
桜満開のはずが、冷え込む日が続いて、まだまだ京都は蕾が固いままですね。
そんな中で、東京の友人が二人で来訪。
数年来、この時期の絢爛と咲き誇る桜花を共に楽しんでいる仲なのですが、今年は例年になく開花が遅れていてとても残念です。
おまけに一昨日3月31日は、心底凍えるような冷たい雨が降り続いていました。
けれど、折角だからと、この日は伏見を散策することに。
桜の名所も、お花見後の酒宴処も、もうかなり制覇している彼女達ですので、もはや未踏の地を探すのはなかなか大変なのですが、伏見城の外堀、濠川(ほりかわ)添いに続く白壁土蔵の酒蔵の風景を眺めながら十石舟に揺られ、そして酒蔵見学をしつつ利き酒も、というプランです。
今日はそんな伏見散歩をお届けしたいと思います。
ランチは黄桜カッパカントリーで
「黄桜」といえばすぐに、小島功さんの妙に色っぽい河童の絵が浮かんできますね。黄桜記念館・黄桜酒場・黄桜商店・・・黄桜直営の「カッパカントリー」内は至る所カッパで埋っています。

壁には歴代のこんなポスターが。懐かしい女優さんたちの顔です。
今や大衆の日本酒代表のような「黄桜」、そして「月桂冠」ですが、いずれも伏見がその発祥の地、黄桜エリア、月桂冠エリアのような棲み分けが粛然となされた街並みに誘われます。伏見は20以上の蔵元を有する国内2位の酒処なのです。
その黄桜エリア、「カッパカントリー」の中庭にカッパのオブジェを見ながら、まずは民家の設えが素敵な直営のレストランでランチを取ることにしました。

京風のお弁当に、酒蔵オリジナルの大吟醸を注文し、再会に乾杯。
ワイングラスに注がれたお酒はフルーティーで口当たりがとても良いと感じました。伏見のお酒は、伏水とも称される水質の関係で、灘の男酒と比して、女酒と呼ばれるはんなりとした甘口なのだと聞いたことがありますが、殆ど呑めない私にもそのまろやかさはわかりました。
吟醸、純米、にごり酒3種の利き酒セットなども出してくれます。
伏見は坂本龍馬ゆかりの地でもあります。
龍馬が襲撃された寺田屋の跡に石碑がありました。
すぐ隣に、現寺田屋が復元され、当時の風情を伝えながら、現在も旅館を営んでいます。

龍馬とお龍(りょう)のブロンズ像。
龍馬通りなど、街のそこかしこに「龍馬ゆかりの・・」という文字が掲げられて、龍馬への熱い思いが、今も大事に残されているのでしょうね。

桜はまだ2分咲き程度ですが、柳並木のさ緑色の芽吹きが、雨の川面にも美しく映されていました。
伏見十石舟
往復約55分の、江戸時代の輸送船を再現した十石舟の舟旅を楽しんでみました。

この日の雨は、空を重く曇らせていましたが、江戸時代には淀川舟運の港町として栄えていたという伏見の町、そんな伏見の濠川を、月桂冠大倉記念館裏にある乗船場から伏見港公園(三栖閘門(みすのこうもん)まで、舟は向かいます。
本来ならこの時期、並んでもなかなか乗船出来ないほどの賑わいを見せると聞いていたのですが、この日乗った十石舟は私達を入れて乗客4名、殆ど貸切状態、すれ違う舟もやはり3人だけの乗客。

そんな舟を巧みに操る年配の船頭さんが、「舟のバランスを崩さないよう座って下さい」と4人にそれぞれ四隅に座るように指示していて、何だかとても微笑ましくて、こんな雨の日の舟の、束の間の旅もまた特別の風情があると感じたのでした。
月桂冠大倉記念館を訪ねる ~利き酒の愉しみ
観光案内にこんな解説がありました。
370年余の伝統と銘酒にホロリと酔いしれる。

寛永14年(1637)に「笠置屋」の屋号で創業し、明治38年(1905)に「月桂冠」の酒銘を商標登録して以来、全国でも名高い蔵元の長い歴史を伝えるのがこちらの記念館。明治から昭和初期にかけての酒造用具や明治期の実物商品、絵図で見る当時の製造工程など、酒造りの歴史がひと目でわかる展示が人気。ガラス越しに昔ながらの酒づくりの様子を見学できる「月桂冠酒香房」のオプションもあります。
というわけで、このオプションに勿論参加してみました。
郷愁を誘う酒造り唄が館内に静かに流れる中、丁寧な説明が続き、日本酒の醸造過程がよくわかります。
びっくりしたのは、長い年月の中で、酵母がこの酒蔵自体に棲みついていて、自然に空気中から樽の中に降ってくるのだというのです。

