
『落葉松』
毎夏、訪れる軽井沢、今年も時間の合間を縫って、またしばし滞在しています。
かつてのブログを読み直していたら、「落葉松のある風景(一)」(2011年8月記)という記事が出てきました。
昨年末から今年初めにかけてのコンサートツアー「雨の日の物語」で『落葉松』という曲をご披露したのですが、嘗てのこの記事に、既に、落葉松への私の思いと、この『落葉松』という曲についての記載がありましたので、まずは少し引用してみたいと思います。
軽井沢は人気の観光地ですので、見どころはもちろんたくさんあるのですが、どこに出掛けるというのではなくて、私は、何より落葉松の風景が良いなと思ってしまいます。
落葉松林の中に入って、いつまでも樹の気配のようなものを感じているのが好きですし、四季折々、落葉松の表情に変化があるのも興味深いです。
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
全八連からなる北原白秋の詩『落葉松』の第一連です。
白秋が詩集『水墨集』で昭和10年に発表した詩ですが、余りにも有名で、落葉松林を歩く時は誰もが皆、この詩の一節を口ずさむ詩人になってしまいそうです。
特に五連の
からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり。
からまつとささやきにけり。
この辺りに来ると、もうすっかり物悲しく幽玄な気分に引きこまれますよね。
ところで、野上彰作詞・小林秀雄作曲の『落葉松』という曲があるのをご存知でしょうか?
こちらは八行の詩ですので、そのまま載せてみます。
『落葉松』
落葉松の 秋の雨に
わたしの 手が濡れる
落葉松の 夜の雨に
わたしの 心が濡れる
落葉松の 陽のある雨に
わたしの 思い出が濡れる
落葉松の 小鳥の雨に
わたしの 乾いた眼が濡れる
シンプルな詩が、少しメランコリックで美しい旋律に乗って繰り返されてゆき、落葉松の情景と共に心に沁み入ってくる気がします。
私も、自分でもどうしても歌ってみたくなって、随分前ですが、シャンソン風にアレンジして歌ったことがありました。
長く引用してしまいましたが、落葉松への私の思いは今も変わりません。

「落葉松」は、幹がまっすぐで、空に向かってひたすら伸び続ける美しい樹木ですが、高さの割に根は浅く脆弱でもあるので、台風などの暴風の時など根ごと倒れてしまう危険も孕んでいます。
そのため、地元の方たちからは、敬遠されがちな木でもあり、別荘地などでは「倒木の危険回避のため、自分の敷地内の落葉松は、一本残らず伐採してしまうべき」などという過激な発言すらあると聞くのですが、でも・・・自然との共存のバランスを取りつつ、美しい落葉松の森の風情を残していきたいと、強く感じます。
誕生日のサプライズ
3日前の8月21日は私の誕生日でした。
「自分の誕生日ってそんなに嬉しい?」とちょっとクールな性格の友人に言われたことがあり、ごもっとも!と納得したのですが、でも、今年もこうして健康で楽しく節目の日を迎えられたということが、そして、また一年、どんなことが起こるのだろうというワクワク感があることが、とても幸せに思えて、私は誕生日、いつも上機嫌なのです。
・・・・もう20年近く訪れている軽井沢で、親しい知人や音楽仲間との輪も広がって、今は、落ち着いた飛び切りの居場所という感が強くなってきています。
今年も、そんな友人たちに囲まれて過ごすことができました。
私がいつも折に触れ、落葉松についてのうんちくを熱心に傾けるので、「じゃあ、みんなで『落葉松』の曲のプロモーションビデオを作ってプレゼントしようじゃないか」という思わぬ展開となったのでした。
目下我が仲間内では動画作りがブームなのです。
「夏の軽井沢 落葉松の中で」
8月20日、誕生日前日、いつも集まっている音楽仲間のスタジオで、まずは『落葉松』の収録から。

<類は友を呼ぶ>で凝り性揃いなので、一生懸命歌っているのですがなかなかOKが出ません。
最後はもうなんだか可笑しくなって笑いが止まらなくなったら、ちょっとひんしゅくを買ったみたいで、こんなコメント付きの写真がいつの間にか一枚。
そして、終了後のスタジオご飯の一コマもいつの間にか撮影されていたのでした。

心機一転、赤い衣装に着替えて、友人宅のベランダで、ノーマイクの『落葉松』をご披露してみました。今度は一回でOK!
雨上がり、しっとりとした緑に囲まれた素敵な別荘にお邪魔し、感激です。

極めつけに旧軽井沢の三笠辺りの落葉松並木を撮影しようと、翌日にわかロケハンで繰り出してみました。
写真スポットを探すのって難しいのですね。
さんざんさ迷った挙句、ゆっくり映せる場所を見つけました。

空に落葉松の緑が煌めいています。
仲間たちはいつの間にか全員撮影監督になってしまって、歩けとか走れとか、何度も何度もダメだしがかかり、道行く人に好奇の目で見られ本当に恥ずかしかったです。

