fc2ブログ

新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

『あなたがだいすき』

 この週末、京都は、紅葉の最盛期。
 晩秋から初冬へと移ってゆく乾いた冷気の中に落ち葉の香りが漂い、風に流れています。
東大路通りの街路樹
 京都の街路樹は、植木職人が年に2回剪定して、美しい紅葉を見せてくれているそうです

 歩道に溜まっている落ち葉を踏みしめて歩きたくなるような季節、シャンソンの少しアンニュイな調べがしっくりと似合うかもしれませんね。

 
   『あなたがだいすき』
 既にご案内致しました通り、12月10日に京都「巴里野郎」で、『新しいシャンソンと朗読の夕べ』シリーズ、第一回目を開催することになりました。
 テーマは「クリスマスの贈り物」。

 かなり前から、『クリスマス』と『贈り物』のイメージを素敵に伝えることの出来る、それに相応しい物語や文章を選びたくて、候補になりそうな沢山の本を集中して読みふけっていました。例の如く、機織り部屋に籠り、寝食を忘れ・・・。
 そして何冊かの素敵な本に出会うことが出来ました。
 コンサートの日が今から楽しみでならないのですが、でも、これについては当日までお話しするのは禁物ですね。

でも・・・そういいながら、一冊だけご紹介してみます。
あなたが大好き

 『あなたがだいすき』(鈴木まもる 作・絵)という絵本に出会いました。

 お母さんが、幼い我が子に語り聞かせてあげるのにぴったりな、ひらがな書きの、とてもシンプルな絵本です。

   わたしは あなたが 
   だいすきです


 という言葉から始まります。

 全部話したくなってしまいそうなので、WEBの解説にあったこんな文章をご紹介することに致します。
 
 目の前にだいすきなひとがいるしあわせ。抱きしめあえるしあわせ。
 日頃ついわすれてしまうしあわせを、この絵本で思い出してくださいね。
 そして……あなたの大事なひとりひとりをだきしめて、包んでほおずりして、応援してあげられますように。
 「あなたがいるだけでうれしい」「あなたがだいすき」って。

                    (大和田佳世氏 記)

 この絵本は、母親の我が子への思いだけにとどまらず、大事な人への、愛を込めた言葉のプレゼントとして受け止めることが出来ると思いました。
 私の『クリスマスの贈り物』として、お届けできたらと思っています。

 そして。
 この絵本を読みながら、実は、祖母のことと、そして先頃、お二人の方から伺ったおばあさまのお話を思い出しました。


   「おばあちゃん」の思い出 ~三題~
  <祖母のこと>
 幼い頃からおばあちゃん子だった私、その大好きだった祖母の命日がまたやってきました。
鶴岡八幡宮の大イチョウ
 他界して、いつの間にか長い年月が経ちましたが、祖母の葬儀の日、晴れ渡った高い空に銀杏の大木が鮮やかに黄葉していたのを今でも思い出します。
 私には11月は、どこかそういう、しめやかさを持った季節。

 幼い頃、体が弱く、自分に自信が持てなくて不安感が強かった私を、祖母はいつも丸ごと受け止めて認めてくれていた気がします。

   心配しなくて大丈夫。
   いいの いいの そのままで大丈夫。
   自分のままで大丈夫。


 という言葉を祖母は折に触れて言ってくれて、その時の優しい響きは、今も私の中の深いところに生き続けているのです。

 <ぬくもり>
 S氏のお話。
 S氏のご両親は彼が赤ちゃんの頃から、忙しく外でお仕事をしていらしてため、ずっと「ばあやさん」に育てられたのだそうです。
 「ばあやさん」といっても寝食を共にしていて、彼には本当の「おばあちゃん」以上の存在だったとか、愛情深い方だったことが、その思い出話からも汲み取ることが出来ました。
 まだ幼児で人恋しい時も、いつも「おばあちゃん」が添い寝をしてくれて、肌の温もりを感じながら安心して眠りについて、「そういう安らぎが、自分の母性の記憶なのだ」と、懐かしそうにおっしゃった言葉が心に残っています。

 <赤い鼻のおじさん>
 A氏のお話。
 子供の頃の思い出。
 離れて暮らしていた「おばあちゃん」の家に遊びに行くと、彼の大好物の、すき焼きをいつも振る舞って下さったのだそうです。
 まだ、戦後からそんなに経過していない貧しい時代の中で、「生活にも不自由していたかもしれない当時の、精一杯の心尽くしだったのだと思う」と、静かに話してくださいました。

 その時、「おばあちゃん」の家には赤ら顔で、鼻の赤い、知らないおじさんがいつも訪ねてきて、今思うと、その人は古道具屋さんだったのだ。
 おばあちゃんは、家にある道具を売って、たまに訪れる可愛い孫が喜ぶ一番のご馳走を調達していてくれていたのだ・・・・
 祖母を思う時、あの赤い鼻のおじさんのことを思い出す・・・



 『あなたがだいすき』というこの絵本の最後の行は、次のように結ばれています。

   あなたが いるだけで
   とっても とっても 
   とっても うれしい



 二日後、25日金曜日は、堀内環さんとのライヴです。
 まずは、皆様が楽しんで、優しい気持ちになってくださるような良い時間を目指してベストを尽くしたいと思います。

 お時間のおありの方はどうぞお越しくださいね。



このページのトップへ

ライブの季節 ~11月そして12月

 夏のコンサートがご縁で、思いがけぬ方々と素敵なご縁が結ばれたこと。
 懐かしい再会、その中での楽しいひと時。
 そして不慮の心塞がれる出来事。
 この秋、様々なことが夢のように駆け抜けていった気がします。
 いつの間にか、もう11月ですね。

