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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

オルゴールそして琵琶

 
秋の空
 明け方の冷気を受ける心地よさがたまらなくて、この季節は益々早起きになっています。
 
 早朝の秋空。
 
 夏バテの心身もようやく覚醒し、ソロソロと始動してきました。
 このところ、コンサートや演奏会に出かけることが増えていますが、そんな中から今日は二つご紹介してみたいと思います。

   オルゴールに乗せて
 『和サブロー令和元年秋のツアー 古来稀なる歌をあなたに~』
 とても素敵なコンサートでした。
和サブロー
「和サブロー」さんは京都出身のシャンソン歌手、私はもう10年来のファンなのです。

シャンソン歌手として国内外で活動する和(わ)サブローさんが70歳の誕生日の20日、ふるさとの京都で記念ライブを行う。シャンソンの本場フランスから京都に拠点を移して7年。全国8カ所でライブツアーを展開中の和サブローさんは「フランス語と日本語という楽器で歌い続けたい」と意気込んでいる。
 
初めてシャンソンを聴いたのは14歳の頃。ラジオから流れるエディット・ピアフの歌声に衝撃を受け、シャンソンの世界を目指すことに。
フランス語を磨くためにパリのソルボンヌ大に留学。一時帰国したが、29歳で再びフランスに戻り、本格的なシャンソン歌手への道を歩み始めた。ピアフも歌ったシャンソンの殿堂・オランピア劇場への出演を果たし、2週間にわたるソロ・コンサートも連日満員にした。2000年には、仏政府から芸術文化勲章のシュバリエ章を授与されるなど、本場でも認められる存在となった。
         
                      (2019 9 19 産経新聞より抜粋)

  日本語もフランス語も、発する言葉がとても生き生きして、人柄がそのまま言葉となって染み入ってくるという印象を受けます。
 京都五花街の一つ、上七軒(かみしちけん)に生まれ育って、子供の頃の遊び相手は舞妓さんだったというだけあって、コンサートの間のトークも、花街の男衆のような生粋の京言葉が流麗に流れます。
 たくまぬユーモアをちりばめたその間合いにも、話術とはかくあるべきと感心させられるばかりです。
 コンサートの中のほとんどの曲を原語のフランス語で歌っていらっしゃるのですが、日本語同様、その響きもまた非常にしっとりとした味わいがあって魅力的、生半可なところがなくて、美しく伝わって来るのです。
 フランス人が聴いてもフランス人以上のフランス語で、きっと深い感動を与えるのではないでしょうか。

 言葉の力とはそういうものなのでしょうね。

 ステージ中央に飾られた70本の深紅の薔薇。
 この日古希を迎えた彼を祝うスタッフからのプレゼントなのでしょうか?

 コンサート後半、スイス製の手回しオルガンがステージ上に運ばれ、手回ししながら「パリのロマンス」を歌われました。
 ハンドルを回す手が少し遅れればそれにつれテンポも遅くなる、何とも長閑な演奏、オルゴールのノスタルジックな音色が古きパリの街に誘ってくれるような心地よい9月の宵でした。

   琵琶が奏でる物語
 昨年の東福寺「採薪亭演奏会」から早や一年が過ぎました。
大慧殿
 今年の演目は、筑前琵琶の演奏と創作狂言、私はビデオ撮影をお手伝いしながら、客席側から観賞させて頂きました。

演奏会のテーマは「西郷隆盛」、主催者の東福寺即宗院は西郷隆盛ゆかりの塔頭ですので、それにちなんでのことなのでしょうね。
 琵琶の演目は「西郷隆盛」と「城山」の二曲で、その間に創作狂言「無血開城」が入ります。

 琵琶奏者、片山旭星(きょくせい)さんのプロフィールから一部抜粋します。

1977年より筑前琵琶を人間国宝 山崎旭萃、山下旭瑞、菅旭香に師事。
88~89年、新内を人間国宝 岡本文弥に師事。
90~96年、肥後座頭琵琶を、最後の琵琶法師と言われた山鹿良之に師事。その旋律、奏法を次代に伝える数少ない琵琶奏者として、玉川教海の名前で活動している。
 一方、古典のみならず、現代邦楽、民族音楽等、ジャンルに捉われない演奏活動やジャズ、ダンサーとのセッションライブ。演劇、舞踏の音楽制作、作曲など、幅広い活動を通して、琵琶という楽器の持つ独特の音色を生かした新たな可能性を追求。
 
琵琶
 「西郷隆盛」はその劇的な生涯を、そして「城山」は非業の死を題材とした弾き語りです。
 片山さんの深く響く声と琵琶の切々たる音色が幕末の動乱の世界の動と静に導いてくれる気がしました。

 様々な歌のルーツは、東西を問わず吟遊詩人の弾き語りに始まっていると思われます。
 こんなにゆっくりと琵琶の音色を楽しんだのは初めて。
 琵琶法師が平家物語を歌い語ったその言葉に、琵琶の響きは寄り添ってきたのだということを肌で感じました。
 静かに流れる「いにしえの時」に身を委ねる心地よさ、贅沢な時間でした。
無血開城
 そして、西郷隆盛と勝海舟との切迫した対面の場面を独り狂言で演じた「無血開城」、なかなかの力作で、脚本も自ら演者の杉井玄慎和尚様が手掛けられたとか。
 狂言ならではの滑稽味を添えて、動乱の中の人間模様を鮮やかに描いて見せて下さり見事でした。

 耳を傾けて様々な音、言葉に感応したくなる秋が、いよいよ深まってきます。




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