
クリスマス、如何お過ごしでしたか。
一足早いクリスマスライブ『白の情景』は12月21日に無事終了致しました。
白がイメージされる素敵な詩や文章を沢山見つけました。
ご紹介したくて、いつもより朗読が多くなったのですが、じっと耳を傾けて下さる客席の心地よい静寂の中で、読み手である私自身も、流れてゆく言葉の響きを反芻していたような気がします。
いらして下さいました皆様、本当に有難うございました。
開演まで
「『白の情景』と銘打ったのだから、今回こそはきっと雪ね!」との巷の声に屈することなく、やはり穏やかに晴れ渡った一日でした。
これまでトータルで20回以上はコンサートをしていると思うのですが、リハーサルの日も含めて、晴れなかったことは一度もないという我ながら驚異的な最長不倒記録の更新・・・・少し怖いです・・・・。

ピアノ廻りに白のチュールレース、白の花々と緑であしらわれたアレンジフラワーの中心には大輪の白薔薇、ポンセチアの植木鉢の赤を従えてひときわ輝いて見えます。

今回から『松峰綾音 訳詞コンサート』改め、『松峰綾音「月の庭」』と名称を変更したのですが、月の光が柔らかい陰翳を持って、幾つもの情景や物語を包み込む、・・・・・開演前のステージのブルーのライトが、青白い月明かりのように見えました。
巴里野郎のレトロな煉瓦の壁を照らす灯り、お客様を迎える準備も整っていきます。

受付のサンタさん二人。
「白のドレスコード」の仕掛け人は実は彼女たちなのです。
真白なふわっとしたドレスに赤いサンタ帽が良く似合います。あまりにキュートだったので思わずシャッターを押しました。こんな可愛い笑顔が受付で迎えてくれたらそれだけでもう幸せが漂ってきますね。

そして、開演前、私もほっこりとお出迎え。
開場より早くいらしたお客様が何人もで、私のせっかちがいつの間にか感染してしまったのかもしれません。
「白・・・悩んだ!」「私の白はこれ!」と言いながら、見せて下さるそれぞれのお客様のご様子が、何だか文化祭の前夜祭の時のような悪戯っぽいノリで、とても楽しかったです。
「昨日買ってきたんや」って首元の真白いストールを見せて下さった男性、「白いものが何もなかったから、庭に咲いていた水仙の花をつけてきた」とジャケットの襟元を指さして下さったのも男性。
知らない方たち同士がそんなお話しで盛り上がっているのが聴こえてきて、楽しさ一杯でした。
そして、皆様が特に注目なさっていたのは、共に白のお着物の素敵なご夫妻。「数年前に買った白紬を今日は着てきました」と優しいお声でご主人が話して下さいました。
開 演
満席でスタートしました。

オープニング曲『小さなトーシューズ』に次いで、芥川龍之介の作品『白』の朗読。
「白」って犬の名前なのです。
「白」が、お隣の仲良しの犬「黒」の危機を救わず、見殺しにしたため、真っ黒な姿に変わってしまい、そこから「白」の自己否定の苦悩と自己救済への模索が始まります。
そうは言っても、子供のための童話の形を取っていますので、難しい言葉は何もなく、筋立ても至ってシンプルなのですが、「白」の切ない胸のうちが身に迫って来るからでしょうか、中盤にさしかかる頃から涙ぐむお客様が何人もいらしてその気配がステージにもじわじわと伝わってきました。
この作品に私自身がまずは大いに感銘を受けて取り上げるに至ったわけで、さすが芥川龍之介、心に深く照射するようなその筆致の凄さを、改めて体感した気がします。
『蜘蛛の糸』の時のように、糸を切られて地獄の底で呻くことにならずに、「白」には幸せな結末が用意されていてほっとするのですが、芥川は、『蜘蛛の糸』の主人公が救われる<もう一つ別の物語>を、『白』という作品に託したのかしらと思いました。
希求し続ければ、再び白へと再生する可能性を芥川自身が信じたかったのかもしれません。
今回の『白の情景』で一番お伝えしたかった私自身のテーマもまさにここにあった気がします。
第一部は「白の憧憬」、そして第二部は「白を語る」というテーマで進めて行きました。
取り上げた作品や曲のそれぞれのことを本当はゆっくり語りたいのですが、とんでもない長文になりそうなので・・・。
第二部は漱石の『こころ』、吉野弘氏の詩『雪の日に』、沢村貞子氏のエッセイ『白を語る』、宮沢賢治の詩『永訣の朝』、計四作を朗読し、それとイメージが繋がる曲を織り交ぜて歌いました。
一つだけサプライズ曲を入れたのですが、それはいらしてくださったお客様とだけの秘密です。
想いを込めて。

そして、羽を広げたように。
お陰様で楽しく充実したコンサートのひとときを過ごすことが出来ました。
皆様に心から感謝申し上げます。
クリスマスの贈り物
以前にご紹介しました東京の友人、お人形作家の米山京子さんからコンサートを応援して下さるお手紙に添えて、こんな写真が届きました。

「雪の妖精」と名付けられた可愛らしいお人形、大きく広げたレースが、第二部のシルバーのドレスにどこか似ている気がしました。
コンサートの日、こんなお花も頂きました。
先ほどご紹介したお着物をお召しの仲睦まじいご夫妻から。
清楚で、でも白ならではの艶やかさを持つ白花の素敵な花束です。

