
パックボット
前にこのブログの中で「ようこそ!お掃除ロボット」というタイトルで紹介しました我が家のルンバですが、あれ以後反響があって、買いたいと思うのだけど・・・と使用方法などの様々な質問が知人達からも結構多くありました。
ルンバとは日々、楽しく生活しておりますが、なにせメカニックには素人ですので、専門的な内容についてはメーカー等にお問い合わせいただくとしまして。
このルンバの製造元であるアイロボット社があれから一躍、脚光を浴びたのに気づかれましたか?
ひと月ほど前、先月下旬に、福島第一原発の原子炉建屋の中に導入されて放射能の測定や建屋内の撮影などのデータ採取に威力を発揮した遠隔操作ロボット、「パックボット」と呼ばれていますが、新聞でもテレビでも大きく報道されましたね。あれはアイロボット社の製品なのです。
どこかひょうきんな可愛い動きと風貌の「ルンバ」とは全く似てはいませんが、でも兄弟分?!だったのですね。
米国のアイロボット社は1990年に設立され、イラク、アフガニスタン等の戦場における地雷の探索除去作業や、ゲリラの潜伏場所の捜索などのための、軍用偵察ロボットを開発し、これまで4000台以上を稼働させてきたとの事です。
パックボットは、これと同様の構造を持ち、先端に4つのカメラの他、放射能測定などの様々なセンサーを搭載しているそうです(写真:510 PackBot iRobot社 HPより)。800m以上離れていても遠隔操作ができ、30m程度であればアームを使ってがれきもよじ登ることができると聞きました。
ロボットといっても、キャタピラーで動き回り、工事現場のクレーン車のアームだけを取り付けたような形の、一見、ロボット?というより工業機械のイメージがしましたが、(高さ23㎝、幅35㎝、長さ71㎝と意外に小型です)でも、まさにこのような未曾有の有事に、高い放射能量に阻まれて人力での作業が及ばない現場に、果敢に突入して、情報収集を惜しみなくできるのはロボットをおいてはなく、テレビの映像を見ながらロボットとはなるほど凄いものだと改めて感じ入った次第でした。
ちなみに、福島原発には、同社から約100キロを持ち上げることのできる「ウォリアー」(戦士の意味)という機種も送られていて、その活躍が期待されているということです。
『ロボット兵士の戦争』
ところで、今『ロボット兵士の戦争』P・W・シンガー著(NHK出版)という本が手元にあります。専ら文学系の従来の私の読書の範疇からは遠くかけ離れており、まだざっと走り読みした段階ですので、何も偉そうなことは言えないですし、パラパラとページを繰っただけでも何だか少し背筋が寒くなりましたので、きちんと読むべきかどうか躊躇っているところなのですが・・・。
以下は、昨年9月、日経新聞に載せられた高橋和夫氏(放送大学教授)のこの本の書評からの要約・抜粋ですが、参考に引用してみます。
* * * *
アメリカ本土から遠隔操作される無人飛行機が監視、偵察、攻撃の任務を果たしている。その数は数千機に達する。現在、米空軍は有人機よりも無人機のパイロットを多く養成している。また陸上戦闘では軍事用ロボットが爆発物の処理などにあたっている。その数は一万台を超えている。ロボット技術の導入が戦争の形態を変え始めた。実際に戦争を戦うのは誰か。人間か、それともロボットかという問題を提示している。
(中略)
人工知能の進歩は、ロボットがやがて「自立」する可能性を示唆している。ロボットが自らの思考を獲得した時に、人間はロボットをいかに制御すべきなのか。制御できるのか。如何にロボットと共存すべきなのか。
進歩の速度は人間に充分に考える時間を与えてくれそうもない。単にロボットの軍事面における影響を越えて本書の知的衝撃の波紋が広がる。ロボットとは何か。人間とは何か。シンガーの問いかけは鋭く切り込んでくる。しかも、多くの問題点をえぐり出しながら、何ら解答は示さない。不安にさらされる。
* * * *
福島原発でのパックボットの活躍を映像で見ながら、また我が家の小さなロボットの憎めないお掃除ぶりを見ながら、その表裏に軍事用として量産され戦場に広がり続ける底知れぬ力を持ったロボットの脅威があることを感じます。
科学技術、学問の発展の総ては、人間の真の幸福のために向かうべきものであって、単純に言えば<すべては使い方次第 目的を見失うなということ>、改まって言えば<時空を見越して人間がより良く共存してゆくための揺るぎない哲学、倫理学をグローバルに持つということ>に尽きるのではと私は思います。
