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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

「おもてなし」

   まずはお詫びから
 お久しぶりです。
 この度、ブログを長く放置してしまいましたことのお詫びを申し上げます。
 何回か覗いて下さった皆様、どうぞ今一度、寛大にご容赦下さいますように。
 「きっと重篤な病にでも」と心配して下さった心優しい皆様、申し訳ありませんでした。実は私、元気にしております。

 この空白の二週間・・・・。

 言い訳をすると、公私共、なぜか集中的に色々なことが起こり、いつも以上に慌ただしく飛び回っていて、パソコンの前に落ち着いて座る時間が持てなかったこともありました。
 でも、そういうことに気持ちを奪われ、振り回されていると、いつの間にか感覚が雑多になって、大切なことを置き去りにしてしまう気がして少し怖いです。
 日々の中で、ささやかでも温かく刻まれてゆくことは様々あるはずなのに。
 言葉や文字に置き換えるということは、それに思いを留めてゆく大事な方法でもあるのでしょう。
 心を入れ替えて、まずは、もっと筆マメになりたいと思います。

 その代わりと言ってはなんですが、実は、今後に少し展開を持つべく奔走した日々でもありましたので、固まってきましたら、近々、きちんとご報告したいと思っています。
 
 
   「おもてなし」
 空白の私の二週間。
 この間に、2020年のオリンピックが東京に決定されました。

東京オリンピック招致のロゴ
 最終プレゼンテーションの熱気に満ちた様子も繰り返し放映されましたから、それをご覧になり、皆様、それぞれの感想を持たれたのではないでしょうか?

 滝川クリステルさんのお話の中の「おもてなし」の言葉は、特に印象的で、反響が大きく、マスコミでも何度も取り上げられています。

 オリンピック招致の原動力になったのではないかと言うほどの評価も得て、大半は好意的で賞賛の声が殆どですが、それでも、やはり色々な解釈はあり、「現実に<おもてなし>の心は今日本に存在するのか?もはや幻想ではないのか?」から始まり、更に細かい内容の検証に踏み込んで「今の日本は本当にお金を落としても届けられて無事なのか?」とか、それに伴って、「そんなことはない、自分は落とした財布からお金だけ抜き取られた経験がある」という外国人の証言が載せられたり、果ては、「あの言葉は本心なのか?フランス贔屓の筈の彼女が本当に日本への愛国心を持っているのか?」など、滝川さんのパーソナリティーに踏み込んだ批判などまでも、ネットをみると賑やかに書かれていたりしています。
 
 表現の自由ですし、理想と現実、何でも裏面はあり、また、千差万別の種々な解釈が物事には存在するので、これについて敢えて何も言う言葉はないのですが、でも私は、今回こういう形で、日本の良さが内外にクローズアップされたことは歓迎すべきことなのではという思いを持っています。

 「日本でのオリンピック開催は国益に果たして有用なのか」から問われるともっと違う論議になるのでしょうが、非常にシンプルな感覚で、日本という国の良さ、・・・・豊かな精神性とか、伝統的に守って来た倫理観や生活習慣、感情の様なものが、世界の中に堂々と示され、そのような視点で見直されるきっかけになったことは喜ぶべきことなのではと思います。
 
 他国に比べて、日本は、自国を過小評価する傾向が大いにあるように思われますし、国民性についてもネガティブに論じられることが多くて、少なくとも手放しで自慢しまくると言うようなことは、これまで公の場で殆どなかったのではないでしょうか?
 日本人が待っている<思っている以上につい謙遜してしまう>という性癖や、<こんなに出来ているぞ!>というよりは<これがまだ足りない!>という方に目が行ってしまう真面目で、ある意味ではお人好しな潔癖症の国民性にもよるところが大きいのかもしれません。
 その結果、老練で一筋縄ではいかない諸外国の中にあって、交渉下手であったり、不当に低い評価に甘んじる憂き目を見たり、嬉しくない思いをしてきていることは否めませんので、・・・私はそう感じることが多いのですが・・・・。
 首相を筆頭に、世界に伍して堂々と日本をアピールし、それが高い評価を得て、今回招致を勝ち取ったことは、何だかとても誇らしく思われます。
 これまで、日本の総理の演説が<カリスマ的演説>などと評価されたことは皆無でしたものね。
 勿論、今後これが、ただの口先だけのパフォーマンスで終わったのでは意味がありませんし、勝つためなら何を言っても良いということではありませんが、「有言実行」が何か新しいものを生み出す可能性に繋がってほしいと思うのです。
 誤った方向に人心を誘導するのでなければ、理想を掲げ、表明したことを皆で本当に実現すべく向かってゆく原動力になる可能性を感じます。

 「おもてなし」も同様で、私たち自身が、この言葉から、そういう本来持っているはずの温かさを再発見して、もしかしたらこれまで少しサビついていたかもしれない、眠っていたかもしれないルーツの様なものを、心に呼び起こせれば素敵なことなのではと。
 「言葉の持つ力」にそんな可能性を託したいと感慨深く思った次第でした。


 ただ矛盾するかもしれませんが、一つ付け加えるなら、今回の晴れ舞台での成功だけに光が当たって、<スピーチが巧みなこと、強気で押してゆくことだけがとにかくカッコ良い>みたいな短絡した風潮にならなければ良いなとも思います。
人知れず黙々と準備を重ねてきた多くの方たちの誠実な努力と思いが、この陰には数知れずあったに違いありません。

 「有言実行」とは、謙譲の美徳と相反しない行為であり、奢りや揺るぎのない真っすぐな信念と、それを成し遂げるひたむきな準備があっての事ですので。
 本当の意味で「おもてなし」の境地を知ってゆく努力を私たち自身が真摯に目指してゆきたいです。

 プレゼンテーションの日、まず初めに高円宮久子妃殿下が、震災復興に関しての諸外国の援助と応援に、丁寧に謝意を述べておられましたが、全てはそこから始まることもまた、「おもてなし」の信義ではないでしょうか。
 慎ましく毅然とした妃殿下のこのご挨拶に、とても感銘を受けたことも付け加えたいと思います。 
 
 

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