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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

『月光微韻』コンサート3月公演決定

 新型コロナで終始した令和2年ももうすぐ終わり。
 あっという間だったような、色々目まぐるしく変動したような、・・・・
 でもこの非常事態の中でも、幸いにも、自分も親族・友人・知人皆も無事で過ごせたことにまずは感謝しなければならないと思います。
 この一年の体験や胸に去来する想いを持ち寄って、しみじみと人と心通わせ語り合いたいような心持ちになる年の瀬です。

 さて、本日はコンサートのお知らせです。
 6月から延期を繰り返してきました『月の庭 vol.8」ですが、2021年3月に開催することを決定いたしました。
月光微韻チラシ表面



   3月20日(土)17:30開場 18:00開演
     京都「文化博物館 別館ホール」

月光微韻チラシ裏面修正最終稿電話消し



   3月27日(土)13:30開場 14:00開演 
    横浜「岩崎博物館 山手ゲーテ座ホール」


 6月当初の予定通りの会場です。


 安心してお客様にいらしていただける時期をずっと慮っていたのですが、なかなかコロナの完全収束には至らず、一度すべてを白紙に戻そうと考えたこともありました。
 でもこんな時だからこそ、同じ場にあって、歌と言葉の世界を媒体として、心を感じ合うことには大きな意味があるのではと思い直し、今は、細心の注意、最善の対策を講じた上で、開催を目指したいと、意気高まっています
 もちろん、果たして3月にどのような状況に至っているのか予想もつきませんので、その時々に柔軟に対処することは言うまでもありませんが、ともかくも、準備に全力を尽くして、素敵なコンサートの実現に向かいたいと思います。

 コンサートの構成、選曲への思いも、長いコロナ禍の月日を通して、自分の中で微妙に変化してきた気もします。
 内容を更に昇華して、今だからこそ発信したいコンサートをお届けしようと思います。

 京都・横浜両会場とも、新型コロナの状態を見ながら慎重に判断し、直前でも状況によって撤退の覚悟で臨んでいます。
 また、場合によってはライブ配信の形も視野に入れるかもしれませんが(その際にはまた改めてお知らせいたします)、まずは、感染予防対策を万全とし、座席数も両会場とも通常定員数より大幅に縮小して開催致しますので、お出かけ頂ける方はお早めにご予約下さいますと幸いです。
 チケット予約・お問い合わせは、いつものようにWEB松峰綾音のコンタクトからお願い致します。

 なおコロナ関連でコンサートが中止になった際には料金は全額返金致します。
 また当日、体調がお悪いような場合には、他のお客様の安全を考慮の上、入場をご遠慮いただきたく存じます。この際にもお知らせ頂けましたら料金は全額返金させて頂きます。

 会場の消毒・換気等につきましては徹底を図りますが、お客様には、
   *マスク着用、ご来場の際の検温と手指の消毒の協力
   *すべてのご来場者のお名前・メールアドレス・電話番号などの登録
  (当日のコンサートに関するご連絡以外には個人情報は使用いたしません)
 以上の対応にご協力下さいますように。
 
 3月を前にして、まだ鮮明な形にはなり切れていないにしろ、心の奥にうごめいて、何かが生まれ出ようとするようなもぞもぞとした奇妙な感じがあるのです。コンサート当日までそういう気持ちと向き合う中で、どんな結実が生まれるのか、不安と期待の入り混じった自分自身への挑戦でもあります。

 この状況の中で、友人・知人になかなかゆっくり会うことができません。
 だからこそ、電話やメールや手紙で、さりげなく声を掛け合う時が、とても貴重に感じられたりもしますね。
 それぞれが、一筋縄ではいかない様々な事情や思いを抱えていて、お互いの会話の中では、つかの間、その思いのたけを吐き出し合ったり、あるいは言葉少なく「ともかく元気なら何より」とうなずき合ったり、・・・。
 そういうことが、生きる上で本当に大切なのだと思い知らされる日々でもありました。
 色々な場面で、ささやかな心の触れ合い、何気ない言葉の積み重ねに助けられ支え合って、「人は在る」のだと改めて実感する昨今、この度のコンサートの決心につながったのもそんな思いからだった気がしています。

 詳細はこれから、折々ご案内してゆきますが、まずは、コンサートの第一報をお知らせいたしました。



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むらさきいろの情景

 二週間前、ついに思い切って目の手術を受けました。

   水晶体再建術
 子供の頃から本の虫だったのがたたったのか、極度の近眼だったのですが、加えて白内障も若い頃から発症し、滲んで見えづらいのが日常になっていました。
 支障も多くなってきたので、長年の懸案の水晶体再建術(=白内障手術)を両眼とも受けることをついに決意したのでした。
 簡単な手術だとは前々から聞いていたものの、手術恐怖症で、メスとか麻酔とかいう言葉には震えがくる質(たち)ですので、実は、私としては決死の覚悟だったのです。
 「命がけ」みたいな気分で情報収集をし、ようやくこの方ならと納得できるお医者様に出会うことができました。
 万全の構えでの出陣でしたが、お陰様で無事成功しました。

