fc2ブログ

新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

『 詞歌抄 クロと読むchanson 』発売です

 令和3年12月16日初版第一刷発行」、皆様に応援して頂き、お蔭様で無事出版が叶いました。
 本当に有難うございました。
 A5版横長 全160ページ 定価2420円(税込)、ずっしりとした手ごたえのこの本です
詩歌抄
 帯写真は、2018年のコンサートの会場、東京四谷の「劇空間えとわ~る」で撮影したもので、私の教え子でもあるカメラマン沢木瑠璃さんの写真です。
 15年近くになる私のコンサートの軌跡を、彼女はレンズ越しにずっと追い続けてくれました。

 全12章からなる訳詞エッセイ集ですが、それぞれの章で1曲ずつ取り上げ、その日本語詞を載せた上で、曲にまつわる背景・原詞との比較・詩語としてのニュアンス等をエッセイにまとめました。
訳詞家 巻末に原詞とその対訳も掲載しましたので、対訳と訳詞とを読み比べることができ、そこから翻訳の在り方や方法について、興味を持っていただければと思います。
 また、日本語詞は対訳ではなく、曲に合わせて実際に歌うことのできる歌詞そのものとなっています。
クロ
 愛猫「クロ」は各章の最後にひとこと、鋭くエスプリの効いた言葉をつぶやくのですが、これは文章を読み進める上でのお洒落なスパイスになっているのではと自画自賛。
 そして、章ごとに詞のイメージが豊かに広がっていく素敵な写真が挿入されていますが、これは全て、写真家淺岡敬史氏がお引き受け下さいました。
 写真と文章とが融合して、より生き生きと訳詞の世界を伝える力になっていればと願っています。

 シャンソンと訳詞とに携わる日々の中で、フランスと日本、翻訳の妙味、生活習慣・風土・国民性などから生まれる文化の特性、そして音楽と言葉の問題など、様々なことが見えてきて本当に興味深く、訳詞をしながら想ったこれらのことを綴ったエッセイを、いつかは本という形でまとめてみたいと願っていました。そんな10年来の思いが叶った今回の出版は私には殊の外感慨深く思われます。
 沢山の皆様に、様々な形で応援して頂きましたことに感謝の思いで一杯です。

 「詞歌抄」の最後の「解説」は、シャンソン界の最大のイベント「パリ祭」なども企画制作なさっている音楽プロデューサー窪田豊氏が寄稿して下さいました。(一部分ですが抜粋させて頂きます)

シャンソンには多くの訳詞集が出版されていますが、全曲オリジナルパブリッシャーから許諾を受けた訳詞集は、私の知る限り2冊目です。
 この『詞歌抄』には、松峰さんの新しい世界観とメッセージを込めた日本語が真珠のように美しく並んでいます。
 1879年の『子守唄』から2013年の『もしも』までの、時代の波をくぐった12曲のシャンソンが松峰さんの手によって、日本のシャンソン文化の重要な一部分になったと思います。


 こんなに温かく力強いねぎらいのお言葉を頂きました。

 アマゾン等からネット購入できますし、もしくはWEBコンタクトから松峰にご連絡頂けましたら、速やかに発送致します。
 まずは実物を見てからという方は、最寄りの三省堂書店に配架されていますので是非。コンサート会場でも販売致しますのでお手に取ってご覧下さい。

 アマゾンに早速、本のレビューを書いて下さった方がいらっしゃいました。

 実に丁寧に、心を込めて作られた、シャンソンをめぐる本です。
 著者の感性の豊かさが溢れ、言葉の重みを知り尽くし、推敲を重ねた歌詞は、一篇の詩を思わせるほどです。
   ・・・・中略・・・・
 こういう丹精込めて作られた著作は、読書の喜びを与えてくれます。

 嬉しいお言葉有難うございます。

というわけで、発売になった嬉しさにかなり興奮している毎日ですが、後2週間強で、京都文化博物館ホールでの出版記念コンサートが迫ってまいりました。まずは京都、そして横浜、飛び切りの曲と朗読の作品、今回もきっとお楽しみ頂けるのではないかと・・・・張り切って準備に力を尽くしています。
両会場ともまだチケットOKですので、どうぞお誘いあわせの上、是非会場にお越しくださいますように。

今年も後少しで終わりますね。
どうぞ、ご健康に留意なさって、佳きクリスマスと新年をお迎えください。

                        

