
「五月のパリを行く」・・・四回目となりましたが、今日もお付き合い下さい。
パリをゆっくりと満喫する旅。
そうは言っても、一日くらいは、郊外に出てみるのも悪くないかも・・・ということになり、旅程最終日の日曜、お店は皆閉まっていることだし、Mさんと二人、バスツアーに参加することにしました。
どうせなら、100%聞き逃さず理解できる日本語ガイド付きに、ということで、いくつかあるバスツアーの中から「シャンパンの故郷、シャンパーニュ地方を訪ねるコース」を選んだのでした。
Mさんの提案です。
彼女はお料理・お菓子だけでなく、ワインにも精通していて、ガイドの必要などなかったのではと思うくらいに博識なのです。そしてかなりいける口。
それに引き換え、私は、情けないことに全くの下戸なので、ワインの良し悪しも皆目わからないのです。
じゃあなぜ、シャンパーニュ地方なのか、ですが・・・これまで縁がなく、彼女が提案してくれなければ、終生足を踏み入れることなく終わるであろう未知の世界への好奇心が、旅の風に吹かれて、沸々と湧いてきたため。そしてもう一つ、葡萄畑の風景を見てみたかったためでした。
ランスに出発
朝7時30分集合、乗客70名程が乗り込んだ大型バスに、日本人の観光客は8名でした。
そして、この日のガイドさんは二名。・・・・一人は女性で、フランス語、英語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語と5カ国語を操り、次々と言葉を変えては、同内容のガイドをしてゆきます。かなり丁寧な説明なので、<×5>、一通り全部終わるのに結構時間がかかります。(その日に乗る乗客の国籍と、言葉のニーズによって、ガイドさんは選ばれるようです)
彼女の<×5>が終わるのを待って、同一内容のお話を、今度はもう一人のガイドさんが日本語で説明してくれます。
Yさんという、とても明るくユーモアのある日本人の中年の男性でしたが、何に関しても見識が深いことがにじみ出ていて、懇切丁寧、教えたくて仕方がないという感じの(誰かさんみたいです)、パワフルな説明でした。
5カ国語分の女性ガイドさんの約半分くらいの時間を、日本語ガイドだけで費やし、しかもあちらは60人。私達は8人で一人を占有。申し訳ないくらい贅沢で、名調子の講義を受けているような感もあり、何だかとても賢くなれた気がします。
バスの窓から。
午前中は曇り空で、雨の予報。雲が重く落ちていますが、パリから少し離れると、一面田園風景。フランスはやはり農業国なのですね。
牧草地に黄色の花が、どこまでも広がっていました。
MUM社の見学から
ランスの街に到着。ランスはシャンパン発祥の地で、沢山のカーヴ(酒蔵)があるのですが、その中でも代表的なMUMというシャンパンメーカーをまずは見学しました。さすが洒落た門構えです。
ランスの街の歴史から始まり、シャンパンの出来上がるまでの過程を丁寧に説明して下さるYさんです。
一定の湿度、温度が保たれた薄暗いカーヴ(酒蔵)。
膨大な数のシャンパンの瓶。すべて熟成に向かって静かに時を待っています。
一時間程の密度濃い学習の甲斐あり、私は今やシャンパン通ですが、調子に乗ると大長編になりますので、残念ですが詳細は割愛致します。
シャンパンの試飲もあり、勢いにつられ少しだけ口に含んでみましたが、カーヴで眠り続けた幾歳月を経た芳醇な香りが広がります。
ランス・ノートルダム大聖堂
1825年までフランス国王の戴冠式が行われていたというランスのノートルダム大聖堂も見学。
13世紀のゴシック建築で、古城のように威風堂々とした佇まいです。
地元の人々にとても愛されているという「微笑みの天使像」です。
不思議な表情をしていると思いませんか。
教会の中。ステンドグラスから光が、色を変えて柔らかく差し込んできます。
日曜日なので、ちょうどミサが行われている最中でした。荘厳なパイプオルガンの音色が反響し、堂内を包み込むように響き渡っていて、身を正したくなる不思議な感動がありました。聴き入っているうちに、ずっと前からここに居るような懐かしさと、遠くに引き込まれてゆくような陶然とした気持ちが湧き上がってきて・・・やがて、ミサ曲を歌う聖歌隊の澄んだ歌声も合わさって・・・。日曜日の教会は何とも言えず素敵です。
近くのレストランで各自昼食をとることに。
何気なく入ったお店には中央にグランドピアノが置かれ、壁一面に歌手たちのポートレートが掛っていました。夜はライブハウスになるのでしょうか。
中央にゲンズブールの写真も。(銀髪の女性の頭の上あたり)