洋酒も、倉庫に長く樽を寝かせて熟成させる方法は伝えられていますが、酒蔵自体が酵母の貯蔵庫でもあるということ、温度、湿度、大氣の環境等、変わらぬ条件を保ちながら、酒蔵を守ってきたのだということにとても感銘を受けます。
このツアーには外国人の方も多く参加なさっていて、熱心に酒造りの工程に聞き入り、通訳の方に多く質問を投げかけていました。
こういう日本の伝統に興味を持って訪れて頂けることに何だか誇りというか幸せを感じたのでした。

そして利き酒コーナー。
二人の友人は、かなりいける口ですので、味の違いを楽しんで係りの方ともお話が弾んでいました。
私は、「なるほど!そういえば、そんな感じが!!」
相槌ばかりを打ちながら。
でも美味しさはわかった気もするのです。
お土産を買いました
「シャンソンを歌っているのに呑めないの?」とよく人から言われますが、飲酒はシャンソンを歌うための必要条件ではないのです・・・・。
そんな私が、お酒を買ってしまいました。
美味しそうに嗜み、蔵元限定酒をたくさん買い込んだお二人に触発され、初利き酒体験もして、良い気分になっていたためかもしれません。

黄桜のスパークリング酒、「ピアノ」という銘柄に惹かれた衝動買いです。
泡が躍るのでしょうか。何だか可愛くて・・・ピアニストの坂下さんに差し上げようかな・・・と思っています。
もう一本は、月桂冠で、「プラムワイン」、「粒よりの梅を伏見の名水で仕込み、発酵させたプラムワイン」と書いてありました。梅酒ですが、なぜか主に輸出用に製造しているのだとか、利き酒で美味しかったので、少しずつ、・・と思っています。
急にお酒呑みの知人の顔が浮かんできました。
「このチョイスは邪道でしょう」と言われそうです。
ちなみに、伏見の利き酒を共にした友人二人、今日はサントリーの山崎工場を見学し、ウイスキーの利き酒を大いに楽しんできたということです。
そのバイタリティーと探究心に脱帽!
そんな中で、東京の友人が二人で来訪。
数年来、この時期の絢爛と咲き誇る桜花を共に楽しんでいる仲なのですが、今年は例年になく開花が遅れていてとても残念です。
おまけに一昨日3月31日は、心底凍えるような冷たい雨が降り続いていました。
けれど、折角だからと、この日は伏見を散策することに。
桜の名所も、お花見後の酒宴処も、もうかなり制覇している彼女達ですので、もはや未踏の地を探すのはなかなか大変なのですが、伏見城の外堀、濠川(ほりかわ)添いに続く白壁土蔵の酒蔵の風景を眺めながら十石舟に揺られ、そして酒蔵見学をしつつ利き酒も、というプランです。
今日はそんな伏見散歩をお届けしたいと思います。
ランチは黄桜カッパカントリーで
「黄桜」といえばすぐに、小島功さんの妙に色っぽい河童の絵が浮かんできますね。黄桜記念館・黄桜酒場・黄桜商店・・・黄桜直営の「カッパカントリー」内は至る所カッパで埋っています。

壁には歴代のこんなポスターが。懐かしい女優さんたちの顔です。
今や大衆の日本酒代表のような「黄桜」、そして「月桂冠」ですが、いずれも伏見がその発祥の地、黄桜エリア、月桂冠エリアのような棲み分けが粛然となされた街並みに誘われます。伏見は20以上の蔵元を有する国内2位の酒処なのです。
その黄桜エリア、「カッパカントリー」の中庭にカッパのオブジェを見ながら、まずは民家の設えが素敵な直営のレストランでランチを取ることにしました。


京風のお弁当に、酒蔵オリジナルの大吟醸を注文し、再会に乾杯。
ワイングラスに注がれたお酒はフルーティーで口当たりがとても良いと感じました。伏見のお酒は、伏水とも称される水質の関係で、灘の男酒と比して、女酒と呼ばれるはんなりとした甘口なのだと聞いたことがありますが、殆ど呑めない私にもそのまろやかさはわかりました。
吟醸、純米、にごり酒3種の利き酒セットなども出してくれます。
伏見は坂本龍馬ゆかりの地でもあります。
龍馬が襲撃された寺田屋の跡に石碑がありました。
すぐ隣に、現寺田屋が復元され、当時の風情を伝えながら、現在も旅館を営んでいます。