かつての原爆がそうであったように、ロボット技術の開発が、軍需産業の増殖、ひいては人類の平和を根底から脅かすものに繋がってしまっては断じてならないわけです。
著者、P・W・シンガーが引用しているアイゼンハワーの言葉ですが、ご紹介します。
* * * *
「作られるすべての銃、発進するすべての戦艦、発射されるすべてのロケット弾は、結局のところ、飢えて食べ物を与えられていない人々、凍えて衣服をあてがわれていない人々からの盗みを意味する。武装した世界は資金だけを浪費しているのではない。労働者の汗を、科学者の才能を、子供たちの希望を無駄にしているのだ」
癒し系アザラシ「パロ」
いつの間にか堅苦しいお話になってしまいました。
でも、私の思考は今すっかりロボットの方角に向かっておりますので・・・・。
ネットで得ただけの情報ですので、熟知しているわけではなく申し訳ないのですが、興味深かったので、もう一つだけ、ご紹介してみたいと思います。
軍用ロボットとは正反対なのですが。
人と共存するロボットの研究の一環・・・ロボットセラピーとして、産業技術総合研究所知能システム研究部門がアザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」を開発したという記事が載っていました。
「アニマルセラピーと同レベルでの利点が見られる」ということです。
すなわち、(特に高齢者の)ストレスの低減、免疫力のアップ、鬱の改善。また介護老人保健施設などにおける認知症等の症状の改善。自閉症の子供のメンタル治療。一人暮らしの老人などのコミュニケーション効果等々。
アニマルセラピーが、動物を飼うことによる「アレルギー」「かみつき」「世話の大変さ」などの問題を抱えているのに比べて、ロボットには導入しやすいメリットが確かにあると思われます。
初めは猫型ロボットを開発したのだそうですが、猫を良く知る人から、何か違うぞ!と違和感を持たれたため、・・・(なるほど!)・・・あまり知られていないタテゴトアザラシの赤ちゃんをモチーフにしたということです。
まずは兎も角、柔らかくて触り心地が抜群だそうで、アザラシの赤ちゃん・・・ってどんななのでしょう?触ってみたいですね!
そして、女性の購入者が多いため、人間の赤ちゃんを抱っこした時の感覚に限りなく近いよう、ラグビーボールみたいな形状で、赤ちゃんの身長と体重に似せて作ったのだそうです。・・・益々、なるほど!!です。
それで、視覚、聴覚、触覚、運動感覚などがあり、触れ合う人を判別でき、飼い主の言葉も学習できるのだそうです。20カ国以上で現在導入されているとありました。
「パロ」 独立行政法人 産業技術総合研究所 HPより
「パロにも心や感情があるかのように内部の状態が変化し、反応の仕方が変わったり、朝・昼・夜のリズムもあり、鳴き声を出したり飼い主の好みの行動を学習したりもします。瞬きをすることで顔の表情に変化があり、頭や手足が動くことで驚いたり喜んだり、あたかも心や感情はあるかのように振る舞う自律型ロボットです。」
という説明書きがあり・・・・本当なのでしょうか?これは是非とも実体験したくなってしまいます。
ロボットの世界もここまで進化しているとは知らず、びっくりですね。
パロのようなロボットの在り方はおそらくこれからも追及され研究が進んでゆくのではと思われますが、これも手放しで喜べることばかりではなく、きっと落とし穴が近い所にあるような気がしてしまいます。
パックボットも含めて、ロボットは道具なのか、道具を越えた存在になり得るのか、またそれが良いことなのか、将来的な問題への示唆を示されているように感じます。
ところでロボットと言えば、アトムですね。
この話題、もう少し続けてみたいので、次回はアトムのお話が出来たらと思っています。
前にこのブログの中で「ようこそ!お掃除ロボット」というタイトルで紹介しました我が家のルンバですが、あれ以後反響があって、買いたいと思うのだけど・・・と使用方法などの様々な質問が知人達からも結構多くありました。
ルンバとは日々、楽しく生活しておりますが、なにせメカニックには素人ですので、専門的な内容についてはメーカー等にお問い合わせいただくとしまして。
このルンバの製造元であるアイロボット社があれから一躍、脚光を浴びたのに気づかれましたか?
