日ふと「東京駅丸の内駅舎見学と東京ステーションホテルスペシャルランチツアー」というのを見つけて、ちょうど半日時間が空いていたこともあり、思い立ってこれに申し込んでみました。友人のMさんと二人で参加です。
誰でも知っていそうな東京駅ですが、今日は、写真と共にこのツアーのご紹介を致しますね。
中央口から南口へ
旅行会社が企画しているツアー、朝10時30分丸の内中央口集合で、14名が1グループで、複数グループが集まっていました。
ガイドさんは年配の女性、熱心で心のこもった説明で、<制約のある観光は好きではない>と、これまでツアー旅行やツアーガイドも敬遠して、個人旅行を貫いてきた私ですが、<専門家ならではの見識というものもあり、特にこういう歴史に関わることは聞いてこそ!>と認識を新たにしたのでした。
すぐ改札の中に案内されるものと思っていたのに、なぜか外に出て南口方向へ・・・。
考えてみれば、列車が行き交い、乗降客でごった返しているホームの中で、悠長にガイドなどすることは不可能でしょうし、第一、駅の心臓部を一般のツアー客に無防備に公開してしまうことは、安全の意味からも極めてリスクが高く、当然のことでした。
危機管理もクリアした上で、いつか、JR主催の東京駅マル秘ツアーみたいな企画が実現したら面白いですね。
JRが提供している「丸の内駅舎保存復原見学マップ」というものを見つけました。ご興味のある方はこれを携え、ご自身で駅を探索してみてください。
↓
http://www.jreast.co.jp/tokyostation/pdf/tokyostation_map.pdf
(細かいことですが。「復元」ではなく「復原」という文字を使っていることに目が留まりました。建築の領域においては、復元とは失われて消えてしまったものを、かつての姿どおりに新たに作ることをいい、復原とは始めの姿が改造されたり、変化してしまった現状を元の姿に戻すことをいうのだそうです。ですから、東京駅の場合は下記の経緯からして「復原」が正しいことになります。)
ではその、東京駅復原に至るまでの流れなのですが。
現在の東京駅は2012年10月1日に、 丸の内駅舎(含 南北のド-ム、 ドーム天井のレリーフ等)が開業当時(大正3年)の姿に復原されました。
開業時の駅舎は、日本銀行本店などを設計した建築家、辰野金吾氏の手によるもので、<日本の中央駅>としての威信をかけ建設されました。ステーションホテルも翌年併設されていますので、これもまた<「日本のホテル」ここにあり>の矜持、並々ならぬものだったことでしょう。
ところが、1945年、戦災により南北のドームや屋根などを焼失してしまい、戦後、2階建て駅舎に改修して長く使っていました。
それを開業当時の形を蘇らせるべく、本格的復原工事が2007年に着工され、5年の歳月をかけて、開業当時の形を再現したというわけです。
2時間のツアーの中で、工事における様々な困難や工夫など詳細な説明があり大変興味深かったのですが、全てをここでご紹介しきれないのが残念です

お話をツアーのご紹介に戻しますね。
写真左は北口ドーム、そして中央口、中央貴賓口、手前右に南口ドーム、と続きます。
中央貴賓口です。皇室の方をお迎えする時以外は使用されません。
皇居から真直ぐに御幸通りが続き、皇室の方が駅に向かわれる時にはその信号が全て青になるとのことでした。

そしてすぐ右手に駅長室への入り口があります。ここも勿論一般には入ることはできません。
駅長室は丸の内駅舎の中央に位置して、各路線のゼロ基点になっているのだそうです。

南口構内に入ります。
東京駅の変遷が時代を追って写真パネルで展示されていたのですが、小学校2~3年位の男の子が、この前で熱心にメモを取っていたのが、とても可愛く思われました。
そして大正10年に原敬首相が暴漢によって刺殺されたという場所がこんなボードで示されており、倒れたまさにその場所にこんな印が。

数えきれないほどこの場所は通っていたのに、このようなモニュメントが残っていることに意外と気付かないものなのですね。

見上げる風景。
各階は吹き抜けで、回廊がぐるりとドームを囲んでいます。
そして回廊に向かって東京ステーションホテルの客室の窓が開かれています。

八角形のドーム天井には、稲穂を掴んで、大きく羽を広げた鷲のレリーフがそれぞれの角に復原され飾られています。
拡げた羽の大きさは2.1mもあるということで、「鷲が稲穂を持って飛来し、そこから日本の稲作は始まったとする伝説」に起因するもので、設計者の辰野金吾氏は<瑞穂の国の表玄関としての象徴>にこのモチーフを選んだのでしょうか。 東京駅はやはりすごいです。
東京駅を臨む風景
東京駅の全景を観賞しようと南口を出て少し歩きます。
右手に東京郵便局、そびえ立つビルに他のビルの影が映って・・・都会の美ですね。