龍馬とお龍(りょう)のブロンズ像。
龍馬通りなど、街のそこかしこに「龍馬ゆかりの・・」という文字が掲げられて、龍馬への熱い思いが、今も大事に残されているのでしょうね。

桜はまだ2分咲き程度ですが、柳並木のさ緑色の芽吹きが、雨の川面にも美しく映されていました。
伏見十石舟
往復約55分の、江戸時代の輸送船を再現した十石舟の舟旅を楽しんでみました。

この日の雨は、空を重く曇らせていましたが、江戸時代には淀川舟運の港町として栄えていたという伏見の町、そんな伏見の濠川を、月桂冠大倉記念館裏にある乗船場から伏見港公園(三栖閘門(みすのこうもん)まで、舟は向かいます。
本来ならこの時期、並んでもなかなか乗船出来ないほどの賑わいを見せると聞いていたのですが、この日乗った十石舟は私達を入れて乗客4名、殆ど貸切状態、すれ違う舟もやはり3人だけの乗客。

そんな舟を巧みに操る年配の船頭さんが、「舟のバランスを崩さないよう座って下さい」と4人にそれぞれ四隅に座るように指示していて、何だかとても微笑ましくて、こんな雨の日の舟の、束の間の旅もまた特別の風情があると感じたのでした。
月桂冠大倉記念館を訪ねる ~利き酒の愉しみ
観光案内にこんな解説がありました。
370年余の伝統と銘酒にホロリと酔いしれる。

寛永14年(1637)に「笠置屋」の屋号で創業し、明治38年(1905)に「月桂冠」の酒銘を商標登録して以来、全国でも名高い蔵元の長い歴史を伝えるのがこちらの記念館。明治から昭和初期にかけての酒造用具や明治期の実物商品、絵図で見る当時の製造工程など、酒造りの歴史がひと目でわかる展示が人気。ガラス越しに昔ながらの酒づくりの様子を見学できる「月桂冠酒香房」のオプションもあります。
というわけで、このオプションに勿論参加してみました。
郷愁を誘う酒造り唄が館内に静かに流れる中、丁寧な説明が続き、日本酒の醸造過程がよくわかります。
びっくりしたのは、長い年月の中で、酵母がこの酒蔵自体に棲みついていて、自然に空気中から樽の中に降ってくるのだというのです。


洋酒も、倉庫に長く樽を寝かせて熟成させる方法は伝えられていますが、酒蔵自体が酵母の貯蔵庫でもあるということ、温度、湿度、大氣の環境等、変わらぬ条件を保ちながら、酒蔵を守ってきたのだということにとても感銘を受けます。
このツアーには外国人の方も多く参加なさっていて、熱心に酒造りの工程に聞き入り、通訳の方に多く質問を投げかけていました。
こういう日本の伝統に興味を持って訪れて頂けることに何だか誇りというか幸せを感じたのでした。

そして利き酒コーナー。
二人の友人は、かなりいける口ですので、味の違いを楽しんで係りの方ともお話が弾んでいました。
私は、「なるほど!そういえば、そんな感じが!!」
相槌ばかりを打ちながら。
でも美味しさはわかった気もするのです。
お土産を買いました
「シャンソンを歌っているのに呑めないの?」とよく人から言われますが、飲酒はシャンソンを歌うための必要条件ではないのです・・・・。
そんな私が、お酒を買ってしまいました。
美味しそうに嗜み、蔵元限定酒をたくさん買い込んだお二人に触発され、初利き酒体験もして、良い気分になっていたためかもしれません。

黄桜のスパークリング酒、「ピアノ」という銘柄に惹かれた衝動買いです。
泡が躍るのでしょうか。何だか可愛くて・・・ピアニストの坂下さんに差し上げようかな・・・と思っています。
もう一本は、月桂冠で、「プラムワイン」、「粒よりの梅を伏見の名水で仕込み、発酵させたプラムワイン」と書いてありました。梅酒ですが、なぜか主に輸出用に製造しているのだとか、利き酒で美味しかったので、少しずつ、・・と思っています。
急にお酒呑みの知人の顔が浮かんできました。
「このチョイスは邪道でしょう」と言われそうです。
ちなみに、伏見の利き酒を共にした友人二人、今日はサントリーの山崎工場を見学し、ウイスキーの利き酒を大いに楽しんできたということです。
そのバイタリティーと探究心に脱帽!