「また会えた・・」と心の中で呟いてみました。
エペルネの街に
バスは、ランスからエペルネの街へと。
エペルネもまた、シャンパンの中心地として長い歴史を持った静かで美しい街です。
地方の産業振興として、シャンパン(発泡性ワイン)に注目し、改良を重ね良質のシャンパンを完成した修道士のドン・ペリニヨンの像が、訪れた「モエ・エ・シャンドン」というシャンパンメーカーの庭園の一角に建っていました。
「ドンペリ」というのが、シャンパンの頂点、とんでもなく高価なシャンパンらしいということは知っていましたが、このドン・ペリニヨン修道士の名から取られたものだったのですね。
「モエ・エ・シャンドン」のロビーに、シャンパングラスのシャンデリアが豪華です。
カーヴの中は、こんな美しいスタッフが、なんと日本語で解説をしてくれました。こちらも懇切丁寧、且つ、学究的な説明でした。
最後にやはり試飲。お隣りのダンディーな男性は、新婚の「旦那様」なのだそうです。ご夫婦で同じ職場なのですね。
葡萄畑 ~ミレジム~
帰りのバスの窓から。
朝、黒雲が垂れ込めていたのに、お昼近くにはすっかり回復して、気持ちの良い青空になりました。
見たかった葡萄畑。
今年は寒かったため例年より芽吹きが遅く、やっと緑が顔を出し始めたばかりで、風にそよぐ緑一杯の葡萄畑を期待していただけにちょっと残念でした。
季節と共に、一面に青々と枝葉を広げ、やがて実を付け、見渡す限り丘陵は葡萄で埋め尽くされるのですね。
以前、このブログでもご紹介しましたが、『ミレジム ~君が生まれた日~ 』という訳詞を作ったことがあります。
ワイナリーで働く若者が、我が子の誕生を祝して歌う歌。
葡萄の出来が最高の年だけ、その葡萄で作るヴィンテージなワインを『ミレジム』というのですが、そのミレジムに匹敵する愛しく最高の我が子・・・という讃歌です。
葡萄畑、葡萄の丘陵、芳醇なワイン・・・そんな詩の情景を思い出しながら、帰路はこの景色を見ていました。
今年はこの曲を歌ってみようかなと思います。
そしてまた、秋の収穫の時、訪れることが出来たら嬉しいです。
今日はここまでに。
フランス旅行談もそろそろ、次回は最終回としたいと思っています。
パリをゆっくりと満喫する旅。
そうは言っても、一日くらいは、郊外に出てみるのも悪くないかも・・・ということになり、旅程最終日の日曜、お店は皆閉まっていることだし、Mさんと二人、バスツアーに参加することにしました。
どうせなら、100%聞き逃さず理解できる日本語ガイド付きに、ということで、いくつかあるバスツアーの中から「シャンパンの故郷、シャンパーニュ地方を訪ねるコース」を選んだのでした。
Mさんの提案です。
彼女はお料理・お菓子だけでなく、ワインにも精通していて、ガイドの必要などなかったのではと思うくらいに博識なのです。そしてかなりいける口。
それに引き換え、私は、情けないことに全くの下戸なので、ワインの良し悪しも皆目わからないのです。
じゃあなぜ、シャンパーニュ地方なのか、ですが・・・これまで縁がなく、彼女が提案してくれなければ、終生足を踏み入れることなく終わるであろう未知の世界への好奇心が、旅の風に吹かれて、沸々と湧いてきたため。そしてもう一つ、葡萄畑の風景を見てみたかったためでした。
ランスに出発
朝7時30分集合、乗客70名程が乗り込んだ大型バスに、日本人の観光客は8名でした。
そして、この日のガイドさんは二名。・・・・一人は女性で、フランス語、英語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語と5カ国語を操り、次々と言葉を変えては、同内容のガイドをしてゆきます。かなり丁寧な説明なので、<×5>、一通り全部終わるのに結構時間がかかります。(その日に乗る乗客の国籍と、言葉のニーズによって、ガイドさんは選ばれるようです)
彼女の<×5>が終わるのを待って、同一内容のお話を、今度はもう一人のガイドさんが日本語で説明してくれます。
Yさんという、とても明るくユーモアのある日本人の中年の男性でしたが、何に関しても見識が深いことがにじみ出ていて、懇切丁寧、教えたくて仕方がないという感じの(誰かさんみたいです)、パワフルな説明でした。
5カ国語分の女性ガイドさんの約半分くらいの時間を、日本語ガイドだけで費やし、しかもあちらは60人。私達は8人で一人を占有。申し訳ないくらい贅沢で、名調子の講義を受けているような感もあり、何だかとても賢くなれた気がします。