 10周年のコンサートを終えて、今年の後半は腰を据えてデスクワークに専念し、次への計を立てようかと考えていたのですが、急転直下、11月12月と続いてライブの開催が決定致しました。

 今年の締めくくりに、この二つのステージに力を傾けたいと思っています。
 今日は、そのご案内をさせて頂きます。


   11月 ~ジョイントコンサート~
 11月25日、もうすぐなのですが、京都のシャンソンライヴハウス『巴里野郎』で堀内環さんと共演致します。

 「堀内環さん」ではなく、「堀内先生」とお呼びするのがしっくりとする大ベテランのシャンソン歌手です。
 実は、今回で3回目の共演。
 これまでの2回とも『巴里野郎』でご一緒しています。
堀内環さんと

 懐かしい写真、これは4年前、初めての共演での写真です。

 でも、そもそものきっかけは更にこの何年か前に、堀内さんが私の訳詞にご興味を持たれ、お問い合わせ下さったことからで、訳詞提供もさせて頂きました。

 まず、ご案内詳細を下記に載せてみます。

 シャンソンの真髄を極めるベテラン堀内環氏との3回目のジョイントライブ。
 堀内環氏の歌う味わい深い名曲の数々、そして松峰綾音が贈る新しいシャンソンの風。息の合ったコラボをどうぞお楽しみ下さい。

   11月25日(金)18:30開場 19:00開演
    出演  堀内環(vocal)
         松峰綾音( ヌーベルシャンソン訳詞・vocal)
         坂下文野(piano)
     於 巴里野郎KYOTO  料金 ドリンク付き ¥5000-

 堀内さんとご一緒させて頂く中で、「さすが長い時間を舞台と共に歩んでいらした大先輩」と感銘を受け、学ばせて頂くことが沢山あるのですが、ダンディーでソフトな語り口で、いつもステージでおっしゃる言葉。・・・
 ・・・「お客様の前でいつも初めての時のような緊張感を持って臨んでいます。いつでも僕は新人なのです。」

 「初心忘るべからず」・・・・ということですが、少年のように真っ直ぐな眼差しで、心底ステージを愛していらっしゃるのが伝わってきて、この言葉の重みが染み入ってきます。

 そして、常に小さなカセットレコーダーをお持ちになって、ご自身のライヴの模様を録音にそっと収めておいでなのです。これまで数知れない舞台に立たれているのに、ご自分の今日の歌を必ずチェックなさるのですね。

 新しい、そしてこれまで知られていないレアな曲を取り上げることの多い私の選曲と、堀内さんの馴染み深く幅広いレパートリー、お客様に聴いて頂ける曲が多様に広がって、より楽しめる素敵な時間になるのではと思います。

 シャンソニエならではのライブの妙味、是非いらしてくださいね。

   12月 ~『クリスマスの贈り物』~
 12月10日(土)、こちらも巴里野郎で、朗読とシャンソンを組み合わせたソロコンサートを開催することになりました。
 
 まずはご案内詳細をご紹介いたします。

 巴里野郎の新シリーズ「松峰綾音 新しいシャンソンと朗読の夕べ」
 記念すべき第一回目は「クリスマスの贈り物」
 クリスマスに寄せて、語りと歌とが一つに溶け合ってシャンソンに物語が生まれます。

     『クリスマスの贈り物』
     松峰綾音 新しいシャンソンと朗読の夕べ vol.1

     2016年12月10日(土) 17:00開場 17:30開演      

       出演 松峰綾音( ヌーベルシャンソン訳詞・vocal、朗読 )
           坂下文野(piano)
     於 巴里野郎KYOTO   料金 ドリンク付き ¥4000-

クリスマスの贈り物パンフ
 < 語るように歌うこと 歌うように語ること >

 シャンソンは、語りと歌とが特に密接に結びついている音楽だと、常々強く感じてきましたし、歌から語りへ、語りから歌へと音楽の中で違和感なく行き来できたら素敵だなと思ってきました。

 色々な可能性を模索しながら、歌の中に、より豊かな世界を表出させて行けたらと願っているのですが、そんな試みの一つとして、今回、巴里野郎主催で「松峰綾音 新しいシャンソンと朗読の夕べ」シリーズを始めることとなりました。


 12月10日。
 VOL. 1は『クリスマスの贈り物』というテーマです。

 『歌と朗読』の新企画、今手探りで様々なアイディアを練っています。
クリスマスデコレーション

 12月に入り、街がクリスマス色に染まる頃、素敵な夢をお贈りできるようベストを尽くしますので、楽しみにどうぞ是非いらしてくださいね。

 チケットは当日清算となりますが、席数に限りがありますので、お早めにご予約頂ければ幸いです。
 (11月25日の『ジョイントライヴ』、そして12月10日の『クリスマスの贈り物』のいずれもご予約・お問合わせは、巴里野郎(TEL 075-361-3535)または このブログの管理者メール(ブログ左下)、または WEB のコンタクトから、お願い致します。)




このページのトップへ