通称KITTEと呼ばれていますが、その入り口です。中は人でいっぱい。
途中、TOKYO SKY BUSの姿がありました。一日乗車券を購入すれば、自由に何度でも乗り降りできます。

新丸ビルに向かう並木道をそぞろ歩き。
青々とした木立が眩しく光って、東京もまさに皐月只中でした。
新丸ビルからの眺望。駅周辺の全貌が見えています。
車はミニチュア、駅舎は精密に作られた模型の様です。

振り返ると、真直ぐ奥に皇居が見えました。
東京ステーションホテル
ここでガイドさんが交代。

北口側からホテルに入り、今度はホテルの方がホテル内をガイドしてくれます。
北側の窓から駅舎側を眺めます。先ほどの南ドームと対になっていることがよくわかります。
部屋の中から見上げる天井。見下ろせば美しい意匠の床、駅構内を行き交う人々。
このツアーの目玉には、4階にあるロイヤルスイートルームの見学が含まれています。
ホテル全体が、落ち着いた色調とインテリアで、草創期のホテルとしての誇りを保ちつつ、落ち着いて滞在できる雰囲気を醸し出していたのですけれど、でもこのお部屋は別格、一泊80万円だそうで、100㎡以上とのこと。
リビングルーム、そしてベッドルーム、クローゼット、バスルームに至るまで、さすがにすべてが広々とした素敵な空間でした。

窓から見る風景。真直ぐ正面が御幸通りで、その先は皇居に直結です。
さて、そうしてランチタイム。

Mさんと二人、感想を話しながら、美味しいお食事を満喫しました。
最後のデザートに「ガトーショコラ 駅舎風」が供せられました。
赤レンガの駅舎を摸して、お洒落です。
「100 th Anniversary TOKYO STATION」とありました。
忙中閑有り。
歴史の中に刻まれた近代日本草創期の気概と、その文化を未来に継承してゆこうとする現代の気概とを感じつつ、日常と離れた贅沢なひと時を過ごすことが出来た休日でした。
先日ふと「東京駅丸の内駅舎見学と東京ステーションホテルスペシャルランチツアー」というのを見つけて、ちょうど半日時間が空いていたこともあり、思い立ってこれに申し込んでみました。友人のMさんと二人で参加です。
誰でも知っていそうな東京駅ですが、今日は、写真と共にこのツアーのご紹介を致しますね。
中央口から南口へ
旅行会社が企画しているツアー、朝10時30分丸の内中央口集合で、14名が1グループで、複数グループが集まっていました。
ガイドさんは年配の女性、熱心で心のこもった説明で、<制約のある観光は好きではない>と、これまでツアー旅行やツアーガイドも敬遠して、個人旅行を貫いてきた私ですが、<専門家ならではの見識というものもあり、特にこういう歴史に関わることは聞いてこそ!>と認識を新たにしたのでした。
すぐ改札の中に案内されるものと思っていたのに、なぜか外に出て南口方向へ・・・。
考えてみれば、列車が行き交い、乗降客でごった返しているホームの中で、悠長にガイドなどすることは不可能でしょうし、第一、駅の心臓部を一般のツアー客に無防備に公開してしまうことは、安全の意味からも極めてリスクが高く、当然のことでした。
危機管理もクリアした上で、いつか、JR主催の東京駅マル秘ツアーみたいな企画が実現したら面白いですね。
JRが提供している「丸の内駅舎保存復原見学マップ」というものを見つけました。ご興味のある方はこれを携え、ご自身で駅を探索してみてください。
↓
http://www.jreast.co.jp/tokyostation/pdf/tokyostation_map.pdf
(細かいことですが。「復元」ではなく「復原」という文字を使っていることに目が留まりました。建築の領域においては、復元とは失われて消えてしまったものを、かつての姿どおりに新たに作ることをいい、復原とは始めの姿が改造されたり、変化してしまった現状を元の姿に戻すことをいうのだそうです。ですから、東京駅の場合は下記の経緯からして「復原」が正しいことになります。)
ではその、東京駅復原に至るまでの流れなのですが。
現在の東京駅は2012年10月1日に、 丸の内駅舎(含 南北のド-ム、 ドーム天井のレリーフ等)が開業当時(大正3年)の姿に復原されました。
開業時の駅舎は、日本銀行本店などを設計した建築家、辰野金吾氏の手によるもので、<日本の中央駅>としての威信をかけ建設されました。ステーションホテルも翌年併設されていますので、これもまた<「日本のホテル」ここにあり>の矜持、並々ならぬものだったことでしょう。
ところが、1945年、戦災により南北のドームや屋根などを焼失してしまい、戦後、2階建て駅舎に改修して長く使っていました。
それを開業当時の形を蘇らせるべく、本格的復原工事が2007年に着工され、5年の歳月をかけて、開業当時の形を再現したというわけです。
2時間のツアーの中で、工事における様々な困難や工夫など詳細な説明があり大変興味深かったのですが、全てをここでご紹介しきれないのが残念です