バスの窓から。
午前中は曇り空で、雨の予報。雲が重く落ちていますが、パリから少し離れると、一面田園風景。フランスはやはり農業国なのですね。
牧草地に黄色の花が、どこまでも広がっていました。
MUM社の見学から
ランスの街に到着。ランスはシャンパン発祥の地で、沢山のカーヴ(酒蔵)があるのですが、その中でも代表的なMUMというシャンパンメーカーをまずは見学しました。さすが洒落た門構えです。


ランスの街の歴史から始まり、シャンパンの出来上がるまでの過程を丁寧に説明して下さるYさんです。
一定の湿度、温度が保たれた薄暗いカーヴ(酒蔵)。
膨大な数のシャンパンの瓶。すべて熟成に向かって静かに時を待っています。


一時間程の密度濃い学習の甲斐あり、私は今やシャンパン通ですが、調子に乗ると大長編になりますので、残念ですが詳細は割愛致します。
シャンパンの試飲もあり、勢いにつられ少しだけ口に含んでみましたが、カーヴで眠り続けた幾歳月を経た芳醇な香りが広がります。
ランス・ノートルダム大聖堂

1825年までフランス国王の戴冠式が行われていたというランスのノートルダム大聖堂も見学。
13世紀のゴシック建築で、古城のように威風堂々とした佇まいです。
地元の人々にとても愛されているという「微笑みの天使像」です。
不思議な表情をしていると思いませんか。


教会の中。ステンドグラスから光が、色を変えて柔らかく差し込んできます。
日曜日なので、ちょうどミサが行われている最中でした。荘厳なパイプオルガンの音色が反響し、堂内を包み込むように響き渡っていて、身を正したくなる不思議な感動がありました。聴き入っているうちに、ずっと前からここに居るような懐かしさと、遠くに引き込まれてゆくような陶然とした気持ちが湧き上がってきて・・・やがて、ミサ曲を歌う聖歌隊の澄んだ歌声も合わさって・・・。日曜日の教会は何とも言えず素敵です。
近くのレストランで各自昼食をとることに。
何気なく入ったお店には中央にグランドピアノが置かれ、壁一面に歌手たちのポートレートが掛っていました。夜はライブハウスになるのでしょうか。

中央にゲンズブールの写真も。(銀髪の女性の頭の上あたり)
「また会えた・・」と心の中で呟いてみました。
エペルネの街に
バスは、ランスからエペルネの街へと。
エペルネもまた、シャンパンの中心地として長い歴史を持った静かで美しい街です。


地方の産業振興として、シャンパン(発泡性ワイン)に注目し、改良を重ね良質のシャンパンを完成した修道士のドン・ペリニヨンの像が、訪れた「モエ・エ・シャンドン」というシャンパンメーカーの庭園の一角に建っていました。

「ドンペリ」というのが、シャンパンの頂点、とんでもなく高価なシャンパンらしいということは知っていましたが、このドン・ペリニヨン修道士の名から取られたものだったのですね。
「モエ・エ・シャンドン」のロビーに、シャンパングラスのシャンデリアが豪華です。
カーヴの中は、こんな美しいスタッフが、なんと日本語で解説をしてくれました。こちらも懇切丁寧、且つ、学究的な説明でした。


最後にやはり試飲。お隣りのダンディーな男性は、新婚の「旦那様」なのだそうです。ご夫婦で同じ職場なのですね。
葡萄畑 ~ミレジム~
帰りのバスの窓から。
朝、黒雲が垂れ込めていたのに、お昼近くにはすっかり回復して、気持ちの良い青空になりました。
見たかった葡萄畑。


今年は寒かったため例年より芽吹きが遅く、やっと緑が顔を出し始めたばかりで、風にそよぐ緑一杯の葡萄畑を期待していただけにちょっと残念でした。
季節と共に、一面に青々と枝葉を広げ、やがて実を付け、見渡す限り丘陵は葡萄で埋め尽くされるのですね。
以前、このブログでもご紹介しましたが、『ミレジム ~君が生まれた日~ 』という訳詞を作ったことがあります。
ワイナリーで働く若者が、我が子の誕生を祝して歌う歌。
葡萄の出来が最高の年だけ、その葡萄で作るヴィンテージなワインを『ミレジム』というのですが、そのミレジムに匹敵する愛しく最高の我が子・・・という讃歌です。
葡萄畑、葡萄の丘陵、芳醇なワイン・・・そんな詩の情景を思い出しながら、帰路はこの景色を見ていました。
今年はこの曲を歌ってみようかなと思います。
そしてまた、秋の収穫の時、訪れることが出来たら嬉しいです。
今日はここまでに。
フランス旅行談もそろそろ、次回は最終回としたいと思っています。


