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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

爽春の交遊録<一>

   浅間高原の春 ~良き人を偲んで
 皐月晴れの爽やかな休日を如何お過ごしですか。

 私は、GW前半、少し時間が取れたので、思い立って軽井沢に行ってきました。昨年の夏以来です。
 信州は大好きで、四季折々、その表情に心を浸したくなります。
 
 「世界の片隅に~お正月の便り」という記事を覚えていて下さるでしょうか。信州の旅の道すがら、いつも立ち寄って楽しくおしゃべりをする旧知の友が浅間高原に住んでいて、でも、その方が昨年の暮れに突然他界なさったというお話をしたかと思います。
 温和で気持ちが優しく、浅間高原の大自然の中にあって、謙虚に大らかにすべてをそのままに受け入れて、笑顔を絶やすことのないそんな素敵な方でした。
 私のことも、いつも励まして下さって、そしてこのブログのこともとても楽しんで愛読していらっしゃいました。
新しい記事を書くと、「山男」というハンドルネームで、季節の便りと共に温かいコメントを下さった方、・・・・でももう、お訪ねしてもいつもの場所にはいらっしゃらないのだという不在感が重くて、信州に行くことは、しばらく出来ないのではと感じていたのですが、反面、もう一度訪れて、ゆっくりと優しい人柄を偲びたいという気持ちも募っていました。
 浅春の浅間高原への、亡き人を訪れる旅となりました。

 雪をかぶった浅間山が青空にくっきりと映えて雄々しい姿で迎えてくれます。空はどこまでも青く高く、雲は綿のようにふっくらと白く、屈託の全てを払いのけてくれるような清々しさです。
残雪の浅間山 青空に伸びる落葉松
 空に向かって真直ぐに落葉松の幹が突き立っています。
 春はまだ遠く、木々は葉を落としたまま、芽吹きの気配すら全く見せていませんが、この黒々とした樹木の下には既に春のエネルギーを蓄えているのでしょう。
 眠りに着いている冬の樹木とは明らかに違う、ドクドクと脈打つような木々の覚醒を強く感じます。
 この季節の空っぽの落葉松も私は大好きです。

 そして、まずは「山男」さんのご自宅のある浅間高原に真っ直ぐに向かいました。
どこまでも伸びるハイウエイ

 地平線とぶつかり、両側の松林を割ってどこまでも伸びるハイウエイをひたすら走り続けます。

 やがて浅間高原に。
 この辺りは、夏になると一面のキャベツ畑です。
耕されたキャベツ畑

 今は春に備えて耕され、湿った黒土が露わになっています。
 向こうには浅間山。

 途中、車を止めて、浅間山に向かって大きく息を吸ってみました。

 道の傍らを彩って、可憐な花々が咲き始めています。遅い春の訪れ。
 ふきのとう。カタクリ。水仙。サクラソウ。
ふきのとう かたくりの花 水仙の花 サクラソウ

 久しぶりの「山男」さんのご自宅は、冬支度のまま固く閉ざされ、主を失って時を止めていました。
 夏にお会いした時には、当たり前に笑い合いながら、「2月のコンサートはきっと聴きに行くから」と言ってくれてたのに。
 これまで、ご高齢のお母様とお二人で住んでいらしたのですが、今は、お母様は、東京のご親族の元に身を寄せられ、病院に入られていると伺いました。  
 簡素で、でも本当に使いやすく歳月を重ねてきたこの家だけが取り残されて、この時期だったら、大きな煙突から薪を燃やす木の香りが辺りに漂っているのに、準備された薪の山が庭の片隅に端正に積み上げられたままで、・・・・そして、いつも木の実が沢山入っていた小鳥の餌台も、空っぽなままで、・・・・そんな一つ一つの情景が、突然胸に迫って、くっきりと思い出と共に焼き付いてきました。
木漏れ日の庭
 人の世の一期一会の、不思議さ、有難さ、儚さ、様々な思いを刻みながら、心からの挽歌を亡き人に手向けたいと思います。