お話をツアーのご紹介に戻しますね。
写真左は北口ドーム、そして中央口、中央貴賓口、手前右に南口ドーム、と続きます。
中央貴賓口です。皇室の方をお迎えする時以外は使用されません。
皇居から真直ぐに御幸通りが続き、皇室の方が駅に向かわれる時にはその信号が全て青になるとのことでした。


そしてすぐ右手に駅長室への入り口があります。ここも勿論一般には入ることはできません。
駅長室は丸の内駅舎の中央に位置して、各路線のゼロ基点になっているのだそうです。

南口構内に入ります。
東京駅の変遷が時代を追って写真パネルで展示されていたのですが、小学校2~3年位の男の子が、この前で熱心にメモを取っていたのが、とても可愛く思われました。
そして大正10年に原敬首相が暴漢によって刺殺されたという場所がこんなボードで示されており、倒れたまさにその場所にこんな印が。


数えきれないほどこの場所は通っていたのに、このようなモニュメントが残っていることに意外と気付かないものなのですね。

見上げる風景。
各階は吹き抜けで、回廊がぐるりとドームを囲んでいます。
そして回廊に向かって東京ステーションホテルの客室の窓が開かれています。

八角形のドーム天井には、稲穂を掴んで、大きく羽を広げた鷲のレリーフがそれぞれの角に復原され飾られています。
拡げた羽の大きさは2.1mもあるということで、「鷲が稲穂を持って飛来し、そこから日本の稲作は始まったとする伝説」に起因するもので、設計者の辰野金吾氏は<瑞穂の国の表玄関としての象徴>にこのモチーフを選んだのでしょうか。 東京駅はやはりすごいです。
東京駅を臨む風景
東京駅の全景を観賞しようと南口を出て少し歩きます。
右手に東京郵便局、そびえ立つビルに他のビルの影が映って・・・都会の美ですね。



通称KITTEと呼ばれていますが、その入り口です。中は人でいっぱい。
途中、TOKYO SKY BUSの姿がありました。一日乗車券を購入すれば、自由に何度でも乗り降りできます。


新丸ビルに向かう並木道をそぞろ歩き。
青々とした木立が眩しく光って、東京もまさに皐月只中でした。
新丸ビルからの眺望。駅周辺の全貌が見えています。
車はミニチュア、駅舎は精密に作られた模型の様です。


振り返ると、真直ぐ奥に皇居が見えました。
東京ステーションホテル
ここでガイドさんが交代。

北口側からホテルに入り、今度はホテルの方がホテル内をガイドしてくれます。
北側の窓から駅舎側を眺めます。先ほどの南ドームと対になっていることがよくわかります。
部屋の中から見上げる天井。見下ろせば美しい意匠の床、駅構内を行き交う人々。
このツアーの目玉には、4階にあるロイヤルスイートルームの見学が含まれています。
ホテル全体が、落ち着いた色調とインテリアで、草創期のホテルとしての誇りを保ちつつ、落ち着いて滞在できる雰囲気を醸し出していたのですけれど、でもこのお部屋は別格、一泊80万円だそうで、100㎡以上とのこと。
リビングルーム、そしてベッドルーム、クローゼット、バスルームに至るまで、さすがにすべてが広々とした素敵な空間でした。



窓から見る風景。真直ぐ正面が御幸通りで、その先は皇居に直結です。
さて、そうしてランチタイム。

Mさんと二人、感想を話しながら、美味しいお食事を満喫しました。
最後のデザートに「ガトーショコラ 駅舎風」が供せられました。
赤レンガの駅舎を摸して、お洒落です。
「100 th Anniversary TOKYO STATION」とありました。
忙中閑有り。
歴史の中に刻まれた近代日本草創期の気概と、その文化を未来に継承してゆこうとする現代の気概とを感じつつ、日常と離れた贅沢なひと時を過ごすことが出来た休日でした。