 白内障手術というのは、大雑把にいうと、濁りが生じた水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズをはめ込むという手術です。
 そのレンズには、大きく多焦点と単焦点の2通りがあります。
 単焦点レンズというのは、一か所だけにくっきりとピントの合うレンズの事。例えば遠くが良く見えるレンズの場合は手元眼鏡が必要になり、反対に手元の文字などがはっきり見えるように設定すると、遠くはぼやけるので近眼用の眼鏡が必要になります。
 遠近どちらもそこそこの視力が欲しい場合には多焦点レンズが有効で、距離に関係なくかなりクリアな視力を回復できます。

 この頃は、この多焦点レンズの開発が進んで、少しずつ身近になってきたようです。
 私も現在の目の状態と、舞台で朗読をすることも考え合わせ、思い切って、最新の多焦点レンズを使って頂くことにしたのでした。

 手術後一週間は、昼夜、眼球保護のためゴーグルのような眼鏡をかけて過ごし、洗顔洗髪等も禁止され、ただひたすら静かに過ごしていましたが、ようやくこの期間も過ぎました。二か月間はまだ目薬をさし、日常生活に気を付けねばというものの、ほっと一安心!

 秋葉原の白内障専門のクリニックで手術を受けたのですが、手厚く万事に行き届いていて信頼してお任せすることができました。
 手術そのものは両眼合わせても10分くらいの短時間、麻酔の目薬をさしての手術ですので、術中の様子はすべてわかるのですが、先生が折々適切な言葉をかけて下さるので、私も安心してまな板の上の鯉に。
 手術の間、看護婦さんが優しく手を握っていてくれて、それが何とも心地よいのです。
 励まされるってこういうことなのだと、何かがわかったような気がしました。

   紫色の情景
 手術後、視界がくっきりと開けてきたことには本当に感激しています。
 見にくかった遠方がどこまでも遠くまで見えるようになって、世界はこんな風に広がっていたのか・・・という驚きがあり、目を上げてまっすぐに歩きたいと思いました。
 道端の小さな風景も新鮮で心惹かれますし、人の顔も自分の表情さえもこんなだったのかという不思議な驚きと発見があります。

 でも白内障手術後、一番変わったことは世界の色合いが違って見えること。シンボリックに言っているのではなく文字通り周囲の色彩が違うのです。
 「青視症(せいししょう)」という現象なのだそうですが、白内障手術の結果、急に黄色のサングラスをはずして見たのと同様に、これまで遮られていた青い光が網膜に届くようになり、今までと違って青みを帯びて見えるようになることがあると本で知りました。

 私の場合もまさにそうで、最初に気づいたのは手術の翌朝、窓の外の夜明けの空が青紫色に染まっていて、大気全体にブルーのフィルターがかかったように見えたことでした。
 それから今もずっとこの現象は続いています。
 少しずつ慣れてきて自然に気にならなくなるのだそうですが、この色合い、特に夜明けと日没の空は青紫のヴェールが特に美しくて、毎日感動しているのです。
 蒼いものは更に深く蒼く見えて、いつも淡いブルーのセロファン越しに物を見ている感じです。でも気持ちが悪いわけではなく、とても心地よい・・・・。
朝焼け
 これまで見てきた色が本当で、今は目の錯覚なのか、あるいは、今見ている色合いこそが、他の人も見ているのと同じなのか・・・。

「紫立ちたる雲の細くたなびきたる」・・・清少納言の見た朝明けはこんな色だったのかしらとも思います。

 物を見るということについて。
 自分が当然と思ってみている映像は、他の人にも同様に見えているのだろうか?
 本当は違う色で違う姿をしているのではないだろうか?
 ただ自分で信じているだけで、実はそれぞれの人には異なった像が映っているのかもしれない・・・などと思います。
 これは目に見える実像だけではなく、もっと精神的なこと、物の捉え方や、常識と思われていることなど、多岐にわたって当てはまることなのかもしれません。

 画家が描く独特な事物や色彩表現なども、あえて抽象的に描いたというよりはむしろ彼の目には本当にそう映っていただけだったということもありうるかもしれません。

 淡いむらさきに染まった世界と、寝る前にコンタクトレンズをはずさなくてもよくなった自分を楽しんでいるこの頃です。



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