
初春初舞台
しばらく記事をUPできず申し訳ありませんでした。
いつの間にか3月となり、昨日はお雛祭り、桃と菜の花の愛らしく柔らかい色合いに包まれる幸せな季節ですね。
でも、この数日は「5月並みの暑さ」とのこと、汗ばむほどの陽気の中、突然・・・毎年のことながら、花粉症の始まりは特に重篤で、目下、起きていられないほどの自覚症状に呻いております。
出来ることなら、一歩も外に出ず、穴倉に入って逼塞していたいほどの気分なのですが。
数日前、東京で。
本郷にある宝生能楽堂で観劇の機会を得ました。
懇意にして頂いている知人が宝生流の高名な能楽師で、自ら淑宝会という一門会を主催していらっしゃるのですが、その舞台にこの度、お孫さんお二人が初デビューをなさるということで、京都から駆けつけたのでした。

まだ幼い姉弟が能舞台に端然と佇み、舞い、まさに一対の雛人形のように清々しい風情です。
緊張して唇をぐっと噛みしめながら、仕舞を舞う姿が本当に初々しく可愛らしかったのですが、この日の舞台には、一足早くデビューした、もう一人のお孫さん(一番年下の男の子)も出演していて、こちらは既に二年ほどのキャリアがあるだけあって、能一番、「船弁慶」の義経の役で、身じろぎもせず一点を見つめる眼差しも凛々しく、台詞の口跡も堂々としたものでした。
地謡を吟じるのはお祖父様と、お父様。
少し心配そうな、でも嬉しそうな面持ちで、お二人ともじっと小さな役者たちを見つめます。
ご自身が長きに渡って極めていらした芸道の道に、今、息子さんと、そして小さな後継者たちが立ち、共に同じ舞台に在ることを、どんなにか感慨深く感じていらっしゃることでしょう。
夏の朝夕、窓越しに聞こえてくる、お孫さんたちにお稽古をつける声は彼らが2~3歳の頃から始まっていたように思います。
お祖父様の吟ずる謡曲の美しい響きに可愛い声が唱和する、そんな風に、父から子供、孫へと脈々と繋いでゆく、日本の伝統文化の厚みを改めて感じた時間でした。
京の冬の旅
さて、京都に戻った一昨日ですが。
今度は、「京の冬の旅『非公開文化財特別公開を巡る定期観光バス特別コース」にチャレンジしてみました。
<春の桜、秋の紅葉、だけではなく、冬の京都にも是非!>ということで、京都市観光協会が肝入りで開催している「京の冬の旅」のキャンペーンももう既に52回を数え、特に今年は「明治維新150年記念」の大々的な企画を打ち出しているのです。
京都市と京都市観光協会は2018年1月6日から3月18日にかけて、JRグループ6社共同による「京の冬の旅」キャンペーンを開催する。第52回目となる今回のテーマは「明治維新150年記念」と「西郷隆盛」。
期間中は、幕末や明治維新、西郷隆盛ゆかりの寺院などで非公開文化財特別公開を実施。例えば、勝海舟が常宿にしたという「萩の寺」(常林寺)、明治期の傑像ゆかりの寺・閑寂の庭園(相国寺 豊光寺)など複数の寺院で初公開を実施。そのほか、合計15ヶ所が公開になる。
ゆかりの地を定期観光バスで巡る特別コースや、「伝統産業・文化」、「朝観光・夜観光」、「京の食文化」の視点からさまざまなイベントを実施する。

国内外を問わず、旅行は自分流にこだわって、普段からツアー旅行の参加は皆無に等しいですし、従って観光バスに乗ったこともこれまで殆どないのですが、今回何故かふと思い立ったのでした。
街のそこここに京都市観光協会のポスターが張られ、これまでになく宣伝が行き届いているので・・思わず乗せられてしまったのでしょうか。
「~明治維新150年記念・大河ドラマ「西郷どん」放映~京の幕末・維新の歴史をたずねて」
という長いタイトルの、この時期限定の定期観光バス特別コースL4というのを選びました。
以下がL4コースの行程です。
非公開文化財特別公開は、普段見られない寺院や文化財をこの時期だけに特別公開するもので今回は全15か所。うち京の冬の旅初公開が7か所、2018年に150年を迎える明治維新、NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放映で注目される西郷隆盛にスポットを当てたゆかりの地は8か所となっています。
このコースは以下の4か所、大河ドラマ「西郷どん」放映にちなんで、かつて明治維新で活躍した先人たちのゆかりの地を巡ります。
『清水寺 成就院』庭園「月の庭(名勝)」
『宝鏡寺』孝明天皇遺愛の人形や和宮ゆかりの寺宝展示
『常林寺』阿弥陀三尊像や岸竹堂筆の壁画 他
『東福寺 即宗院』島津家ゆかりの寺宝や徳川慶喜筆の掛け軸など特別展示
私の専門は、元々近代日本文学で、特に明治黎明期辺りに焦点を当ててきましたので、「幕末・維新の歴史」は得意分野、それに加えて、このコースには「清水寺 成就院」と「東福寺 即宗院」の見学が入っていることが決め手になっています。
実は二か所とも何度か足を運んだことがありよく知っている場所ではあるのですが、どのように観光ガイドされているのか、改めてゆっくりと味わってみたかったのです。
なぜかと言えば・・・
前々からご案内しているように、「清水寺 成就院」は6 月21日に「音楽の祭日 記念座談会」が行われる会場、「音楽は国境を越える 世界友愛の祈り」のテーマで司会を仰せつかっています。

