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新しいシャンソンを新しい言葉に乗せて

   シャンソンの訳詞のつれづれに                      ~ 松峰綾音のオフィシャルブログへようこそ ~

* 「小さなトーシューズ」 ~その二~

エッフェル塔
お待たせいたしました!!
 今日は前回の記事、
 「小さなトーシューズ」 その一 の続きです。いよいよ本題の、この曲の訳詞のお話に入りましょう。


    
     「小さなトーシューズ」~ ライムライトより テリーのテーマ ~ その二

 さて、この曲「テリーのテーマ」の歌詞についてであるが、「ライムライト」が、アメリカで作られた映画だけあって、歌詞の本家もアメリカにあった。
 Geoffrey Parsons が「エターナリー(Eternally)」というタイトルで作詞したものがあり、この英語の歌詞の知名度が圧倒的に高い。
 これを元にして、日本でもアレンジが加えられ、様々な日本語の訳詩に置き換えられ歌われているようだ。
 「人は弱いものだけど、だからこそいつも愛を分かち合う。私はいつまでもあなたを愛し続ける。」というメッセージが、エターナリー(永遠・永久に の意)というタイトルとその歌詞の根底に流れていると思われる。

 
 では、いよいよ本題、私が訳した「小さなトーシューズ」という訳詞について、若干述べてみることとする。
 
 これはJacques Larue が作詞した「 deux petits chaussons 」という曲から取ったものだ。
 彼はフランス人、フランス語で詞を作り、それをフランス人の歌手がフランス語で歌っている正真正銘メイド・イン・フランス、・・・シャンソンである。
 こういうものがフランスにあることをずっと知らないでいたので、この詩を見つけた時は少し感動した。・・・たぶん日本では殆ど知られていないと思われる。
 1953年に発表されているので、映画が出来たのとほぼ同時期ということになる。だとすれば、先ほどの「エターナリー」との時間関係はどうなるのだろう?
 歌としてはもしかしたら、こちらの方が本家ということもあるのかもしれない。
  Claude Robin(クロード・ロバン)、Andre Claveau(アンドレ・クレボー)等によって歌われている。
 「deux petits chaussons」は小さなバレーシューズの意味で、これは明らかに、映画の内容を意識して詞が作られていると言えるだろう。厳密に言えば、この詞は、ピエロがバレリーナにかなわぬ恋をして恋の苦しみのゆえに死んでいったという設定になっているから、やはりこの辺はこの歌詞独自の創作で、映画とは異なっているのだが、少なくとも物語の大枠にはかなり即していると言える。

 
 で、私の訳詞「小さなトーシューズ」だが、次のように始めてみた。 
    
     <セリフ>
     ある恋の物語
     ミミズが空の星に恋をした おかしくて悲しい物語
     それは 年老いたピエロがいつも歌ってた歌
     可愛いバレリーナと出会ったピエロが 好きだった歌

  1 真っ白な サテンの
    舞い踊る トーシューズ
    楽しげに 軽やかに 回り 回る
    あの娘の 小さなトーシューズ
 


 この曲の創作には、いずれにしても自由度があるので、それなら私としては、フランスを支持しつつ、更にチャップリンに絶対の敬意を表して、歌で映画を出来得る限り忠実に語ってしまおうと目論んでみた。フランス版「deux petits chaussons」を踏まえつつ。
 
 その結果、物語の大筋はほとんどセリフで繋ぐことにした。
 歌は tournaient tounaient tounaient・・・・回る 回る 回る・・・というメロディーが全体を流れるよう、トーシューズが回っているという言葉をリフレインした。


ライムライトより(2)


 最後にとっておきのお話を一つ。
 「ミミズの恋」
 かなわぬ高嶺の花に恋することをフランスでは「ミミズの恋」というのだそうだ。(このことは、以前フランス語学科の恩師F教授から教えていただいた。)
 夜中もそもそと、うごめきながらミミズは夜空の美しい月や星にかなわぬ恋をするらしい。・・・
 この映画、これまでに何回となく観ていたのだけれど、訳してみるにあたって改めてじっくり観て、一つ新たな発見をしたことがある。
 映画の初めのほうで、カルヴェロが舞台でおどけながら歌っている場面があるのだが、何とその歌に「ミミズが恋をした~~」というフレーズがあったのだ。なるほど!
 言ってみればカルヴェロもミミズみたいなもの・・・だったのか。
 「deux petits chaussons」の作詞家のLaurueは「ミミズのありふれた物語」とちゃんと歌詞の中に明記しているから、ならばはずせないと私も自分の詞の中に入れることにした。
  こんなのは言わなければわからない勝手なこだわりに過ぎないけれど、うんちくを傾けてみたくなって・・・そのつもりで楽しんで貰えたら大変嬉しいけれど。
 
 アメリカでも「ミミズの恋」という慣用句はあるのだろうか?ミミズの恋の通用する世界分布をいつか調べてみたいと思ってしまう。

                    Fin


 (注 訳詞、解説について、無断転載転用を禁止します。
取り上げたいご希望、訳詞を歌われたいご希望がある場合は、事前のご相談をお願いします。)




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