
この数日、京都も、汗ばむほどの眩しい日差しの中にあります。(今朝は久しぶりの雨模様になってしまいましたが。)
一気に季節が目覚めて駆け足で、遅れた春を取り戻そうとしているかのように、木々が芽吹き、花々が咲き初め、それがとても健気な気がして、しみじみと心に入ってきます。
今日は花便りの続編を・・・・・。
馬酔木の花
「どこか犯しがたい気品がある。それでいて、どうにでもしてそれを手折って、ちょっと人に見せたいような、いじらしい風情をした花だ。」
堀辰雄の『浄瑠璃寺の春』の一節。
万葉の昔から愛された花。奈良の春日野辺りの浅い春を飾る馬酔木の風情が私は大好きですが、この時期京都にもそこここに端正な馬酔木を眼にします。
白川沿いのしだれ柳
祇園界隈で見ると、柳も殊のほか粋な感じがします。
昨日は、羽織り袴の花婿さんと白無垢姿の花嫁さんが、道行く人に声を掛けられながら恥ずかしそうに記念写真を撮っているのとも出くわして、何だかとてものどかでした。桜とのコントラストを背景にした、~そうだ京都に行こう~のCM写真に採用されそうな芸術的な写真が撮れてしまったのですが、断りなく紹介したら肖像権侵害になりそうなので、お見せするのは差し控えますね・・・残念。
柔らかく、さみどり色にしなやかに揺れる柳。瑞々しい命が再生してゆく静かなエネルギーを感じて、すっと心地よい風が吹き抜けるようです。
番外編 あおさぎ
柳の写真を撮っていてふと眼を移すと、さぎがいました。
青鷺(あおさぎ)と言うのでしたよね。鴨川でも時々見かけます。それより羽が白くて子供の鳥のように思えました。
白川の水は澄んでいて、水面がキラキラと光り輝いています。
浅瀬を気持ちよさそうに遊んでいました。
憂き世を一瞬忘れさせるような典雅な風景・・・これも日本画から抜け出してきた一幅の絵のようです。

固かった蕾も・・・
そんなに暇人というわけではないのですが、一週間前に哲学の道で見た桜の蕾をもう一度確かめてみたくなりました。
たぶんこの木・・・かな?! 満開の桜 桜 桜
しだれ桜
千本釈迦堂ってご存知ですか?正しくは大報恩寺。
大雑把に言うと、金閣寺や北野神社の方角、祇園、宮川町に並ぶ粋筋の街、上七軒にあります。
780年余り昔、鎌倉時代初期に建立され災火も免れ今日まで現存する京都最古の仏堂建造物であり国宝にも指定されています。見どころも逸話も色々あり、京都検定のテキストみたいにうんちくを傾けたくなる素敵なお薦めスポットなのですが、この時期はしだれ桜が見事なのです。
地面に這う程の見事な桜。花吹雪の真ん中で。
桜 つかの間の夢 春爛漫
日本人のDNAには桜が埋め込まれていて、誰の血もどこかで騒ぎ始めるのかもしれません。
色々な詩や歌や物語も数えきれないほどありますが、少しロマンチックに、良く知られている三好達治の詩を、今日は最後にご紹介してみたいと思います。
甃(いし)のうへ
三好達治
あはれ花びらながれ おみなごに花びらながれ
おみなごしめやかに語らひあゆみ
うららかの跫(あし)音空にながれ
をりふしに瞳をあげて
翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺のいらかみどりにうるほひ
廂(ひさし)々に
風鐸(ふうたく)のすがたしづかなれば
ひとりなる
わが身の影をあゆまする甃(いし)のうへ
一気に季節が目覚めて駆け足で、遅れた春を取り戻そうとしているかのように、木々が芽吹き、花々が咲き初め、それがとても健気な気がして、しみじみと心に入ってきます。
今日は花便りの続編を・・・・・。

馬酔木の花
「どこか犯しがたい気品がある。それでいて、どうにでもしてそれを手折って、ちょっと人に見せたいような、いじらしい風情をした花だ。」
堀辰雄の『浄瑠璃寺の春』の一節。
万葉の昔から愛された花。奈良の春日野辺りの浅い春を飾る馬酔木の風情が私は大好きですが、この時期京都にもそこここに端正な馬酔木を眼にします。

祇園界隈で見ると、柳も殊のほか粋な感じがします。
昨日は、羽織り袴の花婿さんと白無垢姿の花嫁さんが、道行く人に声を掛けられながら恥ずかしそうに記念写真を撮っているのとも出くわして、何だかとてものどかでした。桜とのコントラストを背景にした、~そうだ京都に行こう~のCM写真に採用されそうな芸術的な写真が撮れてしまったのですが、断りなく紹介したら肖像権侵害になりそうなので、お見せするのは差し控えますね・・・残念。
柔らかく、さみどり色にしなやかに揺れる柳。瑞々しい命が再生してゆく静かなエネルギーを感じて、すっと心地よい風が吹き抜けるようです。
番外編 あおさぎ
柳の写真を撮っていてふと眼を移すと、さぎがいました。
青鷺(あおさぎ)と言うのでしたよね。鴨川でも時々見かけます。それより羽が白くて子供の鳥のように思えました。
白川の水は澄んでいて、水面がキラキラと光り輝いています。
浅瀬を気持ちよさそうに遊んでいました。
憂き世を一瞬忘れさせるような典雅な風景・・・これも日本画から抜け出してきた一幅の絵のようです。


固かった蕾も・・・
そんなに暇人というわけではないのですが、一週間前に哲学の道で見た桜の蕾をもう一度確かめてみたくなりました。
たぶんこの木・・・かな?! 満開の桜 桜 桜



しだれ桜
千本釈迦堂ってご存知ですか?正しくは大報恩寺。
大雑把に言うと、金閣寺や北野神社の方角、祇園、宮川町に並ぶ粋筋の街、上七軒にあります。
780年余り昔、鎌倉時代初期に建立され災火も免れ今日まで現存する京都最古の仏堂建造物であり国宝にも指定されています。見どころも逸話も色々あり、京都検定のテキストみたいにうんちくを傾けたくなる素敵なお薦めスポットなのですが、この時期はしだれ桜が見事なのです。
地面に這う程の見事な桜。花吹雪の真ん中で。
桜 つかの間の夢 春爛漫
日本人のDNAには桜が埋め込まれていて、誰の血もどこかで騒ぎ始めるのかもしれません。
色々な詩や歌や物語も数えきれないほどありますが、少しロマンチックに、良く知られている三好達治の詩を、今日は最後にご紹介してみたいと思います。
甃(いし)のうへ
三好達治
あはれ花びらながれ おみなごに花びらながれ
おみなごしめやかに語らひあゆみ
うららかの跫(あし)音空にながれ
をりふしに瞳をあげて
翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺のいらかみどりにうるほひ
廂(ひさし)々に
風鐸(ふうたく)のすがたしづかなれば
ひとりなる
わが身の影をあゆまする甃(いし)のうへ