このページのトップへ

「あのときの味」コンサートのご報告

 11月27日の『月の庭vol.9 「あのときの味」』、お陰様で無事終了致しました。
 その後、慌ただしくしていてご報告がすっかり遅くなってしまったのですが、とても心に残る楽しい時間となりました。

 駆け出しの教師の頃からずっと教鞭を執ってきた鎌倉のこの地で、今コンサートを行うのはどこか不思議でもあり、終始、時間が引き戻されるような懐かしい感覚に包まれていました。
 お客様も、久しぶりで再会した嘗ての同僚や、教え子たち、地元で懇意にして頂いていた方々、そして大先輩の先生までいらして頂き、私の中では思い出が遡ってくるような何とも言えない感慨がありました。
 当時は、教師として教壇に立っていたわけですので、今マイクを握っているステージの自分がどう映っているのだろうかとか、思わずチョークに持ち替えたくなるような緊張や照れのようなものもあり、でも、それも含めて時の流れ、一筋の糸は繋がっていて、今を形成しているのだと、そしてその今を温かく見守って頂けているのだと・・・・そんな有難さの中で過ごした一日だった気がします。

 では、この一日をいつものカメラマン沢木瑠璃さんの写真で振り返ってみようと思います。

   「あのときの味」
 この日も晴れ渡った麗らかな晩秋の日。
134 受付にプログラムその他を並べ、お客様がいらっしゃるまでに作りたてのデザートが用意されました。146 ケーキの王道、苺ショートケーキとゼリーがこの日の「あのときの味」です。

リハーサル風景です。音の響きはとても良くて一安心。スタッフたちが手分けして四隅の音響バランスをチェックしています。
042

スタッフは全員女性でしたが、その何人かが、きりっとそして優雅な着物姿で、受付にもひときわ映えました。
182


 スタッフのお一人の後ろ姿です。 帯にご注目下さい。
カプチーノの絵柄がこの日のプログラムの中の珈琲の曲にぴったりでした。
182.1
 しかもカプチーノの中の絵は猫の顔。「紋次郎物語」と次のコンサートの「ひだまりの猫たち」を連想させてもう最高におしゃれです。
こういうスタッフたちの温かい心意気に支えられて、絶好調のテンションでコンサートに臨みます。

068


この写真、とても好きです。




お客様のお顔を見ていると本当に楽しくて、本番は我ながらにこやかな表情。歌って、話して、朗読して。
111
朗読をご自身でもなさっているお客様が今回三名いらして、コンサート後に様々な感想を寄せて下さいました。
朗読の在り方って人ぞれぞれで、決まった形があるわけではありませんが、よく問われるのは、演劇の一人芝居のように感情を入れて世界を演じ尽くすのか、あるいは、淡々とむしろ感情を抑え込んで文章を忠実に伝えることに努めるのかという問題でしょうか。
今回取り上げた朗読の中で、特に、詩『小さなユリと』などは前者の形。かなり意識して、三歳のユリちゃんの気持ちになりきって会話の部分を読んでみたのですが、この評価は三人三様でした。
201
 もう一つは、長編小説などを取り上げるとき、コンサートの中では全編を朗読するのは時間的に難しいですので、一部分の抜粋であったり、中間で要約を入れたりと工夫することも生じます。
また、耳で聴くだけでは理解しにくい言葉などは、敢えて平易な言葉に言い換えたりと、私の場合には色々大胆にアレンジしています。
038
 ステージは純粋な朗読会とも違うので、歌と合わせた全体のイメージをより印象的に伝えてゆかねばという考えからかもしれません。
 トータルしてその文学作品がより魅力的に深く聴く側に届けばよいのではとも思うのです。
いずれにしても、作品の性質、その時のお客様の求めるもの、会場の雰囲気などによって、必要な事柄が異なってくる気がして、朗読素材を選ぶこと、朗読を行うことには考えたい課題がたくさんあり、それはとてもチャレンジングで奥深いことだと思っています。

コンサートの中盤、ピアニスト坂下文野さんをご紹介。二人で楽しくおしゃべりしています。
    219    236

座席を空けながらの会場です。
246


アンコールの時、プレゼントして頂いた花束を抱えて。
119



これまで様々にお力添え、ご協力下さいました皆様、当日お越し頂きましたお客様、心からお礼申し上げます。

 128

 これから次の「ひだまりの猫たち」の準備に励みます。
 1月8日の京都、1月29日の横浜、もうすぐですが、どうぞお楽しみに是非お運びくださいますように。



このページのトップへ