そして、別の友人から。
「白玉」という茶席の椿が二輪。
花びらが内側に開くので八重のような華やかさはないけれど上品な風情なので、という言葉に添えて。
コンサートの名残りが白く眩しく、我が家のリビングを包んでくれています。
一足早いクリスマスライブ『白の情景』は12月21日に無事終了致しました。
白がイメージされる素敵な詩や文章を沢山見つけました。
ご紹介したくて、いつもより朗読が多くなったのですが、じっと耳を傾けて下さる客席の心地よい静寂の中で、読み手である私自身も、流れてゆく言葉の響きを反芻していたような気がします。
いらして下さいました皆様、本当に有難うございました。
開演まで
「『白の情景』と銘打ったのだから、今回こそはきっと雪ね!」との巷の声に屈することなく、やはり穏やかに晴れ渡った一日でした。
これまでトータルで20回以上はコンサートをしていると思うのですが、リハーサルの日も含めて、晴れなかったことは一度もないという我ながら驚異的な最長不倒記録の更新・・・・少し怖いです・・・・。

ピアノ廻りに白のチュールレース、白の花々と緑であしらわれたアレンジフラワーの中心には大輪の白薔薇、ポンセチアの植木鉢の赤を従えてひときわ輝いて見えます。

今回から『松峰綾音 訳詞コンサート』改め、『松峰綾音「月の庭」』と名称を変更したのですが、月の光が柔らかい陰翳を持って、幾つもの情景や物語を包み込む、・・・・・開演前のステージのブルーのライトが、青白い月明かりのように見えました。
巴里野郎のレトロな煉瓦の壁を照らす灯り、お客様を迎える準備も整っていきます。

受付のサンタさん二人。
「白のドレスコード」の仕掛け人は実は彼女たちなのです。
真白なふわっとしたドレスに赤いサンタ帽が良く似合います。あまりにキュートだったので思わずシャッターを押しました。こんな可愛い笑顔が受付で迎えてくれたらそれだけでもう幸せが漂ってきますね。

そして、開演前、私もほっこりとお出迎え。
開場より早くいらしたお客様が何人もで、私のせっかちがいつの間にか感染してしまったのかもしれません。
「白・・・悩んだ!」「私の白はこれ!」と言いながら、見せて下さるそれぞれのお客様のご様子が、何だか文化祭の前夜祭の時のような悪戯っぽいノリで、とても楽しかったです。
「昨日買ってきたんや」って首元の真白いストールを見せて下さった男性、「白いものが何もなかったから、庭に咲いていた水仙の花をつけてきた」とジャケットの襟元を指さして下さったのも男性。
知らない方たち同士がそんなお話しで盛り上がっているのが聴こえてきて、楽しさ一杯でした。
そして、皆様が特に注目なさっていたのは、共に白のお着物の素敵なご夫妻。「数年前に買った白紬を今日は着てきました」と優しいお声でご主人が話して下さいました。
開 演
満席でスタートしました。

オープニング曲『小さなトーシューズ』に次いで、芥川龍之介の作品『白』の朗読。
「白」って犬の名前なのです。
「白」が、お隣の仲良しの犬「黒」の危機を救わず、見殺しにしたため、真っ黒な姿に変わってしまい、そこから「白」の自己否定の苦悩と自己救済への模索が始まります。
そうは言っても、子供のための童話の形を取っていますので、難しい言葉は何もなく、筋立ても至ってシンプルなのですが、「白」の切ない胸のうちが身に迫って来るからでしょうか、中盤にさしかかる頃から涙ぐむお客様が何人もいらしてその気配がステージにもじわじわと伝わってきました。
この作品に私自身がまずは大いに感銘を受けて取り上げるに至ったわけで、さすが芥川龍之介、心に深く照射するようなその筆致の凄さを、改めて体感した気がします。
『蜘蛛の糸』の時のように、糸を切られて地獄の底で呻くことにならずに、「白」には幸せな結末が用意されていてほっとするのですが、芥川は、『蜘蛛の糸』の主人公が救われる<もう一つ別の物語>を、『白』という作品に託したのかしらと思いました。
希求し続ければ、再び白へと再生する可能性を芥川自身が信じたかったのかもしれません。
今回の『白の情景』で一番お伝えしたかった私自身のテーマもまさにここにあった気がします。
第一部は「白の憧憬」、そして第二部は「白を語る」というテーマで進めて行きました。
取り上げた作品や曲のそれぞれのことを本当はゆっくり語りたいのですが、とんでもない長文になりそうなので・・・。
第二部は漱石の『こころ』、吉野弘氏の詩『雪の日に』、沢村貞子氏のエッセイ『白を語る』、宮沢賢治の詩『永訣の朝』、計四作を朗読し、それとイメージが繋がる曲を織り交ぜて歌いました。
一つだけサプライズ曲を入れたのですが、それはいらしてくださったお客様とだけの秘密です。
想いを込めて。


そして、羽を広げたように。
お陰様で楽しく充実したコンサートのひとときを過ごすことが出来ました。
皆様に心から感謝申し上げます。
クリスマスの贈り物
以前にご紹介しました東京の友人、お人形作家の米山京子さんからコンサートを応援して下さるお手紙に添えて、こんな写真が届きました。

「雪の妖精」と名付けられた可愛らしいお人形、大きく広げたレースが、第二部のシルバーのドレスにどこか似ている気がしました。
コンサートの日、こんなお花も頂きました。
先ほどご紹介したお着物をお召しの仲睦まじいご夫妻から。
清楚で、でも白ならではの艶やかさを持つ白花の素敵な花束です。


そして、別の友人から。
「白玉」という茶席の椿が二輪。
花びらが内側に開くので八重のような華やかさはないけれど上品な風情なので、という言葉に添えて。
コンサートの名残りが白く眩しく、我が家のリビングを包んでくれています。