最後は覚悟を決めて、言われるがままにこんなポーズで。
「今日は大カレー大会、お洒落なレストランで軽井沢一の美味しいカレーをお祝いにご馳走する」というお話で、とても楽しみにしていたのですが、撮影に時間がかかり、終わった頃には皆疲れてお腹が空いてしまい、「どこか手近なところにしよう」と急遽変更。
たまたま目についた昔ながらの食堂で、カレー定食と相成りました。
でも、美味しかった。
本当に楽しくて、笑い転げながらの最高の一日を過ごさせていただきました。
こういう幸せなスタートを切った一年を大切に、その分、より一層努力をしてこれに報いていかなければなりませんね。
こうして完成した動画『夏の軽井沢 落葉松の中で』です。
お楽しみ下さいますように。
毎夏、訪れる軽井沢、今年も時間の合間を縫って、またしばし滞在しています。
かつてのブログを読み直していたら、「落葉松のある風景(一)」(2011年8月記)という記事が出てきました。
昨年末から今年初めにかけてのコンサートツアー「雨の日の物語」で『落葉松』という曲をご披露したのですが、嘗てのこの記事に、既に、落葉松への私の思いと、この『落葉松』という曲についての記載がありましたので、まずは少し引用してみたいと思います。
軽井沢は人気の観光地ですので、見どころはもちろんたくさんあるのですが、どこに出掛けるというのではなくて、私は、何より落葉松の風景が良いなと思ってしまいます。
落葉松林の中に入って、いつまでも樹の気配のようなものを感じているのが好きですし、四季折々、落葉松の表情に変化があるのも興味深いです。
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
全八連からなる北原白秋の詩『落葉松』の第一連です。
白秋が詩集『水墨集』で昭和10年に発表した詩ですが、余りにも有名で、落葉松林を歩く時は誰もが皆、この詩の一節を口ずさむ詩人になってしまいそうです。
特に五連の
からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり。
からまつとささやきにけり。
この辺りに来ると、もうすっかり物悲しく幽玄な気分に引きこまれますよね。
ところで、野上彰作詞・小林秀雄作曲の『落葉松』という曲があるのをご存知でしょうか?
こちらは八行の詩ですので、そのまま載せてみます。
『落葉松』
落葉松の 秋の雨に
わたしの 手が濡れる
落葉松の 夜の雨に
わたしの 心が濡れる
落葉松の 陽のある雨に
わたしの 思い出が濡れる
落葉松の 小鳥の雨に
わたしの 乾いた眼が濡れる
シンプルな詩が、少しメランコリックで美しい旋律に乗って繰り返されてゆき、落葉松の情景と共に心に沁み入ってくる気がします。
私も、自分でもどうしても歌ってみたくなって、随分前ですが、シャンソン風にアレンジして歌ったことがありました。
長く引用してしまいましたが、落葉松への私の思いは今も変わりません。

「落葉松」は、幹がまっすぐで、空に向かってひたすら伸び続ける美しい樹木ですが、高さの割に根は浅く脆弱でもあるので、台風などの暴風の時など根ごと倒れてしまう危険も孕んでいます。
そのため、地元の方たちからは、敬遠されがちな木でもあり、別荘地などでは「倒木の危険回避のため、自分の敷地内の落葉松は、一本残らず伐採してしまうべき」などという過激な発言すらあると聞くのですが、でも・・・自然との共存のバランスを取りつつ、美しい落葉松の森の風情を残していきたいと、強く感じます。
誕生日のサプライズ
3日前の8月21日は私の誕生日でした。
「自分の誕生日ってそんなに嬉しい?」とちょっとクールな性格の友人に言われたことがあり、ごもっとも!と納得したのですが、でも、今年もこうして健康で楽しく節目の日を迎えられたということが、そして、また一年、どんなことが起こるのだろうというワクワク感があることが、とても幸せに思えて、私は誕生日、いつも上機嫌なのです。
・・・・もう20年近く訪れている軽井沢で、親しい知人や音楽仲間との輪も広がって、今は、落ち着いた飛び切りの居場所という感が強くなってきています。
今年も、そんな友人たちに囲まれて過ごすことができました。
私がいつも折に触れ、落葉松についてのうんちくを熱心に傾けるので、「じゃあ、みんなで『落葉松』の曲のプロモーションビデオを作ってプレゼントしようじゃないか」という思わぬ展開となったのでした。
目下我が仲間内では動画作りがブームなのです。
「夏の軽井沢 落葉松の中で」
8月20日、誕生日前日、いつも集まっている音楽仲間のスタジオで、まずは『落葉松』の収録から。

<類は友を呼ぶ>で凝り性揃いなので、一生懸命歌っているのですがなかなかOKが出ません。
最後はもうなんだか可笑しくなって笑いが止まらなくなったら、ちょっとひんしゅくを買ったみたいで、こんなコメント付きの写真がいつの間にか一枚。
そして、終了後のスタジオご飯の一コマもいつの間にか撮影されていたのでした。

心機一転、赤い衣装に着替えて、友人宅のベランダで、ノーマイクの『落葉松』をご披露してみました。今度は一回でOK!
雨上がり、しっとりとした緑に囲まれた素敵な別荘にお邪魔し、感激です。

極めつけに旧軽井沢の三笠辺りの落葉松並木を撮影しようと、翌日にわかロケハンで繰り出してみました。
写真スポットを探すのって難しいのですね。
さんざんさ迷った挙句、ゆっくり映せる場所を見つけました。

空に落葉松の緑が煌めいています。
仲間たちはいつの間にか全員撮影監督になってしまって、歩けとか走れとか、何度も何度もダメだしがかかり、道行く人に好奇の目で見られ本当に恥ずかしかったです。

最後は覚悟を決めて、言われるがままにこんなポーズで。
「今日は大カレー大会、お洒落なレストランで軽井沢一の美味しいカレーをお祝いにご馳走する」というお話で、とても楽しみにしていたのですが、撮影に時間がかかり、終わった頃には皆疲れてお腹が空いてしまい、「どこか手近なところにしよう」と急遽変更。
たまたま目についた昔ながらの食堂で、カレー定食と相成りました。
でも、美味しかった。
本当に楽しくて、笑い転げながらの最高の一日を過ごさせていただきました。
こういう幸せなスタートを切った一年を大切に、その分、より一層努力をしてこれに報いていかなければなりませんね。
こうして完成した動画『夏の軽井沢 落葉松の中で』です。
お楽しみ下さいますように。


