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   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

紋次郎物語~その七<紋次郎>の幼少期~

池の傍の紋次郎 昨日の日曜日、東京での所用を終え、逗子の実家に向かいました。
 <いざ、あじさい寺明月院へ>とばかりに、普段は閑静な北鎌倉の駅周辺も散策の人の波に溢れていました。
 北鎌倉・鎌倉・逗子、この時期、街は紫陽花がしっくりと似合っています。

 実家では連載中の『紋次郎物語』の話題沸騰中!
 なんといってもノンフィクション、我が家族達は、リアルタイムでこの物語の渦中に居たわけですので、「そうだったよねえ。あのときは・・・」と思い出話に花が咲き・・・・。

 さて、お待たせいたしました。
 今日はいよいよタイトルにもなっています、<紋次郎>の登場です。

   ~ その七<紋次郎>の幼少期 ~
 母猫から託された三匹の子猫ですが、<まだら>は1年足らずで他界し、<猫吉>は6~7年共に暮らして姿を消した、ということは既にお話しした通りです。
 <紋次郎>は15年余りという長きにわたる歳月を家族の一員として過ごしました。長い月日の中で、思い出は語り尽くせない程ありますので、紋次郎編は、数回にわけてお話ししてゆこうかと思います。

   風来坊
 幼少期の<紋次郎>ですが。
 「三つ子の魂」なのか、ノラ猫魂が心底沁みついていて、それが、しぐさにも風貌にも滲み出ているという感じの子猫でした。
紋次郎1 
 とにかくすばしっこい。
 小さい頃の<紋次郎>は、いつ見ても走り回っていた気がします。
 それが本当に速いのです。
 庭、木の上、屋根の上、いつもそこらじゅうを縦横無尽に駆けていて、「今、黒いものが横切った・・・ような??・・・ひょっとして<紋次郎>?」という漫画みたいな台詞があながち誇張ではない日常だったのです。
 何事もスローペースの<猫吉>とは余りにも対照的すぎて、笑ってしまうくらい正反対でした。

 なかなか人に慣れず、いつも警戒心の強いギラギラした目をして、何かあれば飛びかかってきそうな勢いで、遠巻きに睨んでいました。
 こちらが敵ではないことを納得させ、家族の一員であるという本人の自覚を促し、やがて愛情を交わし合うようになるまで、かなり手ごわかったです。
 とは言っても、食いしん坊、大食漢の<紋次郎>で、ましておチビちゃんの頃ですから、程なく食べ物に釣られて、割とあっけなく、こちらの術中に嵌まることになるのですが、最初の頃は、つまみ食いの得意な子供と果てしなくおっかけっこをしている気分になったものです。

 ここで今頃、彼の悪業を暴露するのもなんですが、途中休憩を挟みゆっくりゆっくり食事をする<猫吉>の分もさっとかすめ取ることなどしょっちゅうで、そういう時は<猫吉>贔屓の弟に「もんじろう~~~!!」と思いっきり叱責されていました。

   風貌
 走る姿はヒョウのように俊敏なのですが、座っているとタヌキのような、モコモコの毛並みの長毛種で、他の兄弟たちとは全く違う、エキゾチックな顔立ちの猫でした。
毛を立てた紋次郎 
 緊張・興奮している時や、悪だくみしながら何かを狙っているときなどは、体中の毛が逆立って、ハリネズミみたいに体が膨らんで、なかなか精悍なのです。・・・・大人になり、段々リラックスしてくるにつれ、毛の逆立つ頻度は激減してきましたが。

夏は、涼しげにすっきりと夏毛に生え変わり、別人(猫)のように、穏やかな風貌に見えていました。
夏毛で涼しげな紋次郎 

 <紋次郎>の目の表情が今でも忘れられません。
 『本物は誰だクイズ』ではありませんが、もし、100匹位の猫の目の写真を見せられたとしても、その中から<紋次郎>の目を瞬時に選び出せる自信が私にはあります。
 それほど、<紋次郎>には、気持がよく表れる表情豊かな眼力があり、そして、実はとても繊細な神経を持った賢い猫だったのではと思っています。
 彼の目の奥に、いつも寂しさや人恋しさを感じていました。
 人の感情を素早く読み取って、特に自分に対する好意とか愛情に人一倍敏感だった気がします。でもひねくれ風来坊の気質が邪魔してストレートに甘えられない、ちょっと因果なそんな猫だったのかもしれません。


   居場所
 <紋次郎>の好きだった場所。
 塀の上。 物置の上。 屋根の上。 木の上。 池の縁。
塀の上の紋次郎 
 よく、高い木の上に、鳥のように止まっていました。木のぼり上手でスルスルとあっという間に木のてっぺんに登りついて皆を驚かしたものです。
 そういえば赤ちゃん猫の頃、2~3回、余りに高く登りすぎて降りられなくなって、救出に難儀したこともありました。
 
 塀の上、置物のような<紋次郎>。

 池の縁は紋次郎のお気に入りの定位置でした。

   ジャンプ二題
 植木の梢で羽を休めるムクドリを狙って、木登りジャンプ。
 これが実に巧みで、必ず命中してムクドリを仕留めてしまうのです。
 餌食になったムクドリは災難ですし、考えれば残酷な話ですが、そういう時の<紋次郎>は得意満面で仕留めた獲物をくわえて、「すごいでしょ!ねえ、褒めてよ!」という顔で見せにくるので、・・・これこそ猫の本能で、<こういう時は尊重して褒めること、絶対に怒ってはいけない>とものの本にもありましたので、複雑な気持ちのままに「よしよし、すごいねえ。よくわかったからそれをこちらに頂戴ね。」などと言いながら、譲り受け、後で犠牲になったムクドリを密かに葬ったものでした。
 これは長きに渡って続いた、私としては歓迎できない<紋次郎>の勲章でした。

 池の中をジャンプ。
 ある時、リビングにいたら、<バッシャ~~ン!!>というすさまじく大きな水音が池のほうから聴こえてきました。
 反射的に音のする方に目を向けた瞬間、池の中から<紋次郎>が恐ろしく高く飛び上がってきたではありませんか?
 これは我が家で今もって語られる、紋次郎幼少期武勇伝の一つです。
 池の上を飛んでいるトンボを捕まえようと、思い切り池の真ん中めがけてジャンプしたらしいのですが、トンボは驚いて上昇し、彼は捕まえ損ねてそのまま結構深い池の底まで落下沈没し、水底を蹴ってジャンプして池から生還してきたものと思われます。イルカのジャンプじゃあるまいし、猫の水中ジャンプショーを目の当たりにしてしまい、皆でしばし唖然としました。

 エピソードは様々あるのですが、長くなってきましたので、また次回、続きをお送りしますね。

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