 木漏れ日が木立のシルエットをくっきりと苔の庭に写して詩情を誘います。
水量豊かな小川


 近くの小川のせせらぎの音も聴こえます。今年は雪が多かったのでしょうか。
 豊かな水量で、勢い良く水音を立てています。
  


   米寿の贈り物
 絵本作家、児童文化研究家として、これまでに沢山の業績を残されて、今も精力的に活躍されている「かこさとし」氏のことは、このブログでも折に触れてご紹介してきました。
 昔からかこさんの作品を愛読していたことに加え、お嬢様のMさんと積年の友情を育んできたこともあり、(そのことを知らずにずっとお付き合いをしていて、だいぶ後になって判明し感激したことも既にお話しした通りです)その著作の多くを読破しているのですが、この度思いがけぬ贈り物を頂きましたので、ご紹介したいと思います。
矢村のヤ助(かこさとし)表紙

 『矢村のヤ助』という一冊の絵本。
それに添えられたご挨拶状はこのように始まっていました。

 絵本送付についての御挨拶
 謹啓 春暖の候 益々御清栄の事と存じます。 

   (中略)
 ・・・・・若年の頃、戦災跡地の子どもたちに接する機会を得、以来 社会奉仕活動の同志、友人の刺激により、子供という「怪傑生物(?!)」に啓発され、更に出版・福祉等異分野の専門家の方々の御力と御教導により、いつしかこの三月で米寿に辿りついた次第です。・・・
   (後略)

 『矢村のヤ助』という絵本は、昔、子供会でこのお話を話されたのが始まりだったとか。米寿になられた今年の記念として、「報恩感謝」の思いを込め、この話を基底として絵本を作成し、全国三千余りの公共図書館に寄贈されたとのこと、関係者に贈られた中の一冊を、私も頂戴したのです。
 後付けには「かこさとし米寿記念出版(非売品)」と記されています。

 『矢村のヤ助』は「鶴女房譚」=『鶴の恩返し』をベースとしていて、これに、悲劇的・文学的ニュアンスが加わると木下順二の戯曲『夕鶴』のような形に昇華されて行くわけですが、かこさんは、鶴を山鳥に変え、「裏切りで別れる女性と金に目がくらんだ男の題材は子どもには不適」、「前向きに生きようとする男女の姿」を描く話として換骨奪胎し、子どもの世界に引き寄せています。
 子供達がどんな眼をしてこの本を手に取っているか、図書館に行って垣間見たい気がしますね。

 米寿を迎えられ、色々な形で周囲の方たちから長寿をお祝いされるケースは沢山あるに違いありませんが、これまでの道程を振り返って、周囲の方たちに謝意を、自らこのような形で示されることは類まれと思われます。
 「報恩感謝」は、子どもたちとの時間の中で、ご自身が作り上げていらした作品世界そのものに、今、<対峙する思い>でもあるという気がして、とても温かい気持ちになりました。

 今日は二つの交遊録をお伝えしてみました。
 GWの後半、良い時間をお過ごし下さいね。



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コメント


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こんにちは。軽井沢のブログを読んでたらコチラのブログに辿り着きました。写真が綺麗でオシャレなブログですね。羨ましいです

萌音 | URL | 2014-05-04(Sun)18:34 [編集]

Re: タイトルなし

萌音様 コメントありがとうございます。
軽井沢は四季折々、美しい自然に出会えますが、特にこれからは新緑が清々しいです。このブログでは色々なことを書いていますが、また時々遊びにいらしてくださいね。

綾音 | URL | 2014-05-04(Sun)19:31 [編集]

心打たれました。

さきほど拝読。
「いつも木の実が沢山入っていた小鳥の餌台も、空っぽなままで、・・・・」が胸底に響きました。
柄にもなく、涙が止まりませんでした。

ジャガぽん | URL | 2014-07-24(Thu)07:00 [編集]

ありがとうございます

ジャガぽん様
温かいコメントをいただきましてありがとうございます。
「山男」さんを共に追悼して下さる方と言葉を交わすことができて、とても嬉しく思っています。
「山男」さんが、少し恥ずかしそうにいつもの優しい笑顔で微笑んで下さる気がします。

松峰綾音 | URL | 2014-07-24(Thu)11:38 [編集]