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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

七月の点描(二) 心に残る小さな言葉

 今日は、全国120か所以上で35℃を超え、群馬県館林では38.8℃を記録したそうです。
 毎夏、<観測史上初めて>を更新して、地球温暖化は言われているよりも急速に進んでいるのでないかと本当に心配になってきます。
 これから始まる本格的な猛暑、無事乗り越えられるでしょうか。

 七月の点描、前回は京都の祇園祭りを取り上げてみましたが、今日は関東編、川崎工場の夜景の話題です。
でもその前に、<心に残る小さな言葉のお話>から。

   心に残る女の子(1) ~山手線の中で~
 少し前、所用で東京に行った時のことです。
 私は山手線に乗っていたのですが、品川駅での出来事。
 乗客がいつものように、一気に乗り込み、やがて、人を挟みそうな勢いでドアが閉まった時に、ホームから車内に向かって大きな叫び声が聞こえてきました。

 背が高く恰幅の良い白人男性が必死の形相で、<wait!><open the door please!>とドア越しに叫んでいたのです。

 でも開かないドア、乗ることはあきらめて、今度は、手振りを交えて、車内の一人の女の子に一生懸命何やら呼びかけ始めました。
 「心配しないで、次の駅で降りて待っていなさい。すぐに次の電車で追いかけるから」と繰り返し言っている英語がかすかに聞こえてきました。

 車内では、4~5歳くらいの金髪の女の子が涙を一杯目にためて、何度も頷いていました。
 父と娘、女の子が飛び乗ったところでドアが閉まってしまい、お父さんは乗りそびれたのでしょう。

 よくありそうなお話なのですが、傍にいた年配の乗客の方が「大丈夫?次で降りるんだよ」と、日本語で親切に声をかけていました。
 女の子は深く頷きながら、にこっと笑って丁寧に「ありがとう」と日本語で答えて、後はじっと目を見開いて車窓を心細そうに見据えていました。
 災難は突然降って湧いてくる、・・・小さい彼女には、かなりな衝撃だったに違いないのですが、そういう試練に、父の言葉をかみしめて必死で耐えているのがよくわかり、近くにいた大人たちも何となく気がかりで、皆で見守っている雰囲気が漂っていました。

 次の駅で下車するとき、先ほど声をかけてくれたお爺ちゃまに、「ありがとう」ともう一度彼女は言いました。
 その様子がとても可愛く健気で、その一瞬、満員電車の空気は優しくなった気がします。

   心に残る女の子(2)~原宿のフルーツパーラーにて~
 金髪の女の子の出来事があった日、私は原宿で所用があったのです。
 原宿は、これまで自分のテリトリーからは外れており、・・・<若者の街>に踏み入って良いのかしらというような先入観のためかもしれません。
フルーツフラッペ
 仕事を終えた帰り際、蒸し暑い日差しの中で見たフルーツフラッペの文字に引き寄せられ、少しレトロな感じのフルーツパーラーで一休みすることにしました。

 店内は満席に近かったのですが、若いカップルが多い中に、10歳くらいの女の子と、そのお祖母様と思しき二人連れが入ってきて、私の隣の席に座りました。
 他のお客様たちとは明らかに雰囲気が違い、原宿のパーラーにあって、とても印象的に感じられ、何となく注目していました。

 杖でようやく歩いていらっしゃる老婦人に「おばあちゃま」と呼びかけて、その女の子は実にさりげなく甲斐甲斐しく手を差し伸べるのです。
 しかもそれが、頑張っている感じではなく、普段の生活の中で、自然に当たり前に身についていることがにじみ出ていて、その暖かく細やかな所作にまず感動しました。

 女の子ははきはきした声で明瞭に話をするので、隣の席の私にも会話がよく聞こえてきました。年齢に似つかわしくないゆっくりとした口調も、少し耳の不自由そうな祖母への配慮もあったのかもしれません。

 女の子は小学5年生で、「おばあちゃまっ子」のようで、「おばあちゃまとは話が合うね」「ママとは少し価値観が違うところもあるけど、おばあちゃまと私は似た者同士だね!」「おばあちゃまは素直な人だといつも思うんだ」と、ちょっとおしゃまな言葉づかい、でも本当に嬉しそうにニコニコしながら話すのです。
 祖母のほうも可愛い孫にこんな風に慕われたら本当に幸せですよね。
 「あらそう。それは嬉しいね。」「隔世遺伝かもしれないね。」と応答したり・・・。
 弾む話をしながらも、女の子はさりげなく食べやすいようにケーキのお皿を引き寄せてあげたりしていました。

 私も筋金入りのおばあちゃん子でしたから、この屈託のない様子を見ていたら、何だか祖母のことが無性に懐かしく思われました。

 二人はそれぞれのケーキを半分ずつ美味しそうに分け合って、やがて店を後にしたのですが、
 「ごちそう様。美味しかったよ。」
 「どういたしまして。また来ようね。」
 という言葉が、爽やかな余韻を残してくれました。

 この日出会った二人の女の子、きっととても魅力的な女性に成長するのでしょうね。どんな愛情を受けて育ったのでしょうと、想像が広がります。

 何でもない普通の言葉に生き生きした心を込められることは素敵ですし、そういうことこそ大切で、本当の意味での教養なのではないかと、感じました。

 この夕方、弾んだ気持ちで川崎工場夜景を見るクルーズに参加したのですが、
 長くなりましたので、このお話は次回させていただきたいと思います。
 


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