ひと月ほど前、先月下旬に、福島第一原発の原子炉建屋の中に導入されて放射能の測定や建屋内の撮影などのデータ採取に威力を発揮した遠隔操作ロボット、「パックボット」と呼ばれていますが、新聞でもテレビでも大きく報道されましたね。あれはアイロボット社の製品なのです。
どこかひょうきんな可愛い動きと風貌の「ルンバ」とは全く似てはいませんが、でも兄弟分?!だったのですね。

パックボットは、これと同様の構造を持ち、先端に4つのカメラの他、放射能測定などの様々なセンサーを搭載しているそうです(写真:510 PackBot iRobot社 HPより)。800m以上離れていても遠隔操作ができ、30m程度であればアームを使ってがれきもよじ登ることができると聞きました。
ロボットといっても、キャタピラーで動き回り、工事現場のクレーン車のアームだけを取り付けたような形の、一見、ロボット?というより工業機械のイメージがしましたが、(高さ23㎝、幅35㎝、長さ71㎝と意外に小型です)でも、まさにこのような未曾有の有事に、高い放射能量に阻まれて人力での作業が及ばない現場に、果敢に突入して、情報収集を惜しみなくできるのはロボットをおいてはなく、テレビの映像を見ながらロボットとはなるほど凄いものだと改めて感じ入った次第でした。
ちなみに、福島原発には、同社から約100キロを持ち上げることのできる「ウォリアー」(戦士の意味)という機種も送られていて、その活躍が期待されているということです。
『ロボット兵士の戦争』
ところで、今『ロボット兵士の戦争』P・W・シンガー著(NHK出版)という本が手元にあります。専ら文学系の従来の私の読書の範疇からは遠くかけ離れており、まだざっと走り読みした段階ですので、何も偉そうなことは言えないですし、パラパラとページを繰っただけでも何だか少し背筋が寒くなりましたので、きちんと読むべきかどうか躊躇っているところなのですが・・・。
以下は、昨年9月、日経新聞に載せられた高橋和夫氏(放送大学教授)のこの本の書評からの要約・抜粋ですが、参考に引用してみます。
* * * *
アメリカ本土から遠隔操作される無人飛行機が監視、偵察、攻撃の任務を果たしている。その数は数千機に達する。現在、米空軍は有人機よりも無人機のパイロットを多く養成している。また陸上戦闘では軍事用ロボットが爆発物の処理などにあたっている。その数は一万台を超えている。ロボット技術の導入が戦争の形態を変え始めた。実際に戦争を戦うのは誰か。人間か、それともロボットかという問題を提示している。
(中略)
人工知能の進歩は、ロボットがやがて「自立」する可能性を示唆している。ロボットが自らの思考を獲得した時に、人間はロボットをいかに制御すべきなのか。制御できるのか。如何にロボットと共存すべきなのか。
進歩の速度は人間に充分に考える時間を与えてくれそうもない。単にロボットの軍事面における影響を越えて本書の知的衝撃の波紋が広がる。ロボットとは何か。人間とは何か。シンガーの問いかけは鋭く切り込んでくる。しかも、多くの問題点をえぐり出しながら、何ら解答は示さない。不安にさらされる。
* * * *
福島原発でのパックボットの活躍を映像で見ながら、また我が家の小さなロボットの憎めないお掃除ぶりを見ながら、その表裏に軍事用として量産され戦場に広がり続ける底知れぬ力を持ったロボットの脅威があることを感じます。
科学技術、学問の発展の総ては、人間の真の幸福のために向かうべきものであって、単純に言えば<すべては使い方次第 目的を見失うなということ>、改まって言えば<時空を見越して人間がより良く共存してゆくための揺るぎない哲学、倫理学をグローバルに持つということ>に尽きるのではと私は思います。