一方、「東福寺 即宗院」は「採薪亭演奏会」の主催元、9月23日にソロコンサートをとご依頼くださった塔頭なのです。
今年、関わることになるこの二つのお寺が、共に西郷隆盛と深い縁のある歴史的に重要な寺社であるということで、特に脚光を浴びていますし、そういう観点から改めて学ぶことが出来たらと考えたのでした。
・・・大河ドラマを見るのは実は10年ぶり位なのですが、『西郷どん』、今年はしっかり見てみようと思い、毎週録画も怠っておりません。・・・笑顔が優しくナイーヴで心穏やかな、意表を突く西郷さん像で結構はまります。・・・
さて、そんなわけで、午前10時20分、烏丸口の正面、観光バス乗り場に集合です。
舞妓さんのイラストが入った特別仕立てのバスが入ってきました。

春一番が吹き荒れるという予報を覆す麗らかな空模様で、コートも不要で過ごした一日でした。
平日ということもあってか総勢15名で、大型バスにはゆったりし過ぎではありましたが、でもじっくりとガイドに集中することができた気がします。
同乗した方たちは、親子、ご夫婦、サークル仲間といった感じの年配者が多く、独りで参加したのは私だけでした。
そして、揃って歴史好きとお見受けしました。
バスの中では早速、最近テレビで見た歴史探訪の番組、本で読んだ幕末秘話のお話が熱く飛び交っていましたし、バスガイドさんもベテランの本格的歴女、16時30分に解散するまで、ずっと熱心に京都の街、歴史、人物について、興味深く語り続けて下さって、西郷隆盛も勝海舟も明治天皇も皆親しい友人か家族のように、愛情がこもった話しぶりで、これこそがプロと、何だかとても感動してしまいました。
京都市と京都観光協会がタイアップした特別企画だけあって、それぞれのお寺にきちんとしたボランティアガイドの方たちが何人も配されて対応も行き届き、詳細にして明快な説明、侮るなかれ、こういう旅もお奨めです。
小さな旅の序章、バスが出発するまでのお話は本日はここまで。
「清水寺 成就院」から始まるお寺巡りは次回の「その二」に記したいと思います。
どうぞお楽しみになさって下さい。
しばらく記事をUPできず申し訳ありませんでした。
いつの間にか3月となり、昨日はお雛祭り、桃と菜の花の愛らしく柔らかい色合いに包まれる幸せな季節ですね。
でも、この数日は「5月並みの暑さ」とのこと、汗ばむほどの陽気の中、突然・・・毎年のことながら、花粉症の始まりは特に重篤で、目下、起きていられないほどの自覚症状に呻いております。
出来ることなら、一歩も外に出ず、穴倉に入って逼塞していたいほどの気分なのですが。
数日前、東京で。
本郷にある宝生能楽堂で観劇の機会を得ました。
懇意にして頂いている知人が宝生流の高名な能楽師で、自ら淑宝会という一門会を主催していらっしゃるのですが、その舞台にこの度、お孫さんお二人が初デビューをなさるということで、京都から駆けつけたのでした。

まだ幼い姉弟が能舞台に端然と佇み、舞い、まさに一対の雛人形のように清々しい風情です。
緊張して唇をぐっと噛みしめながら、仕舞を舞う姿が本当に初々しく可愛らしかったのですが、この日の舞台には、一足早くデビューした、もう一人のお孫さん(一番年下の男の子)も出演していて、こちらは既に二年ほどのキャリアがあるだけあって、能一番、「船弁慶」の義経の役で、身じろぎもせず一点を見つめる眼差しも凛々しく、台詞の口跡も堂々としたものでした。
地謡を吟じるのはお祖父様と、お父様。
少し心配そうな、でも嬉しそうな面持ちで、お二人ともじっと小さな役者たちを見つめます。
ご自身が長きに渡って極めていらした芸道の道に、今、息子さんと、そして小さな後継者たちが立ち、共に同じ舞台に在ることを、どんなにか感慨深く感じていらっしゃることでしょう。
夏の朝夕、窓越しに聞こえてくる、お孫さんたちにお稽古をつける声は彼らが2~3歳の頃から始まっていたように思います。
お祖父様の吟ずる謡曲の美しい響きに可愛い声が唱和する、そんな風に、父から子供、孫へと脈々と繋いでゆく、日本の伝統文化の厚みを改めて感じた時間でした。
京の冬の旅
さて、京都に戻った一昨日ですが。
今度は、「京の冬の旅『非公開文化財特別公開を巡る定期観光バス特別コース」にチャレンジしてみました。
<春の桜、秋の紅葉、だけではなく、冬の京都にも是非!>ということで、京都市観光協会が肝入りで開催している「京の冬の旅」のキャンペーンももう既に52回を数え、特に今年は「明治維新150年記念」の大々的な企画を打ち出しているのです。
京都市と京都市観光協会は2018年1月6日から3月18日にかけて、JRグループ6社共同による「京の冬の旅」キャンペーンを開催する。第52回目となる今回のテーマは「明治維新150年記念」と「西郷隆盛」。
期間中は、幕末や明治維新、西郷隆盛ゆかりの寺院などで非公開文化財特別公開を実施。例えば、勝海舟が常宿にしたという「萩の寺」(常林寺)、明治期の傑像ゆかりの寺・閑寂の庭園(相国寺 豊光寺)など複数の寺院で初公開を実施。そのほか、合計15ヶ所が公開になる。
ゆかりの地を定期観光バスで巡る特別コースや、「伝統産業・文化」、「朝観光・夜観光」、「京の食文化」の視点からさまざまなイベントを実施する。

