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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

水無月 好日往来

 7月になりました。が、・・・。
 なぜか京都はこのところ、涼しいのです。
 例年でしたら、この時期はもう、蒸し風呂状態で耐え難い猛暑が始まっているのに、心地よく風が吹き抜け、汗もかかず・・・こんな過ごしやすい梅雨時は珍しいのでは。
祇園祭が始まった四条通
 いつも誰彼かまわず「京都の夏はとにかく風が吹かないで盆地の底に熱気と湿気が溜まるんだから」と、<そこに住んでいる自分>を自慢しまくっているのですが、今年は、看板に偽りありの嬉しい例外です。
 
 7月になると、街は例年通り、祇園祭の準備に染まり始めます。
 四条通りのアーケードも祇園祭の提灯が飾られ、祇園囃子が響き始めました。

 「朋(友)あり 遠方より来たる」で、6月中旬からずっと、懐かしい恩師や仲良しの友人、そして教え子たちと旧交を温めたり、思わぬ出会いがあったりと、楽しい機会が重なっています。

   同志との再会 ~福寿園でお茶タイム~
 MさんとAさんと私、同世代で、嘗て共に教鞭を執った仲間です。
まだ新米教師だった頃、<お姉さん先生トリオ>で、励まし合い切磋琢磨し合った戦友みたいな間柄だったのですが、このお二人と先頃、京都でお会いすることが出来ました。
 先々週はMさんと。
 彼女は、このブログでも時々ご紹介している私の親友です。
 湘南に住み、お仕事で頻繁に名古屋まで。
 一方、私は京都から東京までの往復。それが笑ってしまう位見事なすれ違いで、やっとのことで関西デートの実現でした。
 そしてこのちょうど一週間後に、なぜかAさんとも京都でお会いすることになり。・・・・Aさんとゆっくりお話しするのは、彼女が結婚を機に教職を離れたとき以来ですので、もう20年近くの歳月が経つのでしょうか?

 申し合わせたわけではないのに、異口同音に同じ思い出話、大いに盛り上がりました。
 記憶の底に薄れていた筈の、青春時代の泣き笑いの日々が、急に鮮烈に蘇ってきて、今という時が、過去の時間の上に成り立っていることを不思議な感動の中で感じました。
 過ごしてきた自分の軌跡は、その時だけで切り離されるものではなく、実はずっと繋がり続けていて今があるのだという感慨でしょうか。
 当たり前のことなのでしょうけれど・・・。
 人との絆や縁というものが、人生の中では一期一会のかけがえのないもので、人はそれに支えられて生きているのだという実感、温かい時間でした。
 そして別々の世界での時の流れ。
 私も含め三人とも教職を離れ、今、全く違う仕事に力を尽くす日々を過ごしていて、そこでの世界はお互いが感知し難いはずですのに、おしゃべりをしている中で、空白は埋まり、自然に繋がってくる不思議な充足感がありました。
 <それぞれがそれぞれの世界を見つけ、誠実に向き合っている>、そのことを祝福し応援したいと純粋に思える落ち着いた気持ちが通い合って、とても幸せでした。
福寿園に飾られていた花かご 
 「欲や見返りを求めず、今、この時に心を尽くして向かうことが大切」「綺麗に過ごしたことのある人だけが、綺麗な時に戻れる」と亡き祖母が折に触れてよく言っていたことを思い出します。
 
 無欲に一途に過ごすことこそ価値があって、それは小さな種になって心の片隅に撒かれて、いつかどこかで、実りをもたらすことがあるということだったのかもしれません。・・・祖母の話をいつも感心しながら聞いていた幼い頃から、いつの間にか、いい加減な生活態度になってきた昨今の自分を猛省してしまいます。
  

玉露とお菓子
 京都四条通りにある福寿園のカフェでMさんとお茶を。
 格調高い設えでゆっくり落ち着けるので、私のお気に入りのお店なのですが、美味しいお抹茶とお菓子を頂きながらの時間を過ごしました。
 
 それで、一週間後Aさんとも同じカフェに再び。
 今度は、玉露とお菓子を。おちょこのような小さなお茶碗にお湯の温度と時間を綿密に測って立てる玉露の入れ方を、お店の方に丁寧に習いながらの優雅な時間でした。

 カフェに立ち寄る前にAさんとランチした、白川筋のお料理屋さん「祇園琢磨」の窓から見えたアオサギの写真です。
 白川の川辺でアオサギはよく見かけていましたが、こんな高い木の上に悠然と羽づくろいをしているのを見るのは初めてです。
樹上のアオサギ  濃茶のかき氷
 実はこの後数日して、今度は私一人で、楽しい時間の余韻にもう一度浸りたくなり、ふらりとカフェに立ち寄ってみたのです。
 ひきたての濃茶をたっぷりとかけた氷、これもお茶屋さんならではの味でとても美味しくお勧めです。

   好日往来  
*学生時代にお世話になった敬愛する恩師を20年ぶりに藤沢にお訪ねしたこと。もう80歳を過ぎていらっしゃいますが、歳月が益々輝きを増して、変わらぬ慈愛に満ちたお人柄と、澄んだ美しく優しいお声。お会いできて本当に良かった。

 *大学時代の友人が京都まで会いに来てくれました。
すっかり学生時代に戻って、お互い言いたい放題!昔の友にはそこにしかない空気が心地よく流れます。

 そして、更に珍しい訪問者が続いて、千客万来の楽しい水無月後半でした。

   シャンソンコンサート
 6月30日に大阪ART CLUBにコンサートを聴きに行ってきました。
 歌手で訳詞家の別府葉子さんが出演なさるので是非伺いたかったのです。
 前にもご紹介したことがありましたね。
 いつもとても素敵なステージで、私は大好きな方なのですが、彼女のブログを愛読していて、或る日、私がファンレターなど出してしまったところからスタートしています。
 
 朝倉ノニーさんと宇藤カザンさんというお二人の訳詞家の方のコンサートに別府さんがゲストで出演されるというものでした。
 このお二人のことは、私も時々ブログを読ませて頂いて、以前から知っていましたし、とても興味深くシャンソンの翻訳について掘り下げて書いておられて、是非実際にお会いしたいと思っていました。また、翻訳家の方のコンサートには伺ったことがあまりないので、それもとても楽しみでした。
 お二人とも語学が実に堪能でいらして、フランス語だけでなく、原曲に合わせて5か国語の原詩で歌われたのにはとても驚きました。
 「自分たちのコンサートでは日本語はご法度なんです」とユーモアたっぷりにおっしゃっていましたが、的確な対訳をなさった上で、でも歌はやはり原語でなければというコンセプトを貫いていらっしゃるのですね。
 日本語にこだわり、日本語で歌うという私の方向とは真逆ではありますけれど、ステージは和やかで温かく、歌の雰囲気が良く伝わってきて、とても面白く参考になりました。

 別府さんが、お二人と知り合われたのも実は、お二人のブログを読んでいらしたのがご縁だったとか、・・・・これも先ほどのお話ではありませんが、やはり一期一会の不思議さ、だから世の中って良いなあ!!と思ってしまいます。

 お二人のデュオ。
ノニーさんとカザンさんのデュオ  別府葉子さん
 そしてギターの弾き語りをなさる別府さんです。
 真ん中の席に陣取って穴の開くほど見つめてしまった、素敵なコンサートの一日でした。

 

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