かつての原爆がそうであったように、ロボット技術の開発が、軍需産業の増殖、ひいては人類の平和を根底から脅かすものに繋がってしまっては断じてならないわけです。
著者、P・W・シンガーが引用しているアイゼンハワーの言葉ですが、ご紹介します。
* * * *
「作られるすべての銃、発進するすべての戦艦、発射されるすべてのロケット弾は、結局のところ、飢えて食べ物を与えられていない人々、凍えて衣服をあてがわれていない人々からの盗みを意味する。武装した世界は資金だけを浪費しているのではない。労働者の汗を、科学者の才能を、子供たちの希望を無駄にしているのだ」
癒し系アザラシ「パロ」
いつの間にか堅苦しいお話になってしまいました。
でも、私の思考は今すっかりロボットの方角に向かっておりますので・・・・。
ネットで得ただけの情報ですので、熟知しているわけではなく申し訳ないのですが、興味深かったので、もう一つだけ、ご紹介してみたいと思います。
軍用ロボットとは正反対なのですが。
人と共存するロボットの研究の一環・・・ロボットセラピーとして、産業技術総合研究所知能システム研究部門がアザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」を開発したという記事が載っていました。
「アニマルセラピーと同レベルでの利点が見られる」ということです。
すなわち、(特に高齢者の)ストレスの低減、免疫力のアップ、鬱の改善。また介護老人保健施設などにおける認知症等の症状の改善。自閉症の子供のメンタル治療。一人暮らしの老人などのコミュニケーション効果等々。
アニマルセラピーが、動物を飼うことによる「アレルギー」「かみつき」「世話の大変さ」などの問題を抱えているのに比べて、ロボットには導入しやすいメリットが確かにあると思われます。
初めは猫型ロボットを開発したのだそうですが、猫を良く知る人から、何か違うぞ!と違和感を持たれたため、・・・(なるほど!)・・・あまり知られていないタテゴトアザラシの赤ちゃんをモチーフにしたということです。
まずは兎も角、柔らかくて触り心地が抜群だそうで、アザラシの赤ちゃん・・・ってどんななのでしょう?触ってみたいですね!
そして、女性の購入者が多いため、人間の赤ちゃんを抱っこした時の感覚に限りなく近いよう、ラグビーボールみたいな形状で、赤ちゃんの身長と体重に似せて作ったのだそうです。・・・益々、なるほど!!です。
それで、視覚、聴覚、触覚、運動感覚などがあり、触れ合う人を判別でき、飼い主の言葉も学習できるのだそうです。20カ国以上で現在導入されているとありました。


「パロ」 独立行政法人 産業技術総合研究所 HPより
「パロにも心や感情があるかのように内部の状態が変化し、反応の仕方が変わったり、朝・昼・夜のリズムもあり、鳴き声を出したり飼い主の好みの行動を学習したりもします。瞬きをすることで顔の表情に変化があり、頭や手足が動くことで驚いたり喜んだり、あたかも心や感情はあるかのように振る舞う自律型ロボットです。」
という説明書きがあり・・・・本当なのでしょうか?これは是非とも実体験したくなってしまいます。
ロボットの世界もここまで進化しているとは知らず、びっくりですね。
パロのようなロボットの在り方はおそらくこれからも追及され研究が進んでゆくのではと思われますが、これも手放しで喜べることばかりではなく、きっと落とし穴が近い所にあるような気がしてしまいます。
パックボットも含めて、ロボットは道具なのか、道具を越えた存在になり得るのか、またそれが良いことなのか、将来的な問題への示唆を示されているように感じます。
ところでロボットと言えば、アトムですね。
この話題、もう少し続けてみたいので、次回はアトムのお話が出来たらと思っています。