国内外を問わず、旅行は自分流にこだわって、普段からツアー旅行の参加は皆無に等しいですし、従って観光バスに乗ったこともこれまで殆どないのですが、今回何故かふと思い立ったのでした。
街のそこここに京都市観光協会のポスターが張られ、これまでになく宣伝が行き届いているので・・思わず乗せられてしまったのでしょうか。
「~明治維新150年記念・大河ドラマ「西郷どん」放映~京の幕末・維新の歴史をたずねて」
という長いタイトルの、この時期限定の定期観光バス特別コースL4というのを選びました。

非公開文化財特別公開は、普段見られない寺院や文化財をこの時期だけに特別公開するもので今回は全15か所。うち京の冬の旅初公開が7か所、2018年に150年を迎える明治維新、NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放映で注目される西郷隆盛にスポットを当てたゆかりの地は8か所となっています。
このコースは以下の4か所、大河ドラマ「西郷どん」放映にちなんで、かつて明治維新で活躍した先人たちのゆかりの地を巡ります。
『清水寺 成就院』庭園「月の庭(名勝)」
『宝鏡寺』孝明天皇遺愛の人形や和宮ゆかりの寺宝展示
『常林寺』阿弥陀三尊像や岸竹堂筆の壁画 他
『東福寺 即宗院』島津家ゆかりの寺宝や徳川慶喜筆の掛け軸など特別展示
私の専門は、元々近代日本文学で、特に明治黎明期辺りに焦点を当ててきましたので、「幕末・維新の歴史」は得意分野、それに加えて、このコースには「清水寺 成就院」と「東福寺 即宗院」の見学が入っていることが決め手になっています。
実は二か所とも何度か足を運んだことがありよく知っている場所ではあるのですが、どのように観光ガイドされているのか、改めてゆっくりと味わってみたかったのです。
なぜかと言えば・・・
前々からご案内しているように、「清水寺 成就院」は6 月21日に「音楽の祭日 記念座談会」が行われる会場、「音楽は国境を越える 世界友愛の祈り」のテーマで司会を仰せつかっています。


一方、「東福寺 即宗院」は「採薪亭演奏会」の主催元、9月23日にソロコンサートをとご依頼くださった塔頭なのです。
今年、関わることになるこの二つのお寺が、共に西郷隆盛と深い縁のある歴史的に重要な寺社であるということで、特に脚光を浴びていますし、そういう観点から改めて学ぶことが出来たらと考えたのでした。
・・・大河ドラマを見るのは実は10年ぶり位なのですが、『西郷どん』、今年はしっかり見てみようと思い、毎週録画も怠っておりません。・・・笑顔が優しくナイーヴで心穏やかな、意表を突く西郷さん像で結構はまります。・・・
さて、そんなわけで、午前10時20分、烏丸口の正面、観光バス乗り場に集合です。
舞妓さんのイラストが入った特別仕立てのバスが入ってきました。


春一番が吹き荒れるという予報を覆す麗らかな空模様で、コートも不要で過ごした一日でした。
平日ということもあってか総勢15名で、大型バスにはゆったりし過ぎではありましたが、でもじっくりとガイドに集中することができた気がします。
同乗した方たちは、親子、ご夫婦、サークル仲間といった感じの年配者が多く、独りで参加したのは私だけでした。
そして、揃って歴史好きとお見受けしました。
バスの中では早速、最近テレビで見た歴史探訪の番組、本で読んだ幕末秘話のお話が熱く飛び交っていましたし、バスガイドさんもベテランの本格的歴女、16時30分に解散するまで、ずっと熱心に京都の街、歴史、人物について、興味深く語り続けて下さって、西郷隆盛も勝海舟も明治天皇も皆親しい友人か家族のように、愛情がこもった話しぶりで、これこそがプロと、何だかとても感動してしまいました。
京都市と京都観光協会がタイアップした特別企画だけあって、それぞれのお寺にきちんとしたボランティアガイドの方たちが何人も配されて対応も行き届き、詳細にして明快な説明、侮るなかれ、こういう旅もお奨めです。
小さな旅の序章、バスが出発するまでのお話は本日はここまで。
「清水寺 成就院」から始まるお寺巡りは次回の「その二」に記したいと思います。
どうぞお楽しみになさって